結論:料金が出ないうえに、数えているものが揃っていない
Web接客ツールを比較しようとすると、二重の壁に当たります。掲載5サービスのうち公式サイトで金額を確認できるのは2サービスだけで、しかもその課金基準が揃っていません。
| 導入目的 | おすすめのタイプ | 主なサービス |
|---|---|---|
| 費用をかけずに始めたい | 永年無料のフリープランあり。接客の配信回数でプランが決まる(無料100回/月9,800円で10,000回) | ecコンシェル |
| 施策を細かく分けて運用したい | 月80万PVまで初期50,000円+月額50,000円(税抜)。ユーザー数とシナリオ数は無制限 | Flipdesk(フリップデスク) |
| アプリやLINEにも配信したい | Web接客に加えてアプリ・メール・LINE配信、チャット接客、データ統合まで扱う | KARTE(カルテ) |
| 社内に施策を回せる人がいない | 専任コンサルタントが成果コミット型で伴走。CDP・MA・BIの機能も持つ | Sprocket(スプロケット) |
| 施策を早く作って試したい | 業界別ウィジェットテンプレートとノーコード作成。導入500社以上 | CODE Marketing Cloud |
自社のサイトで何が多いのか(表示回数なのか、訪問者数なのか、施策を出す回数なのか)を把握してから見積りを取ってください。
Web接客ツールとは
Webサイトを訪れた人に対して、状況に応じたポップアップやバナーを出し分けることで、離脱を防いだりコンバージョンにつなげたりするためのツールです。実店舗で店員が接客するのと同じことを、Web上で行うという発想から名前がついています。
主な機能は、ポップアップやバナーの表示、訪問者の属性や行動によるターゲティング、A/Bテスト、シナリオ配信です。これにチャット接客やアンケート、他チャネルへの配信が加わるものもあります。
費用の決まり方は各社で異なります。サイトのPV(ページの表示回数)で数えるもの、UU(訪問した人の数)で数えるもの、接客の配信回数で数えるものがあり、同じサイトでも基準が変われば金額が変わります。
選び方
1. 課金の基準がPVかUUか配信回数か
これが最初に確認すべき点です。
- ecコンシェル:接客の配信回数(フリー100回/月、スタンダード10,000回/月、エンタープライズ無制限)
- Flipdesk:月間PV(スタンダードプランで80万PVまで、超過分は別途見積り)
- Sprocket:UUの規模帯(個社見積り)
- CODE Marketing Cloud:PV/UVの規模帯(個社見積り)
- KARTE:課題のヒアリングに基づく個社見積り
アクセスは多いが施策を出す回数は限られているというサイトなら、配信回数が基準のecコンシェルが有利になります。逆に施策を細かく分けて数多く出したいなら、PVが基準でシナリオ数が無制限のFlipdeskのほうが向きます。
自社サイトのPV・UU・想定する配信回数を把握してから見積りを取らないと、比較のしようがありません。
2. 料金を公開しているのは2サービスのみ
公式サイトで金額を確認できるのはecコンシェルとFlipdeskです。
- ecコンシェル:フリープラン 永年無料/スタンダードプラン 月9,800円/エンタープライズプラン 月48,000円から
- Flipdesk:初期費用50,000円・月額50,000円(いずれも税抜)
KARTE・Sprocket・CODE Marketing Cloudはいずれも個社見積りで、公式ページに金額の記載がありません。複数社を比較する場合、3サービスは問い合わせが前提になります。
3. 費用をかけずに始められるのは1社だけ
ecコンシェルのフリープランは永年無料で、接客配信100回/月・1サイト・キャンペーン1つという範囲で使えます。掲載5サービスの中で無料で使えるのは同サービスのみです。
他の4サービスには無料プランがなく、無料トライアルの記載も公式にはありません。まず動かして効果を確かめてから決めるという進め方が取りにくい分野です。
4. 初期費用の有無を確認する
Flipdeskは初期費用50,000円(税抜)を公開しています。Sprocketも初期導入費用があるとされていますが金額は非公開です。
ecコンシェルは料金ページ上に初期費用の記載がなく、KARTEとCODE Marketing Cloudについても公式に明示がありません。月額だけを比べると初年度に必要な金額を見誤ります。
