eKYCの料金を比べるときに見るべきは、月額そのものではなく1件あたりの本人確認コストです。
掲載5社の多くが月額固定費に件数従量を足す構成を取っており、同じサービスでも件数によって1件あたりが大きく変わります。
金額を細かく公開しているLIQUID eKYCのベーシックプラン(初期5万円・月額固定3万円+書類+容貌撮影150円/件・いずれも税抜)で試算します。
| 月間件数 | 月額合計 | 1件あたり |
|---|---|---|
| 50件 | 37,500円 | 750円 |
| 100件 | 45,000円 | 450円 |
| 500件 | 105,000円 | 210円 |
| 1,000件 | 180,000円 | 180円 |
| 10,000件 | 1,530,000円 | 153円 |
件数が200倍になると、1件あたりは 750円 ÷ 153円 = 約4.9倍下がります。
結論:1件あたり・確認方式・課金の形の3点で絞る
先に結論を述べます。
1つめは、1件あたりのコストです。月額固定費が薄まって従量単価に近づいていくため、自社の月間確認件数を先に見積もる必要があります。
2つめは、確認方式です。LIQUID eKYCは書類のみ50円/件と書類+容貌150円/件で3倍の差があります。犯収法が求める方式か、年齢確認で足りるかで選ぶ方式が変わります。
3つめは、課金の形です。「月額固定+従量」と「件数帯の定額」で下がり方が違います。GMO顔認証eKYCは帯をまたぐと1件あたりが4分の1になります。
掲載5社の料金公開率は60%(3/5)で、公開の粒度も社ごとに違います。無料トライアルは0社でした。
eKYCサービスとは
eKYCサービスとは、身分証の撮影や顔写真の照合、ICチップの読み取りによって、オンラインで本人確認を完結させる仕組みです。
「electronic Know Your Customer」の略で、犯罪収益移転防止法(犯収法)や古物営業法、携帯電話不正利用防止法などが求める確認方法に沿って、対面や郵送に代わる手段を提供します。
従来は本人確認書類のコピーを郵送してもらい、転送不要郵便を返送して住所を確認する運用が一般的でした。この方法は申込から利用開始まで数日から1週間以上かかり、その間に離脱が発生します。eKYCはこの工程をスマートフォン上で完結させます。
主な確認方式は次のとおりです。
- ホ方式:身分証の撮影+容貌(顔)撮影
- ICチップ読み取り:マイナンバーカードや運転免許証のICチップを読む
- 公的個人認証(JPKI/ワ方式):マイナンバーカードの電子証明書を使う
当メディアの調査では、「eKYC」という検索キーワードの指数は直近25か月で51〜91の範囲を推移し、平均は65.9でした。最低は2024年8月の51、最高は2026年6月の91で、先頭56に対し末尾62と6ポイント上げています。2024年は50〜60台でしたが2025年後半から70台に乗り、2026年は74〜91と一段高い水準です。当メディアが扱ってきたカテゴリの中でも上昇が続いている領域です。
選び方:5つの確認ポイント
1. 月額ではなく1件あたりの本人確認コストで比べる
掲載5社の多くは月額固定費に件数従量を足す構成のため、月額だけを見ても実際の負担は分かりません。
冒頭の試算を、計算を明示して確かめます。LIQUID eKYCのベーシックプラン(月額固定3万円+書類+容貌150円/件・いずれも税抜)です。
- 月50件:30,000円 + 150円 × 50件 = 37,500円(1件750円)
- 月1,000件:30,000円 + 150円 × 1,000件 = 180,000円(1件180円)
- 月10,000件:30,000円 + 150円 × 10,000件 = 1,530,000円(1件153円)
件数が増えるほど月額固定費3万円が薄まり、従量単価の150円に近づいていきます。
月50件では1件750円と従量単価の5倍になりますが、月1万件では153円とほぼ従量単価そのものです。小規模な事業ほど固定費の重みが効く構造です。
2. 必要な確認方式を確定してから見積もる
