給与計算アウトソーシングのおすすめ(目的別の早見表)
給与計算アウトソーシングは、大企業向けと中小企業向けで市場が分かれています。
ペイロール、ラクラス、ADPといった大手は従業員1,000名以上の組織を中心に受託し、料金は個社設計のため公式には非公開です。一方、給与プロや社労士系のサービスは中小企業向けに人数帯別の料金を公開しています。掲載5サービスの料金公開率は40%(5社中2社)です。
そして中小向けの2社は、人数によって順位が入れ替わります。当メディアの試算では、10名なら社労士系(合同会社FKJ)が年60,000円、給与プロが156,000円ですが、100名では給与プロが456,000円、社労士系が600,000円と逆転します。
| 導入目的 | おすすめのタイプ | 主なサービス |
|---|---|---|
| 数十名までで費用を抑えたい | 中小向け・社労士系 | 給与計算アウトソーシング(合同会社FKJ) |
| 数十〜100名で単価を下げたい | 中小向け・人数帯逓減型 | 給与プロ |
| 従業員の問い合わせ対応まで任せたい | 大企業向けフルBPO | ペイロール |
| システム導入と業務委託を同時に進めたい | 人事BPaaS | ラクラス(Larus) |
| 海外拠点の給与もまとめたい | グローバル基盤型 | ADP |
給与計算アウトソーシングとは?
給与計算アウトソーシングとは、毎月の給与・賞与計算から給与明細の発行、年末調整、住民税の更新までを外部の専門業者へ委託するサービスです。
給与ソフトを導入して自社で操作するのとは違い、業務そのものを外に出します。給与計算は締切が動かせず間違えられない業務であり、担当者が1人しかいない会社では、その人が休んだり辞めたりした瞬間に止まります。委託すれば属人化を解消でき、法改正への対応も委託先が担います。
費用の形は「基本料金+従業員1名あたり単価」が基本です。委託する範囲(給与計算のみか、年末調整・社会保険・問い合わせ対応まで含むか)で作業量が変わるため、大企業向けのサービスほど料金が非公開になります。
給与計算アウトソーシングの種類(大企業向けフルBPO・人事BPaaS・中小向け)
大企業向けフルBPOは、給与計算に加えて年末調整補助、住民税更新、マイナンバー管理、従業員からの問い合わせ対応までを一括で代行します。ペイロール(279社・123万人超)が該当します。
人事BPaaSは、クラウド基盤の提供と業務代行を組み合わせた形です。ラクラス(760社・86万人超・1,000名以上が中心)が該当し、システムの初期設定から運用まで引き受けます。
グローバル基盤型は、複数国の給与を1つのプラットフォームで管理します。ADP(140か国・110万社超)が該当します。
中小向けは、人数帯別の料金を公開しているのが特徴です。給与プロ(〜20名は月額27,000円の定額)と社労士系の合同会社FKJ(基本5,000円/回+1名500円)が該当します。
給与計算アウトソーシングの選び方(5つのポイント)
- 自社の規模が大企業向けか中小向けかを見極める。数十名の会社が大手BPOに依頼しても想定規模が合いません
- 人数によって有利な事業者が入れ替わる。10名と100名で中小向け2社の順位が逆転します
- どこまで委託するかを決める。賞与・住民税更新・年末調整・勤怠集計は別料金のことがあります
- 社会保険手続きまで任せられるかを確認する。社労士の業務なので体制がサービスごとに違います
- 初期費用とデータ移行の手間を見込む。切り替え時期は年度替わりや年末調整の後が軽くなります
給与計算アウトソーシングのタイプ別分類
給与計算から年末調整補助・住民税更新・問い合わせ対応まで一括代行。実績279社・123万人超
クラウド基盤の提供と業務代行を1契約で。カスタマイズ・アドオン開発にも対応
日本と海外拠点の給与を1つのプラットフォームで一元管理。140か国対応
人数帯別の料金を公開。数十名規模でも委託できる
給与計算アウトソーシングの料金相場(従業員1名あたり)
料金を公開している2サービスで集計しました。
| 指標 | 金額 |
|---|---|
| 最低 | 380円 |
| 中央値 | 440円 |
| 最高 | 500円 |
料金公開率は40%(5社中2社)です。別途基本料金がかかります(給与プロは月額13,000円、社労士系は5,000円/回)。単価だけでは総額が読めないため、次章の規模別コストを見てください。
大企業向けが非公開である理由
委託する範囲、従業員規模、使用するシステムによって作業量が大きく変わるためです。給与計算のみを任せる場合と、年末調整・社会保険・従業員の問い合わせ対応まで含む場合とでは、必要な体制がまったく違います。見積りを取るときは、委託したい業務の範囲・従業員数・現在使っているシステムを揃えて伝えると比較できます。
見落としがちな追加コスト
- 賞与計算:給与プロは基本13,000円+300円/人
- 住民税更新代行:給与プロは基本5,000円+300円/人
- 勤怠集計:社労士系(FKJ)は1,000円〜/名
