結論:金額で絞り込めないので、「誰が接客するのか」から決める
遠隔接客ツールを調べ始めると、まず料金の壁に当たります。本ページ掲載5サービスのうち、公式サイトに金額を出しているのはTimeRepの1社だけです。
店頭や窓口にモニターを設置して運用する仕組みである以上、拠点数や機材の構成によって必要なものが変わります。あらかじめ一律の金額を示しにくい性質があるということです。
金額で候補を絞れないため、先に決めるべきなのは接客の主体です。
| 導入目的 | おすすめのタイプ | 主なサービス |
|---|---|---|
| 1人で複数店舗を受け持って人を減らしたい | 来店検知センサーと複数カメラ切替で多拠点を同時対応。累計接客回数100万回超 | RURA |
| 費用の目安を先に知っておきたい | 掲載5サービスで唯一金額を公開。初期200,000円から・月額25,000円から(税抜) | TimeRep |
| AIに応対を任せて人は補助に回りたい | 生成AIが自律応対しオペレーターがコパイロットとして支える。最低契約12ヶ月 | AVACOM |
| 時間帯によって有人と無人を切り替えたい | 遠隔対応・サポート支援・無人/省人運用・緊急時対応の4モード切替 | InterPlay Elastic Framework |
| 自治体や金融の窓口に置きたい | 等身大のテレビ型でボタン1つで接続。官公庁のテレビ電話窓口700台以上 | テレ窓 |
遠隔接客ツールとは
店頭や窓口にモニターやサイネージを設置し、離れた場所にいるオペレーターが接客・案内・受付を行うための仕組みです。1つの拠点に人を常駐させずに済むため、人手不足の現場や、来客が断続的にしか発生しない窓口で使われます。
多くのサービスは、来訪者側の端末(モニター・サイネージ・タッチパネル)と、オペレーター側の管理画面、その間をつなぐ通信の3つで構成されています。ここに来店検知のセンサーやカメラの切り替え、多言語翻訳、AIによる自動応対といった機能が加わります。
Web会議ツールとの違いは、来訪者側が事前に何も準備していないという前提に立っている点です。アプリのインストールもアカウントも必要とせず、置いてある端末の前に立つ、あるいはボタンを押すだけで対応が始まります。
選び方
1. 接客するのは人か、AIか、切り替えるのか
これが最も大きな分岐です。掲載5サービスは次のように分かれます。
人が対応する前提なのがRURAとテレ窓です。RURAは1人のオペレーターが複数の拠点を同時に受け持つことを前提に設計されており、来店を検知するセンサーの通知と複数カメラの切り替えによって、取りこぼしを防ぐ構成をとっています。テレ窓は等身大のテレビ型端末で、対面と同等の応対を目指しています。
人が対応するがアバターを使うのがTimeRepです。実写映像に加えて10種類のアバターを使い分けられ、オリジナルのアバターを作ることもできます。
AIが主体になるのがAVACOMです。生成AIが自律的に応対し、オペレーターがコパイロットとして支える構成です。
状況で切り替えるのがInterPlay Elastic Frameworkです。遠隔対応・サポート支援・無人/省人運用・緊急時対応という4つのモードを持ち、時間帯や状況によって運用を変えられます。
人を減らすことが目的なのか、人の対応品質を保つことが目的なのかで、向く方向が変わります。
2. 金額が出ないことを前提に見積りの取り方を決める
掲載5サービスのうち、公式サイトで金額を確認できるのはTimeRepだけです。初期費用200,000円から・月額25,000円から(いずれも税抜)と下限が示されています。
RURA・AVACOM・InterPlay Elastic Framework・テレ窓の4サービスは、導入規模・拠点数・機材構成に応じた個社見積りとなっており、公式ページに金額の記載がありません。
複数社を比べるのであれば、同じ拠点数・同じ機材条件を提示して見積りを取る必要があります。条件を揃えずに集めた見積りは比較の材料になりません。
3. 対応できる言語の数を確認する
インバウンドや多国籍の来訪者への対応が目的であれば、言語数が実務に直結します。
- TimeRep:100言語以上のAIリアルタイム翻訳
- AVACOM:約100言語のリアルタイム翻訳
