Web給与明細システムのおすすめ(目的別の早見表)
Web給与明細を比べるとき、最初に見分けるべきことがあります。配信専用のサービスか、給与計算ソフトの一機能かです。
配信専用は給与計算の結果を取り込んで配るだけなので、いま使っている給与システムを変えずに導入できます。金額の差も大きく、当メディアの試算では従業員100名の年間コストは、配信専用のPCA Hub 給与明細が60,000円なのに対し、給与計算を含むマネーフォワード クラウド給与は360,000円です。
明細の配布だけをなくしたいのか、給与計算ごと見直したいのかで選ぶ側が変わります。
| 導入目的 | おすすめのタイプ | 主なサービス |
|---|---|---|
| 明細の配布だけを安くなくしたい | 配信専用・従量型 | PCA Hub 給与明細 |
| 人数が多く1名単位の課金を避けたい | 配信専用・人数帯定額型 | フォーカス給与明細クラウド |
| 奉行シリーズで給与計算している | 配信専用・シリーズ連携型 | 奉行Edge 給与明細電子化クラウド |
| 源泉徴収票や住民税通知もまとめて配りたい | 配信専用・帳票網羅型 | Pay-Look(ペイルック) |
| 給与計算ごと1つにまとめたい | 給与計算内包型 | マネーフォワード クラウド給与 |
Web給与明細システムとは?
Web給与明細システムとは、給与明細・賞与明細・源泉徴収票を紙で配らず、Webやスマートフォンで従業員へ電子配信するクラウドサービスです。
給与明細の配布は、毎月欠かさず発生するうえに人手がかかります。印刷して封入し、拠点ごとに送り、受け取れなかった人には再送する——従業員が増えるほど時間も郵送費も積み上がります。過去の明細を紛失した従業員から再発行を頼まれることもあります。
電子配信に切り替えると、この一連の作業がなくなります。従業員は自分のスマートフォンから明細を確認でき、PCA Hub 給与明細のように過去10年分を保存するサービスなら、住宅ローンなどで過去分が必要になったときも本人が参照できます。
なお給与明細の電子化には従業員の同意が必要とされています。導入時には目的と閲覧方法を説明し、同意を得たうえで切り替えるのが一般的な進め方です。
Web給与明細システムの種類(配信専用・給与計算内包)
配信専用は、給与計算の結果(CSVなど)を取り込んで配信するだけのサービスです。Pay-Look、PCA Hub 給与明細、奉行Edge 給与明細電子化クラウド、フォーカス給与明細クラウドが該当します。給与計算そのものは行わないため、いまの給与システムを変えずに明細だけを電子化できます。
給与計算内包型は、給与計算ソフトの一機能として明細配信を持ちます。マネーフォワード クラウド給与が該当し、給与計算から明細配布までを1つのサービスで完結できます。ただし明細配信だけを目的にすると割高になります。
配信専用の中でも、1名あたりの従量型(PCA Hub 給与明細・奉行Edge 給与明細電子化クラウド)と人数帯ごとの定額型(フォーカス給与明細クラウド)に分かれます。
Web給与明細システムの選び方(5つのポイント)
- 配信専用か給与計算の一機能かを見分ける。明細だけが目的なら配信専用が桁違いに安く済みます
- 従量課金か人数帯定額かを自社の人数で比べる。10名と100名で有利・不利が入れ替わります
- 初期費用を含めて1年目の総額を出す。0円のものと50,000円以上かかるものがあります
- 配信できる帳票の種類を確認する。賞与明細・源泉徴収票・住民税決定通知まで対応するかは差が出ます
- 過去分の保存期間を確認する。短いと結局は担当者が再発行することになります
Web給与明細システムのタイプ別分類
1名あたり月額50〜60円。給与計算は既存のまま、明細だけを電子化できる
50人まで月額3,000円などの定額。1名単位で積み上がらず人数が多いほど有利
給与・賞与・源泉徴収票に加え年末調整書類や住民税決定通知まで配信できる
