ITSMツールの料金は1エージェント(対応担当者)あたりの月額で示されることが多く、金額だけを見ると近い水準に並びます。ところが同じ金額帯でも、使えるITILのプロセスがまったく違います。
FreshserviceのStarterは1エージェント月額19ドルですが、含まれるのはインシデント管理とサービスリクエスト/サービスカタログが中心です。問題管理はGrowth(49ドル)以上、変更管理はPro(99ドル)以上となります。
一方Jira Service ManagementのStandardは約20ドルで、インシデント管理・問題管理・変更管理・SLA・自動化までが含まれます。ほぼ同額なのに対応範囲が異なるわけです。この記事では掲載5サービスについて、プランごとの対応プロセス、課金の軸、初期費用を一次データから整理しました。
結論:対応プロセス・課金の軸・初期費用の3点で絞る
先に結論を述べます。
1つめは、そのプランで何が使えるかです。変更管理まで必要なら、FreshserviceはPro(99ドル)が要ります。Jira Service ManagementならStandard(約20ドル)で足ります。ServiceNowも変更管理・問題管理はAdvanced以上です。金額ではなく「必要なプロセスが含まれるプラン」で比べる必要があります。
2つめは、課金の軸です。Freshservice・Jira・ServiceNow・LMISは1エージェント(ユーザー)あたりの月額で、担当者が増えると比例します。SmartStage ServiceDeskはユーザー数無制限で月額80,000円(月300チケット込み)です。担当者が多い組織では有利になります。
3つめは、初期費用です。SmartStage ServiceDeskは0円、LMISは300,000円です。25ユーザーで1年使う場合、SmartStageが960,000円、LMISが初期費用込みで1,740,000円という差になります。
ITSMツールとは
ITSM(ITサービスマネジメント)ツールは、IT部門に寄せられる問い合わせや依頼を管理するためのツールです。ITILというフレームワークに沿って、インシデント管理、問題管理、変更管理、構成管理といったプロセスを扱います。
単なる問い合わせ管理と違うのは、変更管理や構成管理まで含む点です。「システムに変更を加える際の承認フロー」や「どの機器がどう繋がっているかの管理」まで扱うため、対応するプロセスの範囲が製品選定の中心になります。
当メディアの調査では「ITSM」という検索キーワードの指数は直近25か月で27〜84の範囲を推移し、平均は50.0でした。前半12か月の平均41.2に対し後半12か月は59.3で、およそ44%上がっています。最大は2026年2月の84で、2026年に入ってから高い水準が続いています。
選び方:5つの確認ポイント
1. そのプランでどのITILプロセスが使えるかを確認する
掲載5サービスのプランごとの対応プロセスを整理すると次のようになります。
| サービス | プラン | 金額 | 対応プロセス |
|---|---|---|---|
| Freshservice | Starter | $19/agent・月 | インシデント、サービスリクエスト、ナレッジ |
| Freshservice | Growth | $49/agent・月 | +問題管理、オーケストレーション、SLA |
| Freshservice | Pro | $99/agent・月 | +変更管理、リリース管理、ITAM |
| Jira Service Management | Standard | 約$20/agent・月 | インシデント、問題、変更、SLA、自動化 |
| ServiceNow | Foundation | 要問い合わせ | インシデント、サービスカタログ、資産管理/CMDB |
| ServiceNow | Advanced | 要問い合わせ | +変更管理、問題管理、プロセスマイニング |
| LMIS | 基本構成 | 月120,000円(25ユーザー) | インシデント、問題、変更、リリース、構成、リクエスト(6プロセス) |
| SmartStage ServiceDesk | ベーシック | 月80,000円(無制限) | インシデント、問題、変更、構成、リクエスト(5プロセス) |
FreshserviceのStarter($19)とJiraのStandard(約$20)はほぼ同額ですが、後者には問題管理と変更管理が含まれます。Freshserviceで同じ範囲を使うにはPro($99)が必要で、5倍以上の金額になります。
LMISは基本構成で6プロセス、SmartStage ServiceDeskは最安プランで5プロセスに対応します。円建ての2サービスは、プランを上げなくても主要プロセスが揃う構成です。
2. 課金の軸が人数かチケット数かを見る
掲載5サービスは料金が増える理由が分かれます。
エージェント/ユーザー課金
- Freshservice:1エージェント月額($19〜$99)
- Jira Service Management:1エージェント月額(約$20〜$51)
- ServiceNow:フルフィラー1ユーザー月額(要問い合わせ)
- LMIS:1ユーザー月額4,800円相当(最小25ユーザー)
ユーザー無制限+チケット従量
- SmartStage ServiceDesk:月額80,000円(ユーザー無制限・月300チケット・ディスク20GB込み)