- 初期費用:給与プロは初期設定50,000円〜+社員情報登録300円/人+経過月データ登録200円/人月。社労士系は月額料金の1か月分
給与計算アウトソーシングの企業規模別コスト(10名・50名・100名)
料金を公開している2サービスについて、当メディアが年間コストを試算しました(基本料金を含む、オプションと初期費用は含みません)。
| 従業員数 | 給与計算アウトソーシング(FKJ) | 給与プロ |
|---|---|---|
| 10名 | 60,000円 | 156,000円 |
| 50名 | 300,000円 | 228,000円 |
| 100名 | 600,000円 | 456,000円 |
10名では社労士系が安く、50名以降は給与プロが逆転します。 給与プロは21〜40名600円、41〜60名500円、61〜80名400円、81〜100名380円と人数帯で単価が下がるのに対し、社労士系は1名500円で一定だからです。
給与計算ソフトを自社で使う場合との比較
当メディアの集計では、給与計算ソフトの100名時点の年間コストは204,000円〜480,000円でした。アウトソーシング(456,000円〜600,000円)のほうが高くなります。
アウトソーシングの価値は費用ではなく、担当者の属人化を解消し、実務そのものを外に出せる点にあります。給与担当が1人しかいない、法改正への対応が追いつかない、といった課題があるなら、費用差に見合う効果が出ます。
給与計算アウトソーシングの比較表(主要5サービス)
| サービス | 料金 | 対象規模 | 代行範囲 | 社会保険 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| ペイロール | 要問い合わせ | 大企業・大規模組織 | 給与・賞与・年末調整補助・住民税更新・仕訳・マイナンバー | 提携社労士と連携 | 従業員問い合わせのコールセンターまで代行 |
| ラクラス(Larus) | 要問い合わせ | 1,000名以上が中心 | 給与・勤怠・人事管理・ワークフロー・年末調整 | 幅広く受託(体制は要確認) | クラウド基盤+BPO。カスタマイズ対応 |
| ADP | 要問い合わせ | 外資系・グローバル企業 | 給与・社会保険・年末調整・明細発行 | 提携社労士・税理士と連携 | 140か国を1つの基盤で一元管理 |
| 給与プロ | 基本13,000円/月+380〜600円/人(〜20名は27,000円定額) | 中小(〜100名。101名〜は要相談) | 給与・明細・振込データ(賞与等はオプション) | 提携社労士が対応 | 人数帯で単価が逓減 |
| 給与計算アウトソーシング(FKJ) | 基本5,000円/回+500円/名 | 小規模〜中小 | 給与・Web明細(勤怠集計等は別途) | 関連社労士事務所が対応 | 社労士が運営・少人数で有利 |
おすすめの給与計算アウトソーシング5選
- 概要:1989年から給与計算アウトソーシングを専業とするBPO。導入実績は279社・123万人超(2026年2月時点)です。
- 特徴:
- 従業員からの問い合わせに応対するコールセンターまで代行
- 年末調整補助・住民税更新補助・仕訳計算・マイナンバー管理まで含む
- 勤怠システム導入や社会保険手続きとのパッケージがある
- 料金:委託範囲・規模による個社設計のため非公開(要問い合わせ)。
- 注意点:大企業・大規模組織が主な対象です。数十名規模の会社では想定と合わない可能性があります。
- こんな企業に向いている:従業員の問い合わせ対応まで任せたい大企業。
- 概要:クラウド基盤とBPOを組み合わせた人事BPaaS。760社・86万人以上の受託実績があり、従業員1,000名以上の大企業が中心です。
- 特徴:
- システムの初期設定から日々の運用まで引き受ける
- 給与・勤怠・人事管理・ワークフロー・年末調整を一貫して代行
- カスタマイズ・アドオン開発に対応
- 料金:委託範囲・規模による個社設計のため非公開(要問い合わせ)。
- 注意点:システム利用と業務代行がセットのため、システムだけを比較しても総額は分かりません。
- こんな企業に向いている:システム導入と業務委託を同時に進めたい大企業。
- 概要:1949年創業・世界140か国で110万社超に給与サービスを提供するグローバル最大手の日本サービスです。
- 特徴:
- 日本と海外拠点の給与を1つのプラットフォームで一元管理
- 日本の制度には提携社労士・税理士と連携して対応
- 多言語対応のポータルとWeb明細
- 料金:個社の要件による見積りのため非公開(要問い合わせ)。
- 注意点:強みは複数国にまたがる運用にあります。日本単体の委託なら国内専業のほうが要件に合う場合があります。
- こんな企業に向いている:海外拠点の給与もまとめたいグローバル展開企業。
- 概要:中小企業向けに人数帯別の料金を公開している給与計算アウトソーシングです。
- 特徴:
- 〜20名は月額27,000円の定額、21〜40名は基本13,000円+600円/人