給与計算ソフトの一機能として明細配信を持ち、基本料金の範囲で使える
Web給与明細システムの料金相場(1名あたり月額)
1名あたりの単価が出せる3サービスで集計しました。
| 指標 | 金額 |
|---|---|
| 最低 | 50円 |
| 中央値 | 60円 |
| 最高 | 300円 |
料金公開率は100%(5社中5社)です。ただし最高の300円はマネーフォワード クラウド給与(給与計算を含む)の従量単価で、明細配信だけの金額ではありません。フォーカス給与明細クラウドは人数帯定額のため1名単価の集計からは除外しています。
見落としがちな追加コスト
- 初期費用:フォーカス給与明細クラウドは50,000円(税抜。for 弥生はキャンペーンで無料の場合あり)、Pay-Lookは参考情報で110,000円。PCA Hub 給与明細は0円
- 基本料金:奉行Edge 給与明細電子化クラウドは月額1,200円(年額14,400円)が別途
- 人数の上限:奉行Edge 給与明細電子化クラウドの公開価格は20名まで。21名以上は問い合わせ
Web給与明細システムの企業規模別コスト(10名・50名・100名)
各社の公式料金をもとに、当メディアが年間コストを試算しました(税抜、初期費用は含みません)。Pay-Lookは料金非公開のため試算対象外です。
| 従業員数 | PCA Hub 給与明細 | 奉行Edge 給与明細電子化 | フォーカス給与明細クラウド | マネーフォワード クラウド給与 |
|---|---|---|---|---|
| 10名 | 6,000円 | 14,400円 | 36,000円 | 53,760円 |
| 50名 | 30,000円 | 36,000円 | 36,000円 | 180,000円 |
| 100名 | 60,000円 | 72,000円 | 60,000円 | 360,000円 |
配信専用と給与計算内包型では6倍の差が出ます(100名でPCA Hub 60,000円 対 マネーフォワード クラウド給与 360,000円)。ただし後者は給与計算そのものを含む金額なので、明細だけを比べる数字ではありません。
配信専用の中では、10名だとPCA Hub 給与明細(6,000円)が人数帯定額のフォーカス給与明細クラウド(36,000円)を大きく下回りますが、100名では60,000円で並びます。人数が増えるほど定額型が追いつく構造です。
Web給与明細システムの無料プランと無料トライアル
このカテゴリに常設の無料プランはありません。無料トライアルは掲載5サービスすべてにあり、日数が公表されているものの平均は40日です。
給与明細の配信は毎月決まった日に滞りなく行う必要があるため、最低1回の配信を通して試せるかが判断のしやすさを左右します。取り込むCSVの形式が自社の給与システムの出力と合うかも、試用の段階で確かめておきたい点です。
Web給与明細システムの比較表(主要5サービス)
| サービス | 料金 | 課金の考え方 | 初期費用 | 給与計算 | 配信できる帳票 | 保存期間 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Pay-Look | 要問い合わせ(参考:1帳票33円+基本3,300円/月) | 帳票ごとの従量 | 参考110,000円 | なし(配信専用) | 給与・賞与・源泉徴収票・年末調整書類・住民税決定通知ほか | 記載なし |
| PCA Hub 給与明細 | 1名50円/月 | 1名あたり従量 | 0円 | なし(配信専用) | 給与・賞与・源泉徴収票 | 過去10年分 |
| 奉行Edge 給与明細電子化クラウド | 1名60円/月+基本1,200円/月 | 従量+基本料金 | 記載なし | なし(配信専用) | 給与(年12回)・賞与(年2回)・源泉徴収票(年1回) | 記載なし |