対応担当者が多い組織ではユーザー無制限型が有利になり、担当者は少ないが問い合わせ件数が多い場合は逆になります。SmartStage ServiceDeskには別途ユーザー課金のオプションもあり、そちらは1ユーザー月額2,000円・最小25ユーザーです。
3. 初期費用と最小ユーザー数を確認する
導入時の条件も分かれます。
- SmartStage ServiceDesk:初期費用0円、ユーザー数の下限なし
- LMIS:初期費用300,000円、基本構成は最小25ユーザー
- Freshservice・Jira Service Management:料金ページ上に初期費用の記載なし
- ServiceNow:要問い合わせ
25ユーザーで1年使う場合を計算すると次のようになります。
- SmartStage ServiceDesk ベーシック:月80,000円 × 12 = 960,000円(初期0円)
- LMIS 基本構成:月120,000円 × 12 = 1,440,000円 + 初期300,000円 = 1,740,000円
LMISは最小25ユーザーからのため、少人数のIT部門では他の選択肢が必要になります。
4. 無料で始められるか、試せるかを見る
掲載5サービスの中で無料プランがあるのはJira Service Managementのみです。Freeプランは最大3エージェントまで無期限で利用でき、基本のインシデント管理とサービスリクエスト管理が使えます。少人数のIT部門であれば費用をかけずに運用を始められます。
無料トライアルは次のとおりです。
- Freshservice:14日間(全機能・全プラン対象)
- Jira Service Management:有料プランで提供
- ServiceNow:デベロッパー向けの無料インスタンスとデモ(商用トライアルは要問い合わせ)
- LMIS:公式明記なし(オンラインデモを提供)
- SmartStage ServiceDesk:公式明記なし(初期費用0円で開始可能)
Freshserviceのトライアルは全プランが対象のため、どのプランが必要かを実際に確認してから契約できます。プランによって使えるプロセスが変わる製品では、この条件が効いてきます。
5. オンプレミス対応と既存環境との連携を確認する
提供形態と連携先も判断材料になります。
Jira Service ManagementはクラウドのSaaSに加えてData Center版(オンプレミス)を用意しており、掲載5サービスの中でオンプレミスに対応するのはJira Service Managementです。連携面ではJira SoftwareやConfluenceといったAtlassian製品、Atlassian Marketplaceの多数のアプリ、Slack・Microsoft Teamsとの連携に対応します。
LMISはSalesforce基盤で提供され、AppExchangeのエコシステムを利用できます。構成情報を自動収集するAutomatic CI collectorやセルフサービスポータルはオプションです。
FreshserviceはREST APIとMarketplaceアプリ、SmartStage ServiceDeskはAPI連携(プロフェッショナル以上)、ServiceNowはNow PlatformのIntegrationHubと多数のSaaS・監視・認証基盤連携を持ちます。
独自データ:料金公開率とプランごとの対応範囲
当メディアが掲載5サービスの公式サイトを2026年7月時点で調査した結果は次のとおりです。
料金公開率は80%(4/5)でした。Freshservice、Jira Service Management、LMIS、SmartStage ServiceDeskが金額を公開しており、ServiceNowのみ3ティアとも要問い合わせです。
最安プランで変更管理が使えるのは3サービスです。Jira Service ManagementのStandard、LMISの基本構成、SmartStage ServiceDeskのベーシックです。FreshserviceはPro($99)以上、ServiceNowはAdvanced以上となります。
課金の軸は2通りに分かれます。エージェント/ユーザー課金が4サービス、ユーザー無制限+チケット従量が1サービス(SmartStage ServiceDesk)です。
初期費用を公開しているのは2サービスです。SmartStage ServiceDeskが0円、LMISが300,000円です。FreshserviceとJira Service Managementは記載がなく、ServiceNowは要問い合わせとなります。
無料プランがあるのは20%(1/5)、無料トライアルは60%(3/5)です。無料プランはJira Service ManagementのFree(最大3エージェント・無期限)のみで、日数を公開しているトライアルはFreshserviceの14日間のみです。
オンプレミスに対応するのは1サービスです。Jira Service ManagementのData Center版のみとなります。
掲載5サービスの比較
| サービス | 提供元 | 課金の軸 | 最安プラン | 変更管理 | 無料 |
|---|---|---|---|---|---|
| Jira Service Management | Atlassian Corporation | 1エージェント | Free(3人・無期限) | Standard(約$20)から | 無料プランあり |