確認方式によって単価が変わります。
LIQUID eKYCは書類撮影のみが50円/件、書類+容貌撮影が150円/件(いずれも税抜・ベーシックプラン)で3倍の差があります。
月1,000件で試算します。
- 書類のみ:30,000円 + 50円 × 1,000件 = 80,000円(1件80円)
- 書類+容貌:30,000円 + 150円 × 1,000件 = 180,000円(1件180円)
- 180,000円 ÷ 80,000円 = 2.25倍
犯罪収益移転防止法が求める本人確認にはホ方式(身分証+容貌撮影)やICチップ読み取り、公的個人認証(JPKI)などが該当する一方、年齢確認のように容貌撮影を要しない用途もあります。
自社に適用される業法と必要な方式を確定してから見積もると、過剰な方式を選ばずに済みます。LIQUID eKYCとGMO顔認証eKYCはいずれも年齢判定機能を持ちます。
3. 月額固定+従量か、件数帯の定額かを見る
課金の形が2つに分かれます。
月額固定+従量型(LIQUID eKYC、ネクスウェイの本人確認ソリューション)は、件数が増えるほど1件あたりが下がり続けます。
件数帯の定額型(GMO顔認証eKYC)は、帯の中なら追加費用が発生しません。
| GMO顔認証eKYC | 月額 | 1件あたり相当 |
|---|---|---|
| 50件/月 | 20,000円 | 400円 |
| 500件/月(スマホde本人確認) | 50,000円〜 | 100円 |
件数が10倍になっても月額は2.5倍にとどまるため、1件あたりでは4分の1になります。ただし公式は帯の定額表記であり1件単価を掲げているわけではないため、帯の上限を超えたときの扱いは問い合わせで確認してください。
件数が読める事業なら帯定額、月ごとに変動する事業なら従量のほうが実態に合います。ネクスウェイは処理件数によって月額プランを途中で変更できるため、繁閑の差が大きい事業に対応できます。
なおLIQUID eKYCのベーシックプランには月間最低件数の設定がありません。
4. 確認業務そのものを委託するかを決める
システムだけを導入するか、確認業務まで任せるかで候補が変わります。
eKYCは自動判定で完結しない案件が一定数残ります。書類が反射で読めない、顔写真の照合スコアが閾値に届かないといったケースです。この目視確認を社内で抱えると人員と教育が必要になり、とくに申込が特定の時間帯に集中する事業では人員配置が難しくなります。
| サービス | 確認業務の扱い |
|---|---|
| TRUSTDOCK | 確認業務のオペレーション(有人チェック)まで委託可能。3つの提供形態から選択 |
| ネクスウェイ | 転送不要郵便などオフラインの確認業務までトータル支援 |
| ProTech ID Checker | AIが申込情報と身分証・容貌写真を照合し、目視確認の工数を削減 |
TRUSTDOCKとProTech ID Checkerは方向が逆です。前者は人が見る部分を外に出し、後者はシステム側で自動化を進めます。
ネクスウェイのオフライン支援も見落とせません。本人確認はオンラインだけで完結しない場面があり、eKYCで確認できなかった場合や業法上オフラインの確認が求められる場合に郵送へ切り替える運用が必要になります。
5. 導入までの期間と初期費用を確認する
| サービス | 初期費用 | 導入期間 |
|---|---|---|
| GMO顔認証eKYC | なし(公式明記) | ― |
| ProTech ID Checker | 別途(要問い合わせ) | 最短1週間(タグ追加だけ・開発不要) |
| LIQUID eKYC(ベーシック) | 5万円 | 2〜3週間 |
| ネクスウェイ | 50,000円〜 | ― |
| TRUSTDOCK | ありと明記(金額非公開) | ― |
GMO顔認証eKYCは初期導入費用なしと公式に明記しています。ProTech ID CheckerはWebサイトにタグを追加するだけでシステム開発不要のため、開発リソースを確保せずに始められます。
