結論:カラー配合の記録は「薬剤レシピ+髪の状態+写真」を店で共有すれば再現しやすくなる
前回と同じ色が出ない原因は、調合の腕だけではありません。配合だけを残し、ほかの情報を残していないことが大きなズレにつながります。
記録から抜けるとズレにつながる情報は、施術前のアンダーレベル、既染部の色、残留色素、黒染めや縮毛矯正の履歴、放置時間、塗り分けです。
最低限残す項目は、薬剤のブランドと品番、比率、オキシ%、放置時間、塗布範囲、アンダーレベル、前回履歴、仕上がり写真です。記録は担当者個人のメモにとどめず、店の全員が見られる場所に置いてください。
手段は紙カルテ、メモアプリ、スプレッドシート、電子カルテのどれでも始められます。
小規模サロンなら、まず今日から使えるテンプレートで記録の粒度をそろえてください。スタッフが増えたら、共有しやすい方法へ移すのが現実的です。
担当替えで色がぶれたり、退職者の略号が読めなかったりする問題は、記録の置き場所と書き方でかなり減らせます。
「前回の配合が分からない」を無くす記録項目
問題が起きるのは、数か月ぶりの再来店です。お客様は「前回と同じで」と言い、担当者は紙カルテの走り書きや記憶から配合を探します。
メモに「A8+アッシュ少し」としか残っていないと、同じ色には近づけません。薬剤名だけでなく、比率、オキシ%、放置時間、塗布範囲が欠けているためです。
さらに、同じレシピでも施術前の髪の状態が違えば仕上がりは変わります。アンダーレベル、既染部の色、残留色素、黒染めや縮毛矯正の履歴は、色の入り方を左右する前提条件です。
今の凌ぎ方は、担当者の記憶やスマホ写真に頼ることです。忙しい日は「後で書く」になり、閉店後には細部が抜けやすくなります。
変えるなら、施術直後に30秒で必須項目だけ残してください。会計前に1〜2分で写真と感想を足せば、後から清書しない運用に近づきます。

そのまま使えるカラー記録テンプレート
| 区分 | 記録項目 | 書き方の例 |
|---|---|---|
| 必須 | 薬剤 | ブランド名:〇〇、A8:NB8=2:1 |
| 必須 | オキシ | 6%、1剤:2剤=1:1 |
| 必須 | 塗布範囲 | 根元のみ/中間から毛先/顔まわり別塗り |
| 必須 | 放置時間 | 根元25分、毛先10分 |
| 必須 | 施術前の状態 | アンダー8、毛先に赤み、黒染め履歴なし |
| 必須 | 写真 | 施術直後、正面と後ろ |
| 任意 | 要望 | 赤みを抑えたい、暗くしすぎない |
| 任意 | 接客メモ | 会話は控えめ、頭皮がしみやすい |
数値を入れた記入例は、1行あれば十分です。根元は「ブランド名:〇〇 A8:NB8=2:1、オキシ6%、1剤:2剤=1:1、25分」、毛先は「A8:クリア=1:1、10分」と書きます。
ネイルなら、薬剤をジェルの品番に置き換えてください。記入例は「ベースカラーC12:クリア=2:1、ラメG03少量、硬化時間、仕上がり写真」です。
| 導入前 | 導入後 |
|---|---|
| 品番だけが残り、比率や放置時間が分からない | 同じ項目で毎回残り、次回の再現に使える |
| 写真とレシピが別々に保存される | 写真と配合が同じ記録で見られる |
| 閉店後に思い出して書く | 施術直後30秒、会計前1〜2分で足す |
「担当が替わると色がぶれる」を防ぐ共有ルール
起きている場面は、担当者の退職や指名替えの後です。新しい担当者は紙カルテを見ても前任者の略号が読めず、お客様に同じ説明をお願いすることになります。
このときは配合に加えて、前回の好み、しみやすい薬剤、会話の距離感、仕上がりへの反応も一緒に失われます。
原因は、情報が担当者個人の頭と手元にしかないことです。退職や担当替えの時点で、情報は店の資産にならないまま、個人の記憶として消えてしまいます。
今の凌ぎ方は、口頭の申し送りと紙カルテの確認です。ただ、予約が詰まる日ほど申し送りは短くなり、引き継いだ後の2回目で離れるお客様も出やすくなります。
記録の流れを変えるなら、来店前に前回カルテを1分で確認してください。施術後は担当者が配合と写真を残し、会計前に「次回注意」を一言だけ足す流れです。
担当替えの日は、新担当が施術前に「前回の色、頭皮の注意、接客メモ」の3点を見てください。お客様に同じことを聞く回数が減るため、引き継ぎができているとお客様にも感じてもらえます。

