結論:セキュリティという言葉で探すと、対象が違うものが同じ棚に並ぶ
本ページ掲載5サービスは、いずれもセキュリティ製品として紹介されますが、守っているものが違います。
| 導入目的 | おすすめのタイプ | 主なサービス |
|---|---|---|
| 社員のPCをマルウェアから守りたい | 1台あたり年額。6ライセンスから10,000超まで対応し、台数が増えるほど単価が下がる | ESET PROTECT Entry クラウド |
| 少ない台数でAI型の製品を使いたい | 最大100台までの中小企業向け。1台年59.99ドル(米ドル建て) | CrowdStrike Falcon Go |
| メールとIDの入口を固めたい | 1IDあたり月額。SSO・多要素認証と誤送信対策・脱PPAPを束ねる。最小200ID | HENNGE One |
| 自社WebサイトへのWeb攻撃を止めたい | DNS切替で導入するクラウド型WAF。月28,000円+初期68,000円から | Cloudbric WAF+ |
| そもそもどこに穴があるのか知りたい | 診断回数無制限の脆弱性診断。月5万円から、対象数でプランが決まる | Securify |
課金の対象もばらばらです。PC1台あたり、1IDあたり、保護するFQDNの数、診断する対象の数と、数えているものが違います。金額を横並びにする前に、自社が何を守りたいのかを決めてください。それが決まると、候補は5つから1つか2つに絞れます。
セキュリティSaaSとは
社内の情報資産を外部からの攻撃や内部からの漏えいから守るための仕組みを、クラウドで提供するものです。ただし「情報資産」と一口に言っても、守る場所によって必要な製品が変わります。
社員が使うPCやサーバーを守るのがエンドポイント保護です。マルウェアの実行を止めたり、感染を検知したりします。社員のアカウントやメールを守るのがID・アクセス管理とメールセキュリティで、なりすましログインや誤送信を防ぎます。
外部に公開しているWebサイトを守るのがWAF(Web Application Firewall)です。Webサイトへの攻撃通信を検知して遮断します。そして、そもそも自社のどこに弱点があるのかを調べるのが脆弱性診断とASM(アタックサーフェスマネジメント)です。
これらは互いの代わりにはなりません。エンドポイント保護を入れてもWebサイトへの攻撃は防げませんし、WAFを入れても社員のPCがマルウェアに感染することは防げません。
選び方
1. 守りたいのがPCか、メールとIDか、Webサイトか
掲載5サービスのうち、ESET PROTECT Entry クラウドとCrowdStrike Falcon Goが社員のPCやサーバーを守るエンドポイント保護、HENNGE OneがID・アクセス管理とメールセキュリティ、Cloudbric WAF+がクラウド型WAF、Securifyが脆弱性診断とASMです。
社内PCのランサムウェア感染を心配しているのか、自社Webサイトの改ざんを心配しているのかで、見るべきものが変わります。この分岐を先に済ませないまま金額だけを並べると、本来必要なものが候補から外れます。
2. 契約できる規模に、下限と上限がある
HENNGE Oneは最小契約が200IDです。統合パッケージのUltra Suiteのみ50〜100IDから契約できますが、それ以外のEditionは200IDが下限になります。従業員がそれ未満の会社は原則として対象になりません。
逆にCrowdStrike Falcon Goは最大100台までの製品です。中小企業向けとして台数に上限があり、それを超える規模は上位のFalcon Pro・Enterpriseに移ります。
つまりこの2つは、会社の規模で見るとほとんど重ならないということです。ちょうど100人前後の会社だけが、両方の端に立つことになります。
ESET PROTECT Entry クラウドは最小6ライセンスから10,000ライセンス超まで対応しており、掲載5サービスの中で規模による制約が最も緩いサービスです。Cloudbric WAF+とSecurifyは人数ではなく保護対象のサイト数・診断対象数で料金が決まるため、従業員数による制約はありません。
3. ESETの1台単価は、台数によって半分以下まで下がる
ESET PROTECT Entry クラウドの1台あたり年額は、購入するライセンス数の帯で変わります。
- 6〜10ライセンス帯:1台年5,950円(税抜)
- 11〜25ライセンス帯:1台年5,070円(税抜)
- 100〜249ライセンス帯:1台年3,240円(税抜)
- 500〜999ライセンス帯:1台年2,730円(税抜)
10台の会社と500台の会社では、1台あたりの負担が半分以下まで開きます。他社の単価と比べるときは、自社の台数がどの帯に入るかを確認したうえで比較しないと判断を誤ります。