5. ツールだけか、運用まで人がつくか
Web接客は導入して終わりではなく、施策を作って効果を見て改善するという運用が必要です。その運用を誰がやるのかで、選ぶべきサービスが変わります。
人が入る前提のもの
- Sprocket:専任コンサルタントによる伴走支援(成果コミット型)
- KARTE:プロフェッショナルサービスによる伴走支援
- CODE Marketing Cloud:カスタマーサクセスによる運用支援
運用サポートがオプションのもの
- ecコンシェル:月次レポート・キャンペーン設定サポート・月次ミーティング
- Flipdesk:コンサルティング/運用サポートプラン
社内に施策を回せる担当者がいるかどうかで、必要な支援の度合いが変わります。
6. 扱う範囲がWebだけか、他チャネルにも広がるか
KARTEは扱う範囲が最も広く取られています。サイト上のポップアップやチャット接客(KARTE Talk)に加えて、KARTE Messageによるアプリ・メール・LINEへのマルチチャネル配信、KARTE Datahubによるデータ統合まで含みます。
Sprocketも顧客データを統合するCDPやMA・BIの機能を持ちます。
これに対しecコンシェル・Flipdesk・CODE Marketing Cloudは、サイト上でのポップアップやバナーの出し分けを中心とした構成です。なおFlipdeskはプッシュ通知をオプションで、チャットボット『Cross Talk』との連携(有人チャット連携は0円)に対応します。
Webサイトだけを改善したいのか、顧客とのやり取り全体を扱いたいのかで、必要な規模が変わります。
タイプ別に見る
PVではなく接客配信回数が基準。永年無料のフリープランとAIによる接客最適化
ユーザー数・シナリオ数とも無制限。有人チャット連携は0円で属性・行動ターゲティングに対応
Web・アプリ・メール・LINEを横断。リアルタイム行動解析とデータ統合基盤を持つ
専任コンサルタントが成果コミット型で伴走。導入実績400社以上
業界別テンプレートとノーコード作成。Google Analytics・MAツールと連携
本ページ独自のまとめ
掲載5サービスを調べたうえで、検討時に押さえておきたい点を挙げます。
料金公開率は掲載5サービス中2サービス(40%)です。Web接客はサイトの規模によって必要な構成が変わるため、金額を一律に示しにくい面はあります。ただし読者から見ると、概算を並べて絞り込むという進め方が取れません。
課金の基準が揃っていないため、金額だけでの比較が成立しません。PV、UU、接客配信回数のどれで数えるかによって、同じサイトでも有利なサービスが入れ替わります。「月◯円」という数字を並べる前に、自社サイトの数値を把握しておく必要があります。
無料で試せる範囲が極めて狭い分野です。無料プランがあるのはecコンシェルのみで、他の4サービスには無料トライアルの記載もありません。効果を確かめてから本格導入するという進め方が取りにくく、導入判断は提案内容と事例に依ることになります。
運用の担い手を決めてから選んでください。Sprocketの成果コミット型伴走、KARTEのプロフェッショナルサービス、CODE Marketing Cloudのカスタマーサクセスは、いずれも人が関わる前提です。一方ecコンシェルとFlipdeskは運用サポートがオプションで、ツール単体でも導入できます。社内の体制によって、同じ予算でも適した選択肢が変わります。
@card 掲載5サービスの料金公開状況|料金を公開:2サービス(40%・ecコンシェル/Flipdesk)/個社見積り:3サービス/無料プランあり:1サービス(20%・ecコンシェル)/無料トライアルの記載あり:0サービス/初期費用の金額を公開:1サービス(Flipdesk 50,000円・税抜)
各サービスの詳細
株式会社クロスリスティングが提供するWeb接客ツールです。同社は2005年12月8日設立、資本金75百万円、従業員34名(2025年8月1日時点)で、東京都千代田区大手町の大手町ファーストスクエアに拠点を置きます(株式会社NTTドコモの100%子会社)。
掲載5社の中で唯一、費用をかけずに使い続けられる無料プランを持ちます。