| フォーカス給与明細クラウド | 50人まで3,000円/月、51〜100人5,000円 | 人数帯で定額 | 50,000円(for弥生は無料の場合あり) | なし(配信専用) | 給与明細(他帳票は要確認) | 記載なし |
| マネーフォワード クラウド給与 | 基本6,480円/月+6名以上300円/名 | 給与計算の料金に内包 | 0円 | あり | 給与・賞与・源泉徴収票 | 記載なし |
おすすめのWeb給与明細システム5選
- 概要:給与計算の結果をCSVで取り込むだけで、明細から各種通知までをWeb配信できる配信専用サービスです。導入1,700社超・70万ユーザー超。
- 特徴:
- 配信できる帳票が広い(年末調整関連書類・保険料率変更通知・住民税決定通知まで)
- 2025年のアップデートでPDF・画像ファイルの添付配信に対応
- 受給者ごとのIDとパスワードで閲覧するため、会社メールがなくても配布できる
- 料金:公式サイトは非公開。第三者情報では初期費用110,000円+基本料金月額3,300円+1帳票33円とされていますが、公式の現行価格ではありません。
- 注意点:料金が公式に公開されていないため、比較には問い合わせが必要です。
- こんな企業に向いている:源泉徴収票や住民税通知もまとめて配りたい会社。
- 概要:会計・給与ソフトのPCAが提供する配信専用サービス。初期費用0円・1名あたり月額50円です。
- 特徴:
- 掲載5サービスで最も安い水準(100名で年60,000円)
- 過去10年分の明細を従業員自身が参照できる
- 「作成→アップロード→自動配信」の3ステップ
- 料金:従業員1名あたり月額50円(税抜)、初期費用0円。
- 注意点:配信できる帳票は給与明細・賞与明細・源泉徴収票です。年末調整書類や住民税通知まで配りたい場合は対象範囲を確認してください。
- こんな企業に向いている:明細の配布だけを安くなくしたい会社、過去分の再発行依頼を減らしたい会社。
- 概要:給与奉行や奉行i11/10シリーズで計算した結果を取り込んで配信する、奉行Edgeシリーズのクラウドサービスです。
- 特徴:
- 奉行シリーズの計算結果をそのまま取り込める
- 給与(年12回)・賞与(年2回)・源泉徴収票(年1回)に対応
- Microsoft Azure採用で月間稼働率99.9%を保証
- 料金:従業員20名までは基本料金 月額1,200円(年額14,400円・税抜)+1名あたり月額60円。21名以上は要問い合わせ。
- 注意点:公開価格は20名までです。マイナンバー管理は別製品での対応になります。
- こんな企業に向いている:奉行シリーズで給与計算している会社。
- 概要:「50人まで月額3,000円」といった人数帯ごとの定額制を採るWeb給与明細クラウドです。
- 特徴:
- 1名単位で料金が積み上がらない
- 1,000人超も300人ごとに5,000円の加算で対応
- 弥生給与向けの「for 弥生」を用意
- 料金:50人まで月額3,000円、51〜100人5,000円(税抜)。初期費用50,000円(for 弥生はキャンペーンで無料の場合あり)。
- 注意点:10名規模では従量型より割高になります(年36,000円 対 PCA Hub 6,000円)。配信できる帳票の詳細は公式の料金ページでは確認できません。
- こんな企業に向いている:人数が多く1名単位の課金を避けたい会社、弥生給与を使っている会社。
- 概要:クラウド給与計算サービスで、Web明細の配信はその一機能として基本料金の範囲で利用できます。
- 特徴:
- 明細配信が基本料金の範囲に含まれる
- 従業員はスマホアプリから確認できる
- 従業員の登録数自体に上限がない(課金は確定処理をした人数)
- 料金:ビジネスプラン 年払月額6,480円(給与は5名まで込)+6名以上300円/名。初期費用0円。
- 注意点:明細配信だけが目的だと割高です(100名で年360,000円)。給与計算ごと見直す場合の選択肢になります。
- こんな企業に向いている:給与計算ごと1つにまとめたい会社、会計・勤怠もマネーフォワードで運用している会社。