4. 月額の数字だけでは総額が出ないものがある
Cloudbric WAF+は最小構成が月28,000円(税別)ですが、これとは別に初期導入費用が68,000円(税別)からかかります。さらに最小構成に含まれるのは最大20FQDN・データ転送量60GBまでで、これを超えると保護対象FQDN数と転送量に応じた個別プランになります。
Securifyの脆弱性診断も、STARTERの月5万円(税抜・年60万円)に含まれるのは対象IP・FQDNが1個までです。3個以上はBASICの月10万円(税抜・年120万円)からになります。
どちらも「最小構成の金額」であって、自社に必要な構成の金額ではありません。見積りを取る前に、保護したいサイト数や診断したい対象数を数えておく必要があります。
5. 円建てかドル建てか
CrowdStrike Falcon Goは、公式に公開されている価格が1台年59.99ドル・月7.99ドルの米ドル建てです。円建ての確定価格は問い合わせが必要になります。掲載5サービスの中で公開価格が外貨建てなのは同サービスだけで、残る4サービスは円建てで金額が示されています。
6. 無料で試せる範囲を確認する
無料プランがあるのはSecurifyだけです。無料トライアルは4サービスにあり、ESET PROTECT Entry クラウドとCloudbric WAF+が30日間、CrowdStrike Falcon Goが15日間を公開しています。CrowdStrike Falcon Goはこれに加えて30日間の返金保証があります。
HENNGE Oneは公式の価格ページにトライアルの明記がありません。同サービスは最小200IDという規模の製品でもあるため、導入前に試したい場合は問い合わせで確認することになります。
タイプ別に見る
6ライセンスから10,000超まで対応。500〜999帯は1台年2,730円(税抜)まで下がる
15日間の無料トライアルと30日間の返金保証。USBのデバイスコントロールとモバイル保護を含む
必要な機能ごとにEditionを選ぶか、月800円/IDのUltra Suiteで束ねるかを選べる
サーバーに手を入れずDNS切替で導入。DDoS対策・脅威IP遮断・SSL証明書を含む
プラン範囲内なら診断回数は無制限。ASM・CSPM・SBOMにも対応
本ページ独自のまとめ
掲載5サービスを調べたうえで、見積り前に確認しておきたい点を挙げます。
規模の制約が金額より先に効きます。HENNGE Oneの最小200ID、CrowdStrike Falcon Goの最大100台は、いずれも料金表の外側にある条件です。単価を比べて候補を絞ったあとで規模の条件に引っかかると、検討をやり直すことになります。
同じ「1台あたり」でも、比べられる場合とそうでない場合があります。ESET PROTECT Entry クラウドの単価はライセンス数の帯によって5,950円から2,730円(いずれも税抜・年額)まで動きます。特定の帯の数字だけを取り出して他社と比べても、自社の実額にはなりません。
初期費用と対象数の上限は、月額とは別に見る必要があります。Cloudbric WAF+の初期導入費用68,000円(税別)から、最小構成の20FQDN・転送量60GBという上限、Securify STARTERの対象IP・FQDN 1個という制限は、いずれも月額表示には含まれていない条件です。
無料で試せる範囲は狭いのが実情です。無料プランがあるのは掲載5サービス中1サービス(Securify)のみで、トライアルの日数を公開しているのも3サービスにとどまります。最も長いのはESET PROTECT Entry クラウドとCloudbric WAF+の30日間です。
@card 掲載5サービスの料金公開状況|料金を公開:5サービス(100%/うち一部条件が要問い合わせ:2サービス)/無料プランあり:1サービス(20%)/無料トライアルあり:4サービス(80%)/日数を公開している3サービスの平均:25日
各サービスの詳細
キヤノンマーケティングジャパン株式会社が国内総販売代理店として提供する法人向けのエンドポイント保護です。開発元はスロバキアのESET, spol. s r.o.です。キヤノンマーケティングジャパン株式会社は1968年2月1日設立、東京都港区港南のCANON S TOWERに本社を置き、東京証券取引所プライム市場に上場しています(証券コード8060)。
機械学習と多層防御による次世代アンチウイルス(EPP)を、クラウド型の管理コンソールESET PROTECTから一元管理します。