- InterPlay Elastic Framework:14言語の自動翻訳
- RURA:多言語翻訳に対応(公式ページに言語数の記載なし)
観光地や空港のように来訪者の国籍が読めない現場と、特定の言語だけ対応できればよい現場とでは、必要な水準が違います。
4. 実績のある現場の種類を見る
同じ遠隔接客でも、導入されている現場は分かれます。
テレ窓は官公庁のテレビ電話窓口で700台以上の実績があり、テレビ会議シリーズは累計10万台超・導入社数3,000社以上とされています。提供元は電気通信事業者としての認可を取得しています。自治体や金融の窓口を想定するならここが参考になります。
RURAは商業施設・観光・教育での実績が中心です。北海道エアポート・JTB・スルガ銀行・玉川髙島屋・JR東日本ホテルメッツ・立命館大学などで導入され、累計接客回数は100万回を超えています。
AVACOMはローソン・JR西日本SC開発・池田泉州ホールディングスなど、小売・商業施設・金融での事例が公開されています。
TimeRepは導入100社超・総通話80万件超・総通話時間13万時間超(2024年9月時点)としています。
5. 最低契約期間と試用の可否
AVACOMは最低契約期間を12ヶ月と明記しています。掲載5サービスの中で契約期間を公式に示しているのは同サービスだけで、短期間の試験導入には向きません。他の4サービスは公式ページ上に記載がないため、問い合わせでの確認になります。
試用については、掲載5サービスに無料プランはありません。無料トライアルを用意しているのはTimeRepとテレ窓の2サービスで、TimeRepはオプション機能を含む全機能を1ヶ月無料で試せるとしています。テレ窓は運用を無料トライアルで試せるとしていますが、期間の明記はありません。AVACOMは無料デモを実施しています。
タイプ別に見る
来店検知センサーの通知と複数カメラ切替。セルフレジ・セルフチェックイン機との連携にも対応
初期200,000円から・月額25,000円から(税抜)を公開。全機能を1ヶ月無料で試せる
生成AIの自律応対にオペレーターが加わる構成。サイネージとWebの両方に対応
4モード切替に加えAI-OCRで書類・名刺を読み取り、ノーコードで画面を作れる
ボタン1つで接続する等身大のテレビ型。簡単な機材設置のみで導入できる
本ページ独自のまとめ
掲載5サービスを調べたうえで、検討時に押さえておきたい点を挙げます。
料金公開率は掲載5サービス中1サービス(20%)です。本サイトで扱ってきたカテゴリの中でも低い水準にあります。ソフトウェアだけを提供するSaaSと違い、店頭に置く端末と設置作業が伴うため、構成を確定させないと金額が出せないという事情があると考えられます。検討には見積りを取る時間を織り込む必要があります。
唯一公開されているTimeRepの数字も下限です。初期費用200,000円から・月額25,000円から(税抜)という表記で、実際の金額は構成によって変わります。この数字を「相場」として他社に当てはめることはできません。
無料で使い続けられるものはありません。掲載5サービスに無料プランはなく、試用できるのもTimeRepとテレ窓の2サービスにとどまります。しかもテレ窓は期間の明記がないため、事前に確認が必要です。
契約期間の条件は表に出ていないことが多いです。AVACOMの12ヶ月という条件は公式に明記されていますが、他の4サービスは記載がありません。機材の設置を伴う以上、短期解約が難しい可能性は見積り時に確認しておくべき点です。
@card 掲載5サービスの料金公開状況|料金を公開:1サービス(20%・TimeRep/下限のみ)/料金非公開:4サービス/無料プランあり:0サービス/無料トライアルあり:2サービス(40%・うち期間を公開しているのは1サービス)
各サービスの詳細
タイムリープ株式会社が提供する遠隔接客サービスです。同社は2019年6月3日設立、資本金9億3,584万円(資本準備金含む)の企業で、東京都千代田区岩本町のアイアンビルヂングに拠点を置きます。グローリー株式会社と資本業務提携を結んでいます。
店頭にモニターを設置し、離れた場所にいるオペレーターが接客・案内・受付を行います。最大の特徴は、少人数で複数の拠点を同時に対応できる仕組みを備えている点です。