規模別のおすすめ
〜20名:PCA Hub 給与明細(10名で年6,000円)が最も安く収まります。奉行シリーズを使っているなら奉行Edge 給与明細電子化クラウド(同14,400円)も候補です。
21〜100名:PCA Hub 給与明細(100名で年60,000円)とフォーカス給与明細クラウド(同60,000円)が並びます。1名単位の増減が多い会社は定額型、安定している会社は従量型が扱いやすくなります。
101名以上:フォーカス給与明細クラウドは1,000人超も300人ごとの加算で対応します。従量型では人数がそのまま金額に反映されるため、大規模ほど定額型の検討価値が上がります。
Web給与明細システムのデメリット・注意点
- 従業員の同意が必要:給与明細の電子化には同意が要るとされています。目的と閲覧方法の説明が前提です
- 配信専用は給与計算をしない:給与システム側でCSVなどを出力できることが導入の条件になります
- 帳票の対象範囲に差がある:源泉徴収票や住民税決定通知まで配れるかはサービスで異なります
- 人数によって有利・不利が入れ替わる:10名と100名で従量型と定額型の順位が変わります
Web給与明細システム導入の流れ
- 目的を決める:明細の配布だけをなくすのか、給与計算ごと見直すのか
- 出力形式を確認する:いまの給与システムからCSVなどを出力できるかを確かめる
- 試算する:自社の人数で年額を出す。初期費用と基本料金も含める
- 従業員へ説明し同意を得る:目的・閲覧方法・過去分の参照方法を伝える
- 試験配信:1回分の明細を配信して、閲覧までの流れを確かめてから本番に移す
Web給与明細システムのよくある質問
料金相場はいくら?
1名あたりの単価が出せる3サービスで、最安50円・中央値60円・最高300円でした。ただし300円は給与計算を含むサービスの単価です。配信専用ならPCA Hub 給与明細が1名50円、奉行Edge 給与明細電子化クラウドが1名60円+基本料金1,200円です。
いまの給与ソフトを変えずに使える?
使えます。Pay-Look、PCA Hub 給与明細、奉行Edge 給与明細電子化クラウド、フォーカス給与明細クラウドは配信専用で、既存の給与計算の結果を取り込んで配信します。
源泉徴収票も配れる?
掲載5サービスはいずれも対応します。Pay-Lookはさらに年末調整関連書類、保険料率変更通知、住民税決定通知まで配信できます。
過去の明細はいつまで見られる?
PCA Hub 給与明細は過去10年分を保存し、従業員自身が参照できます。他のサービスは保存期間が公式に明示されていないため、問い合わせて確認してください。
紙をやめても問題ない?
給与明細の電子化には従業員の同意が必要とされています。目的と閲覧方法を説明し、同意を得たうえで切り替えるのが一般的です。掲載5サービスはWeb・スマートフォンでの閲覧に対応しています。
無料で試せる?
常設の無料プランはありませんが、掲載5サービスすべてに無料トライアルがあります(日数が公表されているものの平均は40日)。1回分の配信を通して試すことをおすすめします。
まとめ
Web給与明細システムは、配信専用か給与計算の一機能かを見分けるところから始めてください。
明細の配布だけを安くなくしたいならPCA Hub 給与明細(1名50円・100名で年60,000円)、人数が多く1名単位の課金を避けたいならフォーカス給与明細クラウド、奉行シリーズを使っているなら奉行Edge 給与明細電子化クラウド、源泉徴収票や住民税通知もまとめて配りたいならPay-Look、給与計算ごとまとめたいならマネーフォワード クラウド給与が候補になります。
まずは自社の人数で年額を出し、初期費用を含めた1年目の総額で比べてください。そのうえで、いまの給与システムから出力できる形式が取り込めるかを試用の段階で確かめるのが確実です。
料金・仕様は変更される場合があります。契約前に各公式サイトで最新情報をご確認ください。