料金は接客の配信回数を基準にプランが分かれます。 フリープランは永年無料で月100回の配信・1サイト・キャンペーン1つ、スタンダードプランは月9,800円で月10,000回の配信・2サイト・サイトごとにキャンペーン2つ、エンタープライズプランは月48,000円からで配信回数もサイト数もキャンペーン数も無制限です。
PVやUUではなく配信回数が基準になっているため、アクセスが多くても施策を出す回数が限られていれば費用は上がりません。 PV課金のFlipdeskとは、費用の伸び方が逆になります。逆に頻繁に接客を出す運用では、配信回数の枠を先に確認する必要があります。
機能はポップアップ、バナーの出し分け、A/Bテスト、AIによる接客最適化、CSVインポートによるセグメント配信です。運用サポートはオプションで、月次レポートやキャンペーン設定のサポート、月次ミーティングが含まれます。AI搭載で導入社数No.1を標榜しています。
株式会社マテリアルデジタルが提供するWeb接客ツールです。東京都港区赤坂のアーク森ビルに拠点を置きます。
料金を公開している数少ないサービスの一つで、金額の目安を事前に把握できます。スタンダードプランは初期費用50,000円・月額50,000円(いずれも税抜)で、月80万PVまでが対象です。超過分については別途見積りとなります。
ユーザー数とシナリオ数はいずれも無制限で、人数や施策の本数によって費用が変わることはありません。
課金の基準がPVであるため、アクセスの多いサイトほどプランの上限に近づきます。 逆に施策を多く作っても費用は変わらないため、細かくシナリオを分ける運用と相性があります。
機能はポップアップ、バナーの出し分け、属性・行動によるターゲティング、シナリオ配信です。チャットボット『Cross Talk』との連携に対応し、有人チャット連携は0円とされています。プッシュ通知や会員情報連携はオプションです。コンサルティングと運用サポートもオプションで提供されます。支払いは請求書後払いです。無料トライアルは料金ページ上に明記がありません。
株式会社プレイドが提供するCX(顧客体験)プラットフォームです。同社は2011年10月設立、資本金26億7,103万円(2021年12月時点)で、東京都中央区銀座のGINZA SIXに本社を置き、東京証券取引所グロース市場に上場しています(証券コード4165・2020年12月上場)。
掲載5社の中で、扱う範囲が最も広く取られています。 サイト上でのポップアップやチャット接客(KARTE Talk)、アンケートに加えて、KARTE Messageによるアプリ・メール・LINEへのマルチチャネル配信、KARTE Datahubによるデータ統合と活用まで含みます。Webサイトの改善にとどまらず、顧客とのやり取り全体を扱う構成です。
訪問者の行動をリアルタイムに解析してパーソナライズを行う点を軸としており、アパレル、コスメ、EC、金融・保険、不動産・住宅、人材、旅行・運輸、メディア、自治体など幅広い業種で使われています。
ISO/IEC 27001・ISO/IEC 27017:2015を会社として取得しており、掲載5社の中で認証を具体的に示しているのは本サービスとSprocketです。
料金は公式サイトで公開されておらず、課題のヒアリングに基づくエンタープライズ向けの個社見積りです。無料トライアルの記載もありません。プロフェッショナルサービスによる伴走支援が提供されます。導入先には三菱UFJ銀行・JTB・KOSEなどの名前が挙がっており、PLAIDグループのARRは2024年10月に100億円を突破しています。
株式会社Sprocketが提供するWeb接客ツールです。同社は2014年4月1日設立、資本金1億円の企業で、東京都品川区西五反田のK.U.ビルに拠点を置きます。導入実績は400社以上とされています。
特徴は支援の形にあります。専任のコンサルタントによる伴走支援を成果コミット型で提供しており、ツールを渡して終わりではなく、施策の設計から改善まで人が入る前提の構成です。社内に施策を回せる担当者がいない場合の選択肢になります。
機能としてはポップアップ、バナーの出し分け、A/Bテスト、シナリオ配信とパーソナライズを扱います。加えて顧客データを統合するCDPや、MA・BIの機能、外部データとの連携にも対応します。
ISO/IEC 27001:2022の認証を取得しています。
