生産管理システムは、他のSaaSカテゴリと比べ方が違います。料金表を並べても候補が絞れないのです。
理由は、製品ごとに想定している生産形態が違うからです。1台ずつ図面から作る個別受注生産と、同じ製品を繰り返す繰返(量産)生産、材料を配合して作るプロセス生産では、そもそも管理すべき情報が別物になります。
この構造をはっきり示しているのが、大塚商会の生産革新ファミリーです。同社は1つの製品で全製造業をカバーせず、組立業向けのFu-jin、繰返と個別受注のハイブリッド型Raijin、繰返・量産型Ryu-jin、配合型Blendjin、BOM管理Bom-jin、多品種小ロット加工業向けでクラウド提供のWun-jinと、生産形態別に複数のパッケージを揃えています。
同じベンダーですら、1つの製品では足りない。これがこのカテゴリの前提です。
結論:生産形態・BOMの作り方・提供形態の3点で絞る
先に結論を述べます。
1つめは、生産形態です。個別受注の機械・装置業ならTECHS-S NOAかrBOM、繰返・量産や配合型なら生産革新ファミリーの該当パッケージ、複数形態が混在するならUM SaaS CloudかFactory-ONE 電脳工場です。
2つめは、部品表(BOM)の作り方です。図面が決まるまで部品が確定しない現場では、部品マスタの事前登録を前提としない設計かどうかが導入の可否を分けます。
3つめは、提供形態です。クラウドか、オンプレミスか、両方選べるか。工場のネットワーク環境と情報システム部門の体制で決まります。
掲載5社の料金公開率は40%(2/5)、無料トライアルは0社(0%)でした。金額が出ている2社も、比べる前に生産形態が合っているかを確かめる必要があります。
生産管理システムとは
生産管理システムとは、生産計画の立案から部品表(BOM)管理、所要量計算、製造指図、進捗・在庫・原価の管理までを一元化するシステムです。
製造業の基幹業務そのものを扱うため、扱う情報の量も、導入時に整備すべきマスタの量も、他の業務システムとは桁が違います。品目マスタ、部品表、工程マスタ、取引先マスタを揃えないと動き始めません。
そして冒頭で述べたとおり、生産形態によって必要な機能が入れ替わります。
| 生産形態 | 特徴 | 管理の中心 |
|---|---|---|
| 個別受注生産 | 1台ずつ図面から作る | 製番管理・案件別原価 |
| 繰返(量産)生産 | 同じ製品を繰り返し作る | 所要量計算・在庫の回し方 |
| 多品種少量生産 | 少しずつ多くの種類を作る | 段取り・小ロットの負荷 |
| 配合型(プロセス)生産 | 材料を配合して作る | 配合比率・ロット管理 |
当メディアの調査では、「生産管理」という検索キーワードの指数は直近25か月で51〜91の範囲を推移し、平均は76.3でした。最低は2025年12月の51、最高は直近2026年7月の91で、先頭80に対し末尾91と上向いています。2025年後半は60〜70台まで落ち込んでいましたが、2026年5月以降は80・82・91と持ち直し、期間中の最高値を直近で記録しました。
選び方:5つの確認ポイント
1. 自社の生産形態を先に決める
カタログを集める前に、自社が何をどう作っているかを言語化してください。
| サービス | 対応する生産形態 |
|---|---|
| TECHS-S NOA | 個別受注生産に特化(工作機械・金型・化学機械・産業用ロボット・半導体製造装置) |
| rBOM | 個別受注生産・多品種少量生産 |
| 生産革新ファミリー | 生産形態別に複数パッケージ(組立/繰返+個別受注/量産/配合/多品種小ロット) |
| UM SaaS Cloud | 個別受注・受注生産・見込生産など多様な形態にモジュールで対応 |
| Factory-ONE 電脳工場 | 加工・組立・プロセス生産に幅広く対応 |
TECHS-S NOAは対象業種を明確に絞っています。工作機械、金型、化学機械・産業機械、半導体製造装置、産業用ロボットといった受注生産形態の製造業向けです。当てはまるなら第一候補、当てはまらないなら候補から外れる、という判断のしやすさがあります。