| Freshservice | Freshworks Inc. | 1エージェント | $19/agent・月 | Pro($99)から | 14日トライアル |
| SmartStage ServiceDesk | 株式会社クレオ | ユーザー無制限 | 月80,000円(初期0円) | ベーシックから | なし |
| LMIS | 株式会社ユニリタ | 1ユーザー(最小25) | 月120,000円+初期30万円 | 基本構成から | なし |
| ServiceNow ITSM | ServiceNow, Inc. | フルフィラー1ユーザー | 要問い合わせ | Advanced から | 開発者向け無料枠 |
各サービスの詳細
掲載5サービスの中で唯一、無料プランとオンプレミス版の両方を持つITSMツールです。
Freeプランは最大3エージェントまで無期限で利用でき、基本のインシデント管理とサービスリクエスト管理が使えます。少人数のIT部門であれば費用をかけずに運用を始められます。
有料プランはStandardが約20ドル/エージェント・月(USD建てリスト価格)で、インシデント管理、問題管理、変更管理、SLA、自動化を含みます。FreshserviceのStarter($19)とほぼ同額でありながら、対応するプロセスの範囲が異なります。Premiumは約51ドル/エージェント・月でアセット管理の拡張、24時間365日サポート、仮想エージェントなどが加わります。Enterpriseは全社ガバナンスや無制限インスタンスに対応するカスタム見積りです。
提供形態はクラウドのSaaSに加えてData Center版(オンプレミス)があり、掲載5サービスの中でオンプレミスに対応するのはJira Service Managementです。データを社内に置く必要がある場合の選択肢になります。
連携面ではJira SoftwareやConfluenceといったAtlassian製品と同じ基盤で扱えるため、開発チームと運用チームで情報を共有しやすくなります。Atlassian Marketplaceの多数のアプリ、Slack・Microsoft Teams・各種APIにも対応します。料金はUSD建てです。
1エージェントあたりの月額でプランが4段階に分かれるITSMツールです。掲載5サービスの中で入口の金額はもっとも低い水準です。
Starterは19ドル/エージェント・月(年払い・USD建て)で、インシデント管理、サービスリクエスト/サービスカタログ、ナレッジベース、基本自動化が含まれます。
ただし上位プランでないと使えないプロセスがあります。問題管理はGrowth(49ドル/エージェント・月)以上、変更管理・リリース管理・IT資産管理(ITAM)・高度分析はPro(99ドル/エージェント・月)以上です。変更管理まで必要な場合、Starterの5倍以上の金額になります。Enterpriseはカスタム価格で、IT/ビジネスワークフローの全社展開と高度なAI機能に対応します。
14日間の無料トライアルがあり、全機能・全プランが対象です。プランによって使えるプロセスが変わる製品のため、実際にどのプランが必要かを確認してから契約できる点は実務上の利点になります。
連携面ではREST API、Marketplaceアプリ、Slack・Microsoft Teams・各種クラウドサービスに対応します。料金はUSD建てのため、日本円での支払額は為替相場の影響を受けます。
掲載5サービスの中で唯一、ユーザー数無制限の課金体系を採用するITSMツールです。
ベーシックは月額80,000円で、ユーザー数無制限・月300チケット・ディスク20GBが含まれます。初期費用は0円です。プロフェッショナルは月額100,000円で、ベーシックの機能にFAQ自動生成、API連携、ローコード機能が加わります。エンタープライズは別途見積りです。
課金の軸がユーザー数ではなくチケット数のため、対応担当者が多い組織では有利になります。25ユーザーで1年使う場合、ベーシックなら月額80,000円×12か月で960,000円、初期費用は0円という計算です。超過はチケット数とディスク容量の従量となります。なお別途ユーザー課金のオプションもあり、こちらは1ユーザー月額2,000円・最小25ユーザーです。
対応プロセスはインシデント管理、問題管理、変更管理、構成管理、サービスリクエスト管理の5つを最安プランから扱えます。ユーザーポータルとAI検索もベーシックから利用でき、FAQ自動生成とAPI連携はプロフェッショナル以上となります。
無料トライアルの公式明記はありませんが、初期費用0円で開始できる点が実質的な入口となります。
Salesforce基盤のクラウドで提供されるITSMツールです。掲載5サービスの中でもっとも多くのプロセスを基本構成で扱えます。
料金は基本構成が月額120,000円(25ユーザー・1ユーザーあたり4,800円相当)+初期費用300,000円です。製品サポートが基本構成に含まれます。ユーザー追加は1ユーザー単位で月額4,800円(初期費用なし)となります。最小25ユーザーからのため、少人数での導入はできません。
25ユーザーで1年使う場合、月額120,000円×12か月の1,440,000円に初期費用300,000円を加えて初年度1,740,000円という計算になります。契約は年単位です。
対応プロセスはインシデント管理、問題管理、変更管理、リリース管理、構成管理、サービスリクエスト管理の6つで、掲載5サービスの中でもっとも多くのプロセスを基本構成で扱えます。プランを上げなくても主要プロセスが揃う構成です。