- 41〜60名500円、61〜80名400円、81〜100名380円と単価が逓減
- 勤怠データの入力から代行の範囲に含まれる
- 料金:基本料金(月額固定)+1名あたり単価。初期設定50,000円〜+社員情報登録300円/人+経過月データ登録200円/人月。
- 注意点:賞与計算・住民税更新代行・年末調整代行はオプションです。101名以上は要相談です。
- こんな企業に向いている:数十〜100名で単価を下げたい中小企業。
- 概要:社会保険労務士が運営する小規模〜中小企業向けの給与計算代行。基本料と1名あたり単価を公開しています。
- 特徴:
- 基本料5,000円/回+1名500円と料金が明快
- 10名なら年60,000円と少人数で有利
- 社労士が運営し、社会保険手続きまで対応
- 料金:基本料5,000円/回+従業員1名あたり500円。初期費用は給与計算月額料金の1か月分。
- 注意点:勤怠集計は1,000円〜/名で別途です。単価が一定のため、100名では年600,000円と給与プロを上回ります。
- こんな企業に向いている:数十名までで費用を抑えたい会社、社会保険もまとめて相談したい会社。
規模別のおすすめ
〜30名:社労士系(合同会社FKJ)が費用面で有利です(10名で年60,000円)。基本料5,000円/回と低く、少人数でも委託しやすい水準です。
31〜100名:給与プロが逆転します(50名で年228,000円、100名で456,000円)。人数帯で単価が下がるため、規模が大きくなるほど有利です。
101名以上:給与プロは要相談になります。1,000名を超える規模ではペイロール、ラクラス、ADPといった大企業向けフルBPOが対象です。いずれも料金は個社設計なので、委託範囲を固めて見積りを取ることになります。
給与計算アウトソーシングのデメリット・注意点
- 給与計算ソフトより費用は高い:100名でソフトが204,000〜480,000円、アウトソーシングが456,000〜600,000円です
- 料金非公開が多い:5社中3社が非公開で、比較には見積りが必要です
- オプションが総額を左右する:賞与・住民税更新・年末調整・勤怠集計は別料金のことがあります
- データ移行の手間がある:過去の給与データと従業員情報を渡す作業が最初に発生します
給与計算アウトソーシング導入の流れ
- 委託範囲を決める:給与計算のみか、年末調整・社会保険・問い合わせ対応まで含めるか
- 規模で候補を絞る:数十名なら中小向け、1,000名規模なら大企業向けフルBPO
- 見積りを取る:委託範囲・従業員数・現在のシステムを揃えて複数社に依頼する
- データ移行の計画を立てる:過去データの登録費用と作業量を確認する
- 切り替え時期を決める:年度替わりや年末調整の後が、移行の負担が小さくなります
給与計算アウトソーシングのよくある質問
料金相場はいくら?
料金を公開している2サービスで、従業員1名あたり最安380円・中央値440円・最高500円でした。別途基本料金がかかります(給与プロ13,000円/月、社労士系5,000円/回)。10名の年間コストは60,000円〜156,000円、100名では456,000円〜600,000円です。
給与計算ソフトとどちらが安い?
費用だけならソフトです(100名で204,000〜480,000円 対 456,000〜600,000円)。アウトソーシングの価値は、担当者の属人化を解消し実務そのものを外に出せる点にあります。
なぜ料金が非公開の会社が多い?
委託範囲・規模・使用システムで作業量が大きく変わるためです。掲載5社中3社が非公開です。見積りでは委託したい業務の範囲を具体的に伝えてください。
社会保険の手続きも任せられる?
任せられます。社会保険手続きは社労士の業務なので、社労士系のサービスは関連事務所が対応し、ペイロールやADPは提携社労士と連携します。
従業員からの問い合わせも対応してもらえる?
ペイロールは従業員からの問い合わせに直接応対するコールセンターまで代行します。対応範囲はサービスごとに異なるため、見積り時に確認してください。
いつ切り替えるのがよい?
年度替わりや年末調整の後が、移行するデータが少なく負担が軽くなります。給与プロは経過月データの登録に200円/人月かかるため、移行量は費用にも影響します。
まとめ
給与計算アウトソーシングは、自社の規模がどちら側にあるかで候補が決まります。
数十名までなら社労士系(合同会社FKJ)が年60,000円(10名)、数十〜100名なら人数帯で単価が下がる給与プロ(100名で456,000円)、従業員の問い合わせまで任せたいならペイロール、システムごと任せたいならラクラス、海外拠点も含めるならADPが候補になります。
費用だけを見れば給与計算ソフトのほうが安く収まります。それでも委託を選ぶ理由は、担当者が1人しかいない状態を解消できることにあります。属人化が課題なら、費用差に見合う効果が出ます。
料金・仕様は変更される場合があります。契約前に各公式サイトで最新情報をご確認ください。