来店を検知するセンサーがオペレーターに通知を送り、複数のカメラを切り替えながら対応するため、1人が複数の店舗を受け持っても取りこぼしが起きにくい構成になっています。遠隔接客の目的が人員の集約である以上、1人あたり何拠点を見られるかがそのまま費用対効果を決めます。 多言語翻訳にも対応しており、インバウンドの来訪者に応対できます。
累計接客回数は100万回を超え、北海道エアポート・JTB・スルガ銀行・玉川髙島屋・JR東日本ホテルメッツ・立命館大学などで導入されています。
貨幣処理機大手のグローリーと資本業務提携を結んでおり、セルフレジやセルフチェックイン機などの端末との連携にも対応します。接客だけでなく決済や発券まで含めた無人化を検討する場合の選択肢になります。料金は導入規模・拠点数・機材構成に応じた個社見積りで、無料トライアルの明記もありません。
株式会社UsideUが提供する遠隔接客サービスです。同社は2017年6月設立、資本金100万円の企業で、東京都豊島区東池袋に拠点を置きます(ヒト・コミュニケーションズ・ホールディングスの子会社)。
店舗にモニターを設置し、遠隔のオペレーターが実写映像または10種類のアバターを使って接客します。オリジナルのアバターを作ることもできます。
掲載5社の中で、公式サイトに金額を出しているのは本サービスだけです。初期費用が200,000円から、月額が25,000円から(いずれも税抜)と下限が示されています。実際の金額は構成によって変わるため、詳細は問い合わせでの確認となりますが、桁の見当がつく状態で検討を始められる点は他社との差になります。
100言語以上に対応するAIリアルタイム翻訳を備えており、外国語での応対が必要な現場に対応します。画面共有やビジュアルシナリオ、モニタリングと声掛け、録音録画、LINE連携といった機能も用意されています。通話の文字起こしと自動分析は実装予定とされています。
オプション機能を含む全機能を1ヶ月無料で試せるプランがあるとされており、掲載5社の中では試用の条件が最も明確です。導入は100社を超え、総通話80万件超・総通話時間13万時間超(2024年9月時点)とされています。
AVITA株式会社が提供するアバター遠隔接客サービスです。同社は2021年6月1日設立、東京都目黒区下目黒のアルコタワーに拠点を置きます。アンドロイド研究で知られる石黒浩氏が率いる企業です。
他の多くのサービスが人のオペレーターを前提とするのに対し、本サービスは生成AIによる自律応対を中心に据え、オペレーターがコパイロットとして支える構成をとっています。人を集約するのではなく、そもそも人が対応する件数を減らす方向です。
サイネージとWebの両方に対応し、サイネージ・スマートフォン・PCといったマルチデバイスで利用できます。約100言語のリアルタイム翻訳、画面共有、ボイスチェンジ、Web会議システムとの連携を備えています。
料金は公式サイトに掲載されておらず、導入規模と利用方法に応じた個社見積りです。最低契約期間は12ヶ月とされており、掲載5社の中で契約期間を明記しているのは本サービスのみです。合わなかった場合に1年間は続く前提になるため、デモでの確認が重要になります。
無料デモを実施していますが、無料トライアルの提供については明記がありません。 ローソン・JR西日本SC開発・池田泉州ホールディングスなどでの導入事例が公開されています。
アルプス システム インテグレーション株式会社が提供する遠隔接客・受付のシステムです。同社は1990年4月2日設立、資本金2億50万円、従業員560名(ALSIグループ合計923名・2026年6月時点)で、東京都大田区雪谷大塚町に本社を置きます。アルプスアルパイン株式会社(上場)の傘下です。
特徴は、状況に応じて4つのモードを切り替えられる「選べる接客」という考え方にあります。4つのモードは、遠隔対応・サポート支援・無人/省人運用・緊急時対応です。常に有人で対応するのでも、常に無人にするのでもなく、時間帯や状況によって運用を変えられる構成になっています。来店が集中する時間帯は有人、それ以外は無人という運用が組めます。
実写のビデオ通話、アバター、AIアバターによる自動応対を1つのシステムで提供し、ChatGPTとの連携にも対応します。14言語の自動翻訳、書類や名刺を読み取るAI-OCR、ノーコードでの画面作成といった機能も備えています。