件数が読めない立ち上げ期なら、初期費用に加えて月間最低件数の縛りがないかも確認してください。LIQUID eKYCのベーシックプランは月間最低件数の設定がありません。
なお掲載5社に無料トライアルはありません(0/5社)。実際の本人確認を扱うため試用の形が成立しにくく、デモや資料請求での確認になります。
タイプ分類:3つの型
型1|従量単価公開型(LIQUID eKYC)
1件あたりの単価を公開している型です。ベーシックプランは初期5万円・月額固定3万円(税抜)に、書類撮影のみ50円/件・書類+容貌撮影150円/件の従量が加わります。月間最低件数の設定がなく、導入は2〜3週間。厳格な本人確認や大量処理はカスタムプラン(初期100万円〜・月額5万円〜)で対応します。eKYC市場シェア7年連続No.1(同社調べ)、グループ累計本人確認約1.5億件です。
型2|件数帯定額型(GMO顔認証eKYC)
確認回数の帯で月額が決まる型です。初期導入費用なしで、50件/月が月額20,000円、500件/月(スマホde本人確認)が月額50,000円〜。帯の中なら追加費用が発生せず、件数が読める事業では月々の費用が確定します。SSL証明書や電子認証を手がけるGMOグローバルサインが運営し、ICチップ読み取り型と年齢判定機能にも対応します。
型3|業務支援型(TRUSTDOCK/ネクスウェイ/ProTech ID Checker)
システムに加えて確認業務まで扱う型です。TRUSTDOCKは3つの提供形態から選べ、有人オペレーションの代行まで委託可能(東京商工リサーチ調べで3年連続導入社数No.1)。ネクスウェイは転送不要郵便などオフライン確認まで含めてトータル支援し、処理件数で月額プランを途中変更できます。ProTech ID Checkerはタグ追加だけで最短1週間導入でき、AIの照合で目視確認の工数を削減します(導入450社超)。金額は公式に公開されていません。
独自データ:料金公開率60%、無料トライアルは0社
当メディアの調査で分かったことを整理します。
| 項目 | 掲載5社の結果 |
|---|---|
| 料金公開率 | 60%(3/5)(open 2社/partial 1社/closed 2社) |
| 1件あたりの従量単価を公開 | 1社(LIQUID eKYC) |
| 初期費用0円 | 1社(GMO顔認証eKYC) |
| 無料プラン・無料トライアル | 0社(0%) |
| 有人オペレーション代行に対応 | 1社(TRUSTDOCK) |
金額を出している3社の中でも、公開の粒度が大きく違います。1件あたりの従量単価まで公開しているのはLIQUID eKYCだけで、ネクスウェイは初期費用50,000円〜・月額25,000円〜という下限のみです。TRUSTDOCKとProTech ID Checkerは金額非公開で、問い合わせが起点になります。
無料トライアルが0社なのは、実際の本人確認を扱うサービスの性質によるものです。他人の身分証と顔写真を扱う以上、期間を区切って試す形が成立しません。
最安プランの年間コストは次のとおりです。掲載5社はいずれも従業員数に連動しない企業単位の料金なので、10名でも100名でも変わりません。
| サービス | 年間コスト(月額固定分のみ) |
|---|---|
| ProTech ID Checker(エントリー・参考値) | 216,000円 |
| GMO顔認証eKYC(50件/月) | 240,000円 |
| ネクスウェイ(下限) | 300,000円 |
| LIQUID eKYC(ベーシック) | 360,000円 |
ただしこれは月額固定分だけで、実際の負担は件数従量を足した金額です。LIQUID eKYCで月1,000件(書類+容貌)なら年間2,160,000円になります。
掲載5社の比較表
| サービス | 課金の形 | 初期費用 | 月額 | 1件あたり | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| LIQUID eKYC | 月額固定+従量 | 5万円 | 3万円(税抜) | 書類のみ50円/書類+容貌150円 | 単価を公開・最低件数なし |