一方、複数の生産形態が社内に混在している場合は話が変わります。カタログ品を量産しつつ顧客ごとの特注品も受ける、という製造業は少なくありません。その場合は生産革新ファミリーのRaijin(繰返+個別受注のハイブリッド型)、あるいはMRP手配と製番手配の両方に対応するFactory-ONE 電脳工場が候補になります。
2. 部品表(BOM)の作り方が業務に合うか
生産管理システムの中核は部品表です。ここで導入が止まる例が多くあります。
TECHS-S NOAは部品マスタを事前に登録しなくても運用できます。個別受注生産では図面が決まるまで使う部品が確定しないため、マスタ整備を前提とする設計だと導入前の準備段階で進まなくなるからです。CADやExcelから部品表データを取り込めるため、既存の図面資産もそのまま活かせます。
rBOMは「リアルタイム統合部品表(統合BOM)」を中核に据えています。製品と情報の統合・共有・リアルタイム更新を実現し、設計・製造・調達が同じ部品表を見る状態をつくります。個別受注生産では設計が進むにつれて部品構成が変わるため、部品表が最新でないと手配も原価も狂います。
生産革新ファミリーには、全業種向けのBOM管理パッケージ「Bom-jin」も用意されています。生産管理システム全体を入れ替えず、部品表の管理だけを先に整えたい段階の企業に向きます。
3. 販売管理まで含むかどうか
生産だけを管理する製品と、受注・売掛まで一続きで扱う製品があります。
| サービス | 販売管理の扱い |
|---|---|
| Factory-ONE 電脳工場 | 請求・売掛・仕入・買掛を標準装備 |
| rBOM | 引合・見積・受注・売掛の販売機能を1パッケージで提供 |
| 生産革新ファミリー(Fu-jin) | 販売管理と一体化した製販一気通貫型 |
| UM SaaS Cloud | UM販売購買を業務モジュールとして追加(10ID 月15,000円〜・税抜) |
| TECHS-S NOA | 個別受注型の生産管理が中心 |
既存の販売管理システムを残すのか置き換えるのかで、必要な範囲が決まります。別々のシステムに分けるとデータの受け渡しと二重管理が発生するため、まとめられるならまとめたほうが運用は軽くなります。
4. クラウドかオンプレミスか
| サービス | 提供形態 |
|---|---|
| UM SaaS Cloud | クラウド(Salesforce基盤)・年間契約 |
| TECHS-S NOA | サーバーはオンプレミス/クライアントはオンプレミス・クラウド両可 |
| Factory-ONE 電脳工場 | オンプレミス/クラウド選択可(サブスクリプション対応) |
| 生産革新ファミリー | 製品による(Fu-jin・Raijinはオンプレミス、Wun-jinはクラウド) |
| rBOM | オンプレミス/クラウド(詳細は要問い合わせ) |
UM SaaS Cloudは世界で1,500万社以上が利用するSalesforceを基盤に構築されており、自社でサーバーを用意せずに始められます。情報システム部門の体制が限られる中小製造業でも導入しやすい構成です。
TECHS-S NOAはサーバーがオンプレミス構成(Windows Server/SQL Server)を基本とし、クライアントはオンプレミス/クラウドいずれの環境でも使えます。工場内にデータを置く方針を保ちながら、事務所や外出先からもアクセスできます。なおハードウェア費用は月額・初期費用に含まれないため、見積り時に別途確認が必要です。
5. 無料トライアルは0社。デモで自社の品目を当てる
掲載5社のうち無料トライアルを提供している会社は0社(0%)です。
自社の品目マスタと部品表を入れないと使い勝手が判断できず、短期間の試用が成立しにくいためです。各社とも資料請求・デモ依頼・見積り依頼の窓口を用意しています。
デモの段階で、自社で実際に流れている品目や図面を持ち込んで、部品表の登録から所要量計算までを再現してもらうと判断材料になります。料金公開率は40%(2/5)のため、見積りを取る前提で複数社に同じ条件を提示するのが実務的です。