料金は1台あたりの年額で、購入するライセンス数の帯によって単価が変わります。 6〜10ライセンス帯が1台年5,950円、11〜25ライセンス帯が5,070円、100〜249ライセンス帯が3,240円、500〜999ライセンス帯が2,730円(いずれも税抜)です。6〜10帯と500〜999帯では2.18倍の開きがあり、大量に導入するほど1台あたりの単価が逓減します。
最小購入は6ライセンスからで、10,000ライセンス超の規模まで対応します。掲載5社の中では、契約できる規模の幅が最も広いサービスです。
本製品はEPP(次世代アンチウイルス)に位置づけられており、EDRは上位のESET PROTECT AdvancedやMDRの領域になります。 侵入後の検知と対応まで求めるなら、上位製品との比較が必要です。国内でのESET法人向け製品の納入実績は56万件以上(キヤノンMJ公表)とされ、導入後のサポートはキヤノンマーケティングジャパングループが提供します。
CrowdStrike Holdings, Inc.(日本法人:クラウドストライク合同会社)が提供する中小企業向けのエンドポイント保護です。CrowdStrikeは2011年に米国で創業し、親会社のCrowdStrike Holdings, Inc.はNASDAQに上場しています(ティッカーCRWD)。日本法人は東京都港区赤坂の赤坂Bizタワーに拠点を置きます。
クラウドネイティブのFalconプラットフォーム上で動作し、AIを活用した次世代アンチウイルス(NGAV)を中心に構成されています。
公式に公開されている価格は米ドル建てで、年払いが1台59.99ドル、月払いが1台7.99ドルです。円建ての確定価格は問い合わせが必要になります。掲載5社の中で、公開価格が外貨建てなのは本サービスのみで、為替の影響を受けます。
対象は最大100台までで、それを超える規模や、より高度なEDRが必要な場合は上位のFalcon Pro・Enterpriseに移る構成になっています。成長する組織では、100台という上限が先に来る可能性があります。導入・運用にはExpressサポートが付帯します。
15日間の無料トライアルに加えて、30日間の返金保証が用意されています。掲載5社の中で返金保証を持つのは本サービスです。機能としては次世代アンチウイルスのほか、USBなどのデバイスコントロール、Android・iOSのモバイルデバイス保護を含みます。
HENNGE株式会社が提供する、ID・アクセス管理とメールセキュリティを扱うクラウドサービスです。同社は1996年11月設立、資本金5億2,100万円、従業員は連結390名(臨時32名)で、東京都渋谷区南平台町のDaiwa渋谷スクエアに本社を置き、東京証券取引所グロース市場に上場しています(証券コード4475・2019年上場)。
SSO(シングルサインオン)・多要素認証・アクセス制御といったIDaaSの機能に加えて、メール誤送信対策、脱PPAP、メールアーカイブ、標的型攻撃メール訓練(Tadrill)などを組み合わせて提供します。掲載5社の中で、ID管理とメール対策を同じ基盤で扱えるのは本サービスです。
料金は1IDあたりの月額で、必要な機能ごとにEditionが分かれています。 Cybersecurity EditionのCloud Protectionが月200円/ID、Identity EditionのIdPが月300円/ID(IdP Proは月500円/ID)、DLP EditionのDLP・File DLP・ARCが各月350円/IDです。全機能を含む統合パッケージのUltra Suiteは、Basicが月800円/ID、Proが月1,000円/IDとなっています。
最小契約ID数は200IDで、Ultra Suiteのみ50〜100IDから契約できます。従業員がそれ未満の規模では原則として対象になりません。 まず自社のID数を確認してください。
公式の価格ページには無料トライアルの明記がありません。 デモやトライアルの提供有無・日数を知りたい場合は、資料請求や問い合わせで確認する形になります。同社は「国内シェアNo.1のクラウドセキュリティ」と公式に標榜しています。
クラウドブリック株式会社(Cloudbric Corp. 日本法人、親会社:ペンタセキュリティ株式会社)が提供するクラウド型WAFです。2017年12月にペンタセキュリティの社内ベンチャーから分社独立し、本社は韓国ソウル、日本国内にも拠点があります。
エンドポイントを守る他社と違い、本サービスが守るのは自社のWebサイトです。DNSの切り替えで導入でき、サーバーに手を入れる必要がありません。
料金は最小構成が月28,000円(税別)からで、これとは別に初期導入費用が68,000円(税別)からかかります。最小構成に含まれるのは最大20FQDN・データ転送量60GBまでで、これを超える場合は保護対象FQDN数とデータ転送量に応じた個別プランになります。