| GMO顔認証eKYC | 件数帯の定額 | 0円 | 20,000円〜(50件/月) | 400円相当(50件)/100円相当(500件) | 初期費用なし |
| ネクスウェイ | 月額固定+従量 | 50,000円〜 | 25,000円〜 | 非公開 | オフライン確認までトータル支援 |
| ProTech ID Checker | 月額+従量 | 別途 | 18,000円〜(参考値) | 非公開 | タグ追加で最短1週間 |
| TRUSTDOCK | 初期+月額(固定+従量) | あり(非公開) | 非公開 | 非公開 | 有人オペレーション代行 |
ProTech ID Checkerの金額は比較媒体の参考値(公式未確認の参考値)です。無料プラン・無料トライアルは掲載5社とも該当がないため、表からは省いています。
各サービスの詳細
株式会社Liquidが提供するオンライン本人確認サービスです。同社は2018年12月設立、東京都中央区日本橋本町に本社を置き、東証グロース上場の株式会社ELEMENTS(証券コード5246)の100%子会社です。
料金の公開が細かい点が掲載5社の中で際立ちます。「ベーシックプラン」は初期費用5万円・月額固定3万円(いずれも税抜)に、書類撮影のみ50円/件・書類+容貌撮影150円/件の従量が加わります。
掲載5社で1件あたりの単価を公開しているのは同社だけです。GMO顔認証eKYCは確認回数の帯による定額、ネクスウェイとProTech ID Checkerは従量単価が非公開、TRUSTDOCKは金額非公開のため、自社の件数を当てはめて総額を試算できるのは同社に限られます。
書類+容貌150円/件での試算は次のとおりです。
| 月間件数 | 月額合計 | 1件あたり |
|---|---|---|
| 50件 | 37,500円 | 750円 |
| 100件 | 45,000円 | 450円 |
| 500件 | 105,000円 | 210円 |
| 1,000件 | 180,000円 | 180円 |
| 10,000件 | 1,530,000円 | 153円 |
件数が200倍になると1件あたりは約4.9倍下がり、従量単価の150円に近づいていきます。
確認方式で単価が3倍変わる点も重要です。書類撮影のみなら50円/件で、月1,000件なら80,000円(1件80円)。書類+容貌の180,000円と比べると2.25倍の差です。
月間最低件数の設定がありません。件数が読めない立ち上げ期でも、月額固定3万円と実際に使った件数分だけで済みます。導入は2〜3週間で、申込後すぐ着手できるサンプルコード等が提供されます。
法的義務の生じる厳格な本人確認や大量処理・ボリュームディスカウントは「カスタムプラン」で、初期費用100万円〜(0円プランあり)・月額固定5万円〜(税抜)に数十〜数百円/件の従量が加わり、SLA・監査ログ提供・セキュリティチェック対応が付帯します。
生体情報・生体行動に特化した画像解析/ビッグデータ解析技術を活かし、ホ方式・ICチップ読み取り・公的個人認証(JPKI)に対応。年齢判定・成人判定・各種割引判定にも使えます。eKYC市場シェアは7年連続No.1(同社調べ)、グループ累計本人確認件数は約1.5億件、累計契約事業者数は約700社です。
GMOグローバルサイン株式会社が提供するオンライン本人確認サービスです。同社は2003年4月設立、資本金3億5,664万円で、東京都渋谷区道玄坂の渋谷フクラスに本社を置きます。親会社のGMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社は東証プライム市場に上場しています(証券コード3788)。
初期導入費用なしと公式に明記している点が特徴です。掲載5社ではLIQUID eKYCのベーシックプランが初期5万円、ネクスウェイが50,000円〜、TRUSTDOCKも初期費用ありと明記されているため、始めるときの持ち出しがないのは同社の明確な利点です。
料金は確認回数の帯による定額です。
| プラン | 月額 | 1件あたり相当 |