タイプ分類:3つの型
型1|生産形態特化型(TECHS-S NOA/rBOM)
対象を絞ることで実務に密着した機能を揃える型です。TECHS-S NOAは個別受注型の機械・装置製造業に特化し、部品マスタの事前登録なしで運用でき、仕掛中の原価と完成時の予測原価をリアルタイムに把握できます。初期125万円(税別)〜・月45,000円(税別)〜と下限を公開しています。rBOMは統合BOMと製番管理を中核に、引合から見積・設計・製造・調達・保守までを1パッケージで扱います。
型2|生産形態別ラインアップ型(生産革新ファミリー)
1つの製品ではなく、生産形態ごとに専用パッケージを用意する型です。組立業向けFu-jin、繰返+個別受注のハイブリッドRaijin、繰返・量産型Ryu-jin、配合型Blendjin、BOM管理Bom-jin、多品種小ロット加工業向けでクラウド提供のWun-jin。配合型(プロセス生産)は組立を前提とした製品では扱えない領域のため、専用パッケージがあることに意味があります。東証プライム上場の大塚商会が全国でサポートします。
型3|モジュール/総合型(UM SaaS Cloud/Factory-ONE 電脳工場)
共通の基盤に必要な機能を足す、あるいは1製品で幅広くカバーする型です。UM SaaS CloudはSalesforce基盤のクラウドで、基本パック(10ID込み月35,000円・税抜)に業務モジュールを追加します。Factory-ONE 電脳工場は生産計画からMRP手配・製番手配・原価・販売管理までを標準装備し、ソース公開でユーザー側のカスタマイズも可能です。複数の生産形態が混在する中堅・中小製造業に向きます。
独自データ:料金公開率40%、無料トライアル0%
当メディアの調査で分かったことを整理します。
| 項目 | 掲載5社の結果 |
|---|---|
| 料金公開率 | 40%(2/5)(open 1社/partial 1社/closed 3社) |
| 1ユーザー単価で比較できる社数 | 0社(全社が企業単位の定額またはパッケージ価格) |
| 初期費用を公開している社数 | 1社(TECHS-S NOAの1,250,000円〜・税別) |
| 無料プラン | 0社(0%) |
| 無料トライアル | 0社(0%) |
無料トライアルが0社という結果は、このカテゴリの性格をよく表しています。マスタ整備なしには動かないため、試用という形が成立しないのです。
企業規模別の年間コストは、月額を公開している2社で次のようになります。掲載5社はいずれも従業員数に連動しない企業単位の定額なので、10名でも100名でも金額は変わりません。
| サービス | 年間コスト(最安構成・税抜/税別) |
|---|---|
| UM SaaS Cloud(基本パックのみ) | 420,000円(月35,000円×12・10ID込み) |
| TECHS-S NOA | 540,000円(月45,000円×12。初期125万円は別途) |
ここで、料金の形の違いがそのまま総額に効いてきます。
UM SaaS CloudでUM工程進捗とUM販売購買を両方使う場合は月額65,000円(税抜)が公式の利用例です。TECHS-S NOAは月45,000円(税別)ですが、初期に1,250,000円(税別)がかかります。
月額差は 65,000円 - 45,000円 = 20,000円。TECHS-S NOAの初期費用をこの差で割ります。
- 1,250,000円 ÷ 20,000円 = 62.5か月(およそ5年2か月)
5年2か月でようやく総額が並ぶ計算です(UM SaaS Cloudの導入費用は個別見積りのため、月額のみで比較した場合)。初年度で見れば、TECHS-S NOAは1,250,000円+45,000円×12=1,790,000円、UM SaaS Cloudは65,000円×12=780,000円(導入費用別途)となります。
ただし繰り返しになりますが、TECHS-S NOAは個別受注型の機械・装置製造業に特化した製品です。生産形態が合わなければ、この比較そのものが成立しません。
掲載5社の比較表