Salesforceエコシステム(AppExchange)を利用でき、すでにSalesforceを使っている場合に親和性があります。構成情報を自動収集するAutomatic CI collectorとセルフサービスポータルはオプションです。無料トライアルの公式明記はなく、オンラインデモが提供されています。
中堅〜大企業・エンタープライズを対象としたITSMプラットフォームです。
プランは3ティアです。Foundationにはインシデント管理、サービスカタログ/リクエスト管理、資産管理/CMDB、仮想エージェント、Now Assistが含まれます。Advancedでは変更管理・問題管理に加えて、AIボイスエージェント、プロセスマイニング、オンコール管理などが追加されます。Primeは最上位ティアで、自律型AIエージェントと最大のNow Assist割当に対応します。
変更管理と問題管理がAdvanced以上である点は、導入時に確認しておく必要があります。一方でFoundationから資産管理/CMDBが使えるため、構成情報の管理を重視する場合は最下位ティアでも対応できます。
料金は3ティアとも要問い合わせで、フルフィラー1ユーザー月額のサブスクリプション(モジュール別・カスタム見積り)とされています。
Now Platformを基盤とし、IntegrationHubによる各種API連携、多数のSaaS・監視・認証基盤との連携、生成AI(Now Assist)と仮想エージェントを備えます。デベロッパー向けの無料インスタンスとデモが提供されており、商用トライアルは要問い合わせです。
よくある質問
ITSMツールの費用相場はいくらですか。
掲載5サービスのうち4サービスが料金を公開しています。Freshserviceは1エージェント月額でStarterが19ドル、Growthが49ドル、Proが99ドル(いずれも年払い・USD建て)です。Jira Service ManagementはFreeが無料(最大3エージェント)、Standardが約20ドル/エージェント・月、Premiumが約51ドル/エージェント・月です。LMISは最小25ユーザーの基本構成が月額120,000円(1ユーザーあたり4,800円相当)+初期費用300,000円、SmartStage ServiceDeskはユーザー数無制限でベーシックが月額80,000円(初期0円)、プロフェッショナルが月額100,000円です。ServiceNowは3ティアとも要問い合わせとなります。
安いプランでも変更管理は使えますか。
サービスによって異なります。FreshserviceのStarter(月額19ドル)では変更管理が使えず、Pro(月額99ドル)以上が必要です。問題管理もGrowth(月額49ドル)以上となります。Jira Service ManagementのStandard(約20ドル/エージェント・月)はインシデント管理・問題管理・変更管理を含みます。LMISは基本構成でインシデント・問題・変更・リリース・構成・サービスリクエストの6プロセス、SmartStage ServiceDeskはインシデント・問題・変更・構成・サービスリクエストの5プロセスに対応します。ServiceNowはFoundationにインシデント管理・サービスカタログ・資産管理/CMDBが含まれ、変更管理と問題管理はAdvanced以上です。
対応担当者が増えると料金は上がりますか。
Freshservice、Jira Service Management、ServiceNow、LMISは1エージェント(またはフルフィラー・ユーザー)あたりの月額のため、担当者が増えると比例して上がります。LMISはユーザー追加が1ユーザーあたり月額4,800円です。SmartStage ServiceDeskはユーザー数無制限で、ベーシックが月額80,000円(月300チケット・ディスク20GB込み)、超過はチケット数とディスク容量の従量となります。担当者が多い組織ではユーザー無制限型が有利になります。
初期費用はかかりますか。
SmartStage ServiceDeskは初期費用0円です。LMISは基本構成で初期費用300,000円が必要となります。FreshserviceとJira Service Managementは料金ページ上に初期費用の記載がなく、ServiceNowは要問い合わせです。
無料で使えるサービスはありますか。
掲載5サービス中1サービスに無料プランがあります。Jira Service ManagementのFreeプランで、最大3エージェントまで無期限で利用でき、基本のインシデント管理とサービスリクエスト管理が使えます。無料トライアルはFreshserviceが14日間(全機能・全プラン対象)、Jira Service Managementが有料プランで提供、ServiceNowはデベロッパー向けの無料インスタンスとデモを提供しています。LMISとSmartStage ServiceDeskは無料トライアルの公式明記がありません。
オンプレミスでも導入できますか。
掲載5サービスの中でオンプレミスに対応するのはJira Service ManagementのData Center版です。Freshservice、SmartStage ServiceDesk、ServiceNowはクラウドでの提供、LMISはSalesforce基盤のクラウドで提供されます。データを社内に置く必要がある場合、選択肢が限られます。