|---|---|---|
| GMO顔認証eKYC(50件/月) | 20,000円(プランにより22,000円) | 400円 |
| スマホde本人確認(500件/月) | 50,000円〜 | 100円 |
件数が10倍になっても月額は2.5倍にとどまるため、1件あたりでは4分の1になります。ただし公式は帯の定額表記であり1件単価を掲げているわけではないため、帯の上限を超えたときの扱いは問い合わせで確認してください。
帯の中なら追加費用が発生しないため、件数が読める事業では月々の費用が確定します。LIQUID eKYCのように月額固定+従量ではないので、予算を立てやすい構造です。
技術面では、犯罪収益移転防止法に定める確認方法に沿って、ホ方式を中心にAIが実在する人物か否かを素早く判定して結果を事業者に返します。判定を人が目視で行う運用では申込から利用開始までに時間がかかりますが、自動判定が早く返ることで離脱を減らせます。
ICチップ読み取り型の本人確認や、マッチングサービス等で需要が高まる年齢判定機能にも対応します。
SSL証明書や電子認証を手がける情報セキュリティ事業者が運営している点も、個人情報を扱う業務では判断材料になります。なお具体的な導入社数は料金ページに数値記載がありません。
株式会社TRUSTDOCKが提供するeKYC・デジタル本人確認サービスです。同社は2017年11月1日設立、資本金9,900万円で、東京都中央区京橋のWeWork東京スクエアガーデンに拠点を置く企業です。
確認業務のオペレーション(有人チェック)まで委託できる点が掲載5社の中で独自です。
eKYCは自動判定で完結しない案件が一定数残ります。書類が反射で読めない、顔写真の照合スコアが閾値に届かないといったケースです。この目視確認を社内で抱えると人員と教育が必要になり、とくに申込が特定の時間帯に集中する事業では人員配置が難しくなります。
提供形態も3つから選べます。「eKYCサービス」「eKYC業務ツール」「eKYC即時返却」があり、システムだけを入れるのか、業務ツールとして使うのか、確認結果を即時に返す構成にするのかを自社の運用に合わせて決められます。掲載5社の他社が単一の提供形態であるのに対し、導入の仕方から選択肢がある構成です。
対応する確認方式の幅も特徴です。犯収法、携帯電話不正利用防止法、古物営業法など各種業法に準拠したオンライン本人確認を、ホ方式、ICチップ読み取り、マイナンバーカードの公的個人認証(JPKI/ワ方式)まで幅広くワンストップで提供します。
東京商工リサーチの調査で3年連続「eKYC導入社数No.1」(2023年10月時点)を獲得し、導入は250社を超えます。第三者調査による実績である点が、自社調べのシェアとは性格が異なります(LIQUID eKYCは同社調べで市場シェア7年連続No.1を掲げており、調査主体と指標が違うため直接の優劣にはなりません)。
金融・不動産・通信・シェアリング・古物といった幅広い業種に導入されています。料金は初期費用と月額費用(固定費用+契約内容に基づく従量課金)のシンプルな構成ですが、確認業務の内容ごとの見積りとなるため金額は公式には非公開です。有人オペレーションを含めるかどうかで費用が変わるため、委託したい範囲を整理してから問い合わせてください。
株式会社ネクスウェイが提供するeKYCを中核としたKYC業務のトータル支援サービスです。同社は2004年10月1日設立、資本金3億円、従業員190名(2026年4月1日現在)で、東京都江東区豊洲に本社を置きます。TIS株式会社(TISインテックグループ/東証プライム3626)の100%子会社です。
犯収法に対応したホ方式・ICチップ読み取り・公的個人認証などのeKYC方式に加えて、転送不要郵便などオフラインの確認業務まで含めてトータルに支援できる点が特徴です。
本人確認はオンラインだけで完結しない場面があります。eKYCで確認できなかった場合や、業法上オフラインの確認が求められる場合に郵送へ切り替える運用が必要になります。掲載5社の中でオフラインまで含めた支援を明示しているのは同社です。同社はFAX配信・メール配信・帳票ソリューションなど情報通信提供サービスを本業としており、郵送を含む業務のノウハウがこの支援につながっています。