| 導入前 | 導入後 |
|---|---|
| 前任者の略号や記憶に依存する | 店内で同じ項目を見て引き継ぐ |
| お客様が毎回説明し直す | 来店前に好みと注意点を確認できる |
| 退職時に情報も抜ける | 施術履歴が店に残る |
紙・メモアプリ・表計算・電子カルテの比較
| 手段 | 月額コスト | 導入の手間 | 写真 | 共有 | 検索 |
|---|---|---|---|---|---|
| 紙カルテ | 低い | 低い | 貼付や印刷が必要 | 店内のみ | 探す手間が出る |
| メモアプリ | 低い | 低い | 残しやすい | 個人管理になりやすい | 表記ゆれに弱い |
| スプレッドシート | 低い | 中 | 別管理になりやすい | 共有しやすい | 項目をそろえやすい |
| 電子カルテ | 無料〜有料 | 中 | 紐づけやすい | スタッフ共有向き | 顧客名で探しやすい |
スタッフ1人なら、紙やメモアプリでも始められます。ただ、2〜5人で担当替えがある店は、共有と検索を優先したほうが現場に定着しやすいです。
予約システムはそのまま使い、カルテだけ別で整える選択肢もあります。サロンミー(SalonMe)は、施術の合間にスマホで30秒、配合・写真・好みを残せるサロンカルテとして事前登録受付中です。
「写真はあるのに使えない」を変える撮影ルール
起きている場面は、次回来店前の確認です。スマホの写真フォルダに仕上がりは残っていても、光の色や角度が違って見えるため、配合の判断に使いにくくなります。
原因は、写真を作品として撮っていることにあります。記録として使う写真は、毎回同じ条件で比べられることが大切です。
今の凌ぎ方は、お客様が持ってきた写真やSNS投稿を見て思い出す方法です。ただ、写真とレシピが別々の場所にあると、来店前に探す作業が増えます。
撮影ルールは難しくありません。店内の同じ場所、同じ光源、同じ立ち位置で、施術直後に撮ることから始めてください。
次回来店時にも、施術前の状態を1枚撮ります。退色の具合、赤みの戻り方、毛先の残留を見比べられるため、同じ配合でよいか判断しやすくなります。

| 導入前 | 導入後 |
|---|---|
| 写真の明るさが毎回違う | 同じ光源で色の差を見やすい |
| 写真だけで配合が分からない | 写真とレシピが同じ記録に残る |
| 次回の退色を感覚で見る | 来店時写真で変化を確認できる |
記録が続かない店は「書く量」よりタイミングを決める
起きている場面は、施術が終わった直後です。次のお客様が待っていて、カルテを書くつもりでも手が離せません。
原因は、記録を閉店後の作業にしていることにあります。閉店後には、薬剤の細かな比率やお客様の反応が曖昧になりやすいものです。
今の凌ぎ方は、スマホのメモや音声入力で仮に残し、あとで転記する方法です。入力が面倒になり、紙や手帳に戻ってしまうという声もあります。
変えるなら、全部を書こうとしないでください。施術直後は「薬剤、写真、次回注意」の3点だけに絞ります。
シャンプー中に薬剤だけ仮入力し、会計前に写真と一言メモを足す流れなら、1件あたり1〜2分で終えやすくなります。後から清書する前提をやめることが肝心です。
| 導入前 | 導入後 |
|---|---|
| 閉店後にまとめ書きする | 施術直後に必須項目だけ残す |
| 多機能すぎて入力が止まる | 初日は名前・施術内容・薬剤から始める |
| 人によって書き方が違う | テンプレートで粒度をそろえる |
よくある質問に、薬剤名は略称でよいかというものがあります。店内の全員が同じ意味で読める略称なら使えます。
ただし、退職者のメモが読めない店では、正式名と品番を残すほうが安全です。
過去の紙カルテは、すべてを一気にデジタル化しなくても構いません。次回来店が決まったお客様から、直近の配合と写真だけ移すほうが続きます。
写真を保存するときは、カウンセリング時に目的を伝えて同意を取ってください。記録用か、SNS掲載用かは分けて確認するのが無難です。
まとめ
カラー配合の記録で大切なのは、薬剤レシピだけではありません。施術前の状態、塗り分け、放置時間、仕上がり写真までそろって、次回の判断材料になります。
担当替えで色がぶれる店は、技術差よりも記録の粒度と共有の仕組みに見直す余地があります。お客様に同じ説明を繰り返させる状態は、何も言われないまま失客する原因になりがちです。
まずは1週間、テンプレートで「薬剤、髪の状態、写真、次回注意」だけを残してください。紙でもデジタルでも、店の全員が同じ項目を見られる形にすることが第一歩です。