| サービス | 主な生産形態 | 提供形態 | 初期費用 | 月額 | 販売管理 |
|---|---|---|---|---|---|
| UM SaaS Cloud | 個別受注・受注・見込(モジュール対応) | クラウド(Salesforce基盤) | 個別見積り | 35,000円〜(10ID込み・税抜) | UM販売購買を追加 |
| TECHS-S NOA | 個別受注(機械・装置業)に特化 | サーバーはオンプレミス | 1,250,000円〜(税別) | 45,000円〜(税別) | 生産管理が中心 |
| Factory-ONE 電脳工場 | 加工・組立・プロセス | オンプレミス/クラウド選択可 | 非公開 | 非公開 | 標準装備 |
| rBOM | 個別受注・多品種少量 | オンプレミス/クラウド | 非公開 | 非公開 | 1パッケージで提供 |
| 生産革新ファミリー | 生産形態別に6パッケージ | 製品による | 非公開 | 非公開 | Fu-jinは製販一気通貫 |
無料プラン・無料トライアルは掲載5社とも提供がないため、表からは省いています。
各サービスの詳細
株式会社シナプスイノベーションが提供する製造業向けのクラウドERP/生産管理プラットフォームです。同社は1984年12月設立、資本金3億3,392万1,000円、従業員208名(2026年3月時点)で、大阪市北区堂島に本社を置きます。
世界で1,500万社以上が利用するSalesforceを基盤に構築されている点が最大の特徴です。見積から受発注、生産計画、所要量計算、工程進捗管理、在庫管理、原価管理までを一つのクラウド上で一気通貫に管理できます。自社でサーバーを持たずに始められるため、情報システム部門の体制が限られる中小製造業でも導入しやすい構成です。
料金はUM基本パック(Business Edition)が10ID込みで月額35,000円(税抜)から、業務モジュールがそれぞれ10IDあたり月額15,000円(税抜)からと公式に公開されています。基本パックの10IDには管理者1ID・サポート1ID・保守1IDが含まれます。1IDあたりに直すと 35,000円 ÷ 10ID = 3,500円です。
UM工程進捗とUM販売購買を両方利用する場合の月額65,000円(税抜)が公式の利用例で、1IDあたりでは 65,000円 ÷ 10ID = 6,500円になります。ほかにUMガント・UM生産計画AI・UM原価・UM EDIといったモジュールが用意されています(これらの金額は非公開)。
個別受注・受注生産・見込生産など多様な生産形態にモジュールで対応します。生産形態ごとに別パッケージを用意する生産革新ファミリーとは異なる考え方で、複数の生産形態が社内に混在している場合や、将来的に構成を変える可能性がある場合に向きます。
導入費用は個別見積りで、別途検証用環境の料金も必要とされています。契約は年間契約です。無料トライアルはなく、無料デモ・資料請求での確認になります。公式サイトでは25社以上の導入事例が公開されており、Salesforce Japan Partner Award 2024・BEST HIT APP RANKING 2025に入賞しています。
株式会社テクノアが提供する、個別受注型の機械・装置製造業向けに開発された中小・中堅企業のための生産管理システムです。テクノアは1985年10月設立、資本金7,280万円、従業員355名(2026年4月1日時点)で、岐阜県岐阜市に本社を置きます。
対象業種を明確に絞っている点が特徴です。工作機械、金型、化学機械・産業機械、半導体製造装置、産業用ロボットといった受注生産形態の製造業に適合します。1台ずつ図面から作る個別受注生産では、量産型の生産管理システムがそのまま当てはまらないため、この特化が意味を持ちます。
実務に合わせた作りが随所にあります。部品マスタを事前に登録しなくても運用でき、CADやExcelから部品表(BOM)データを取り込めます。図面が決まるまで部品が確定しない個別受注型の現場では、マスタ整備を前提とする設計だと導入前の準備段階で止まってしまうためです。在庫品