料金は初期設定費用50,000円〜に加え、毎月の利用件数に応じた従量課金制(ランニング費用25,000円〜)です。1件あたりの従量単価は個別見積り(料金表ダウンロード/要問い合わせ)となります。
処理件数によって月額の利用プランを途中で変更できます。業務量や繁忙期に合わせて運用コストを調整できるため、申込が季節で偏る事業と相性がよくなります。件数が読めない立ち上げ期に低いプランで始め、伸びてから上げるという進め方も取れます。
本人確認業務の変動費化を実現するとしています。確認業務を社内の人員で抱えると申込がない月も人件費は固定でかかりますが、件数に連動する費用構造に移すことで繁閑の差が大きい事業では総額を抑えられます。
導入実績は300社を超え、うち犯収法上の特定事業者は100社以上です。特定事業者は金融機関や貸金業者、宅地建物取引業者などが該当し、本人確認の要件が厳格に定められています。この層での導入実績は、法令要件を満たす運用が確立していることの傍証になります。
株式会社ショーケースが提供するeKYCサービスです。同社は1996年2月1日設立、資本金3億8,904万7千円(2024年12月31日時点)、従業員87名(第三者データベース)で、東京都港区六本木に本社を置き、東京証券取引所スタンダード市場に上場しています(証券コード3909)。
導入の手軽さが特徴です。Webサイトにタグを追加するだけでシステム開発不要・最短1週間で導入できます。掲載5社ではLIQUID eKYCのベーシックプランが導入2〜3週間で、同社はそれより短い設定です。開発リソースを確保せずに始められるため、社内にエンジニアを抱えていない事業者でも進めやすくなります。API連携も備えます。
犯収法、古物営業法、携帯電話不正利用防止法などに準拠した本人確認を、AIが申込情報と身分証・容貌(顔)写真を照合して自動判定し、目視確認の工数を削減します。申込フォームに入力された氏名や住所と身分証の記載内容が一致するかまで自動で突き合わせるため、人が2つの画面を見比べる作業が減ります。
確認業務を有人で代行するTRUSTDOCKとは逆に、システム側で自動化を進める方向です。どちらが適するかは、確認業務を外に出したいのか社内の工数を減らしたいのかで決まります。
対面・オンライン両対応のIC認証を備え、店舗での対面確認とWebでのオンライン確認を同じ仕組みで扱えます。実店舗とオンラインの両方で申込を受ける事業では確認業務を一本化できます。
導入実績は450社を超えます。掲載5社ではTRUSTDOCKが250社超、ネクスウェイが300社超を公表しており、その中で最も大きい数字です(LIQUID eKYCはグループ累計契約事業者約700社を公表していますが、対象範囲が異なります)。金融機関・古物買取・通信・法律事務所・不動産と業種の幅も広く取っています。
料金は月額制でスモールスタート可能とされていますが、公式サイトは正確な金額を資料請求・問い合わせで提示する体系です。比較媒体ではエントリーの月額基本料18,000円+従量課金、上位の「Standard」が月額36,000円(税抜、初期費用・従量別途)と紹介されていますが、公式公開値ではないため公式未確認の参考値として扱ってください。
よくある質問
eKYCサービスの料金相場はいくらですか?
掲載5社の料金公開率は60%(3/5)で、公開の粒度も社ごとに違います。金額を細かく公開しているLIQUID eKYCは、ベーシックプランが初期費用5万円・月額固定3万円(いずれも税抜)に書類撮影のみ50円/件・書類+容貌撮影150円/件の従量を加える体系です。GMO顔認証eKYCは初期費用なしで、50件/月が月額20,000円、500件/月が月額50,000円です。ネクスウェイは初期50,000円〜・月額25,000円〜の下限のみを公開しています。TRUSTDOCKとProTech ID Checkerは金額非公開で、問い合わせが起点になります。
1件あたりの本人確認コストはいくらになりますか?