書類の読み取りまで扱える点は、受付や申込の窓口を遠隔化する用途で効きます。
料金は公式サイトに掲載されておらず、構成・規模に応じた個社見積りです。初期の画面作成は同社が対応するとされていますが、金額は問い合わせでの確認となります。無料トライアルの明記はありません。アルプスアルパイングループのシステムインテグレーターが提供している点は、既存システムとの接続を含む案件で判断材料になります。
株式会社RTCテックソリューションズが提供するテレビ型のリモート窓口サービスです。同社は2013年7月1日設立(事業開始1997年4月1日)の企業で、東京都港区芝公園の芝ファールビルディングに拠点を置きます。
等身大の画面で相手を映すことにより、対面と同等の応対を目指した構成になっています。小さな画面越しでは伝わりにくい説明や、相手の反応を見ながら進める応対に向きます。
利用者はボタンを1つ押すだけで遠隔のオペレーターにつながります。 操作が簡単なため、機器の扱いに慣れていない来訪者が多い窓口でも使いやすい設計です。複数の拠点にあった窓口を1か所に集約する用途にも対応します。
官公庁のテレビ電話窓口で700台以上の実績があり、テレビ会議シリーズは累計10万台超・導入社数3,000社以上とされています。掲載5社の中で公共分野での実績を具体的に示しているのは本サービスです。
導入は簡単な機材設置のみで済むとされており、大がかりな工事を前提としません。料金は公式サイトに掲載されておらず、利用規模に応じた個社見積りです。運用を無料トライアルで試せるとされていますが、期間の明記はありません。提供元は電気通信事業者としての認可を取得しています。
よくある質問
遠隔接客ツールの費用はどれくらいかかりますか。
掲載5サービスのうち公式サイトで金額を確認できるのはTimeRepのみで、初期費用200,000円から・月額25,000円から(いずれも税抜)です。いずれも下限の表記で、実際の金額は構成によって変わります。残る4サービスは導入規模・拠点数・機材構成に応じた個社見積りです。
なぜ料金が公開されていないのですか。
遠隔接客は店頭や窓口に端末を設置して運用する仕組みのため、拠点数や機材の構成によって必要なものが変わります。掲載5サービスの説明を見ても、導入規模・拠点数・機材構成に応じた見積りとされており、あらかじめ一律の金額を示しにくい性質があると考えられます。
AIが自動で応対してくれるサービスはありますか。
AVACOMは生成AIによる自律応対を備え、オペレーターがコパイロットとして支える構成です。InterPlay Elastic FrameworkもAIアバターによる自動応対とChatGPT連携に対応し、無人・省人運用のモードを持ちます。RURA・TimeRep・テレ窓は人のオペレーターが対応する前提の構成です。
外国語での対応はできますか。
TimeRepは100言語以上、AVACOMは約100言語のAIリアルタイム翻訳に対応します。InterPlay Elastic Frameworkは14言語の自動翻訳です。RURAも多言語翻訳を備えていますが、公式ページに言語数の記載はありません。
導入前に試すことはできますか。
掲載5サービスに無料プランはありません。無料トライアルがあるのはTimeRepとテレ窓の2サービスで、TimeRepはオプション機能を含む全機能を1ヶ月無料で試せるとしています。テレ窓は期間の明記がありません。AVACOMは無料デモを実施しています。
自治体の窓口でも使えますか。
テレ窓は官公庁のテレビ電話窓口で700台以上の実績があり、提供元は電気通信事業者としての認可を取得しています。InterPlay Elastic Frameworkも公共・自治体を対象に含めています。窓口業務での利用を検討する場合は、この2サービスが実績の面で参考になります。
Web会議ツールで代用できませんか。
来訪者側の前提が違います。遠隔接客ツールは、来訪者がアプリのインストールもアカウント登録もしていない状態から対応が始まることを前提としており、置いてある端末の前に立つ、あるいはボタンを押すだけで接続します。テレ窓はボタン1つでの接続、RURAは来店検知センサーによる通知というように、来訪者側の操作を減らす作りになっています。