料金は公式サイトで公開されておらず、初期費用と月額の組み合わせでUUの規模帯に応じた個社見積りとなります。初期導入費用があるとされていますが金額は非公開です。無料トライアルの記載もありません。EC・小売や金融(銀行・証券・保険)を中心とした中堅から大企業を対象としています。
株式会社エフ・コードが提供するWeb接客ツールです。同社は2006年3月15日設立、資本金5,752万1千円(2025年12月末時点)、従業員850名(連結)で、東京都新宿区神楽坂の神楽坂外堀通りビルに本社を置き、東京証券取引所グロース市場に上場しています(証券コード9211)。
導入は500社以上、CVRは平均134%改善したと公式サイトに記載されています。
特徴は施策を作る手間を減らす仕組みにあります。業界別のウィジェットテンプレートが用意されており、ノーコードで施策を作成して高速に改善を回すことを想定した構成です。専門知識がなくても施策を出せる状態を目指しています。コンサルタントが伴走するSprocketとは、同じ課題への解き方が逆になります。
機能はポップアップ、バナーの出し分け、行動データによるターゲティングです。Google Analyticsとの連携やMAツールとの連携にも対応します。
料金は公式サイトで公開されておらず、PV/UVの規模帯に応じた月額と従量の組み合わせによる個社見積りです。無料トライアルの記載もありません。カスタマーサクセスによる運用支援が提供されます。EC、トラベル、不動産、人材、金融・メディアなど幅広い業種を対象としています。
よくある質問
無料で試せるサービスはありますか。
ecコンシェルに永年無料のフリープランがあり、接客配信100回/月・1サイト・キャンペーン1つという範囲で使えます。掲載5サービスの中で無料で使えるのは同サービスのみです。他の4サービスには無料プランがなく、無料トライアルの記載も公式にはありません。
料金の目安はどれくらいですか。
公式サイトで金額を確認できるのは2サービスです。ecコンシェルはスタンダードプランが月9,800円(接客配信10,000回/月・2サイト)、エンタープライズプランが月48,000円から(配信回数・サイト数とも無制限)です。Flipdeskは初期費用50,000円・月額50,000円(いずれも税抜)で月80万PVまでとなります。KARTE・Sprocket・CODE Marketing Cloudは個社見積りです。
PVが多いサイトではどのサービスが向いていますか。
課金の基準が異なるため一概には言えません。FlipdeskはスタンダードプランでPV80万までが対象で、超過分は別途見積りとなります。ecコンシェルは接客の配信回数が基準のため、PVが多くても施策を出す回数が限られていれば費用は上がりません。SprocketはUU、CODE Marketing CloudはPV/UVの規模帯で見積りとなります。
施策の運用を任せることはできますか。
Sprocketは専任コンサルタントによる伴走支援を成果コミット型で提供しています。KARTEはプロフェッショナルサービスによる伴走支援、CODE Marketing Cloudはカスタマーサクセスによる運用支援を掲げています。ecコンシェルは月次レポートやキャンペーン設定サポート、月次ミーティングを含む運用サポートをオプションで、Flipdeskもコンサルティングと運用サポートをオプションで提供しています。
Webサイト以外にも配信できますか。
KARTEはKARTE Messageによってアプリ・メール・LINEへのマルチチャネル配信に対応します。Flipdeskはプッシュ通知をオプションで提供しています。ecコンシェル・Sprocket・CODE Marketing Cloudは、サイト上での接客が中心の構成です。
チャットでの接客もできますか。
KARTEはKARTE Talkによるチャット接客に対応します。Flipdeskはチャットボット『Cross Talk』との連携が可能で、有人チャット連携は0円とされています。ecコンシェル・Sprocket・CODE Marketing Cloudは、ポップアップやバナーの出し分けが中心です。
初期費用はかかりますか。
Flipdeskは初期費用50,000円(税抜)を公開しています。Sprocketも初期導入費用があるとされていますが金額は非公開です。ecコンシェルは料金ページ上に初期費用の記載がなく、KARTEとCODE Marketing Cloudについても公式に明示がありません。