確認件数で大きく変わります。LIQUID eKYCのベーシックプラン(月額固定3万円+書類+容貌150円/件・税抜)で計算すると、月50件なら 30,000円+150円×50件=37,500円で1件あたり750円、月100件なら45,000円で450円、月500件なら105,000円で210円、月1,000件なら180,000円で180円、月1万件なら1,530,000円で153円です。件数が200倍(50件→1万件)になると1件あたりは 750円÷153円=約4.9倍下がります。月額固定費が薄まり、従量単価の150円に近づいていく構造です。
確認方式によって費用は変わりますか?
変わります。LIQUID eKYCのベーシックプランでは、書類撮影のみが50円/件、書類+容貌撮影が150円/件(いずれも税抜)で3倍の差があります。月1,000件で試算すると、書類のみが 30,000円+50円×1,000件=80,000円(1件80円)、書類+容貌が180,000円(1件180円)で、180,000円÷80,000円=2.25倍です。犯罪収益移転防止法が求める本人確認にはホ方式(身分証+容貌撮影)やICチップ読み取り、公的個人認証(JPKI)などが該当します。年齢確認のように容貌撮影を要しない用途であれば、書類のみで足りる場合があります。
初期費用はかかりますか?
製品で分かれます。GMO顔認証eKYCは初期導入費用なしと公式に明記しています。LIQUID eKYCはベーシックプランが5万円、カスタムプランが100万円〜(0円プランあり)です。ネクスウェイは初期設定費用50,000円〜(下限公開)です。TRUSTDOCKは初期費用ありと明記されているものの金額は非公開、ProTech ID Checkerも初期費用は別途で要問い合わせです。件数が読めない立ち上げ期なら、初期費用に加えて月間最低件数の縛りがないかも確認してください。LIQUID eKYCのベーシックプランは月間最低件数の設定がありません。
確認業務そのものを委託できますか?
TRUSTDOCKは「eKYCサービス」「eKYC業務ツール」「eKYC即時返却」の3つの提供形態から選べ、確認業務のオペレーション(有人チェック)まで委託できます。ネクスウェイは、eKYCに加えて転送不要郵便などオフラインの確認業務まで含めてトータルに支援します。eKYCは自動判定で完結しない案件が一定数残り、その目視確認を社内で抱えると人員が必要になります。ProTech ID CheckerはAIが申込情報と身分証・容貌写真を照合して目視確認の工数を削減する方向で、システム側で自動化を進める構成です。
導入までどのくらいかかりますか?
ProTech ID CheckerはWebサイトにタグを追加するだけでシステム開発不要・最短1週間で導入できるとしています。LIQUID eKYCのベーシックプランは導入2〜3週間で、申込後すぐ着手できるサンプルコード等が提供されます。GMO顔認証eKYCは初期導入費用なしでAPI連携により導入します。TRUSTDOCKとネクスウェイは提供形態や支援範囲によって変わるため要問い合わせです。なお掲載5社に無料トライアルはありません(0/5社)。実際の本人確認を扱うため試用の形が成立しにくく、デモや資料請求での確認になります。
まとめ
eKYCサービスは、月額ではなく1件あたりの本人確認コストで比べるカテゴリでした。月額固定費が薄まって従量単価に近づくため、同じサービスでも件数によって1件あたりが最大4.9倍変わります。
判断の順序は次のとおりです。
- 月間確認件数を見積もる:LIQUID eKYCなら月50件で1件750円、月1万件で153円
- 必要な確認方式を確定する:書類のみ50円/件と書類+容貌150円/件で3倍差。犯収法対応か年齢確認かで変わる
- 課金の形を選ぶ:件数が読めるなら帯定額(GMO)、月ごとに変動するなら従量(LIQUID・ネクスウェイ)
件数が読めず単価を先に把握したいならLIQUID eKYC(書類のみ50円・書類+容貌150円/最低件数なし)、初期費用ゼロで小さく始めるならGMO顔認証eKYC(50件/月 月2万円)、目視確認を外に出したいならTRUSTDOCK(有人オペレーション代行)、オフラインの郵送確認まで一本化するならネクスウェイ、開発リソースなしで最短1週間で入れるならProTech ID Checker、というのが基本の割り振りです。