課金の単位がユーザー数でも台数でもなく、FQDN数と転送量である点が、掲載5社の中で際立ちます。従業員数とは無関係に、運営しているサイトの数と規模で決まります。
検知はロジックベースの検知エンジンで行い、DDoS対策と脅威IPの遮断、SSL証明書の提供も含まれます。WAFとDDoS対策、SSL証明書を別々に契約せずに済む構成です。
30日間の無償トライアルが用意されています。国内では約450社・6,000サイトを保護しているとされています(2020年6月時点の公表値)。
株式会社スリーシェイクが提供する、クラウド型のセキュリティ診断サービスです。同社は2015年1月設立、資本金1億円の企業で、東京都中央区銀座の住友不動産汐留浜離宮ビルに拠点を置きます。
Webアプリケーションの脆弱性診断のほか、ASM(外部公開資産の可視化とリスク管理)、CSPM(クラウド設定監査)、SBOM(ソフトウェア部品表)への対応を扱います。守るのではなく、弱点を見つける側のサービスです。
脆弱性診断の料金は対象数で決まります。 STARTERが月5万円(税抜・年60万円)で対象IP・FQDNは1個、BASICが月10万円(税抜・年120万円)からで対象IP・FQDNは3個以上です。ASM・CSPM・SBOM・セキュリティ統合管理のプランは要問い合わせで、必要な機能を組み合わせた個別提案になります。
特徴として、契約したプランの範囲内であれば診断回数に制限がありません。 外部に発注する脆弱性診断は1回いくらの世界なので、開発のたびに繰り返し診断する使い方ができる点は性格が違います。リリース頻度が高い開発体制ほど効きます。
専門知識がなくても自動で診断でき、最短即日から利用を始められるとされています。無料プランが用意されており、無料トライアルとライブデモも提供されています。トライアルの日数については公式に明記がないため、必要であれば確認が必要です。
よくある質問
まず1つだけ入れるとしたら、どれを選ぶべきですか。
何を心配しているかで変わるため、掲載5サービスの中で一律の順番はつけられません。社員のPCの感染が心配ならESET PROTECT Entry クラウドやCrowdStrike Falcon Go、メールの誤送信やアカウントの不正利用が心配ならHENNGE One、自社Webサイトへの攻撃が心配ならCloudbric WAF+、どこに弱点があるかを把握したいならSecurifyというように、対象で選ぶ形になります。
従業員が50人程度でも契約できますか。
サービスによります。HENNGE Oneは最小契約が200ID(Ultra Suiteは50〜100ID)のため、規模によっては対象外です。CrowdStrike Falcon Goは最大100台までなので50人規模は範囲内、ESET PROTECT Entry クラウドは最小6ライセンスから契約できます。Cloudbric WAF+とSecurifyは人数ではなく保護対象数で料金が決まります。
EDRを導入したいのですが、掲載サービスで対応できますか。
本ページで扱っている2つのエンドポイント製品は、いずれもEDRが上位製品に分かれます。ESET PROTECT Entry クラウドはEPP(次世代アンチウイルス)で、EDRは上位のPROTECT AdvancedやMDRの領域です。CrowdStrike Falcon GoはNGAV(次世代アンチウイルス)で、EDRは上位のFalcon Pro・Enterpriseのバンドルに含まれます。
WAFと脆弱性診断は、どちらを先に導入すべきですか。
役割が違うため、どちらが上位ということはありません。Cloudbric WAF+は攻撃そのものを検知して遮断するもので、SecurifyはWebアプリケーションや外部公開資産にどんな弱点があるかを調べるものです。Securifyの脆弱性診断は診断回数が無制限で、ASMやCSPMにも対応しています。現状を把握してから対策を決めるか、まず防御を入れるかは自社の状況次第です。
料金が完全に公開されているサービスはどれですか。
掲載5サービスはいずれも公式サイトで何らかの金額を公開していますが、上位の構成は見積りが必要です。Securifyは脆弱性診断のSTARTERとBASICを公開している一方、ASM・CSPM・SBOM・統合管理のプランが要問い合わせです。CrowdStrike Falcon Goは米ドル建ての価格のみ公開で円建ては要問い合わせ、Cloudbric WAF+は最小構成を超える規模が個別プランになります。
標的型攻撃メールの訓練もできるサービスはありますか。
掲載5サービスの中ではHENNGE Oneが該当します。同サービスはTadrillという標的型攻撃メール訓練を含んでおり、仕組みの導入と併せて社員側の対応力を確認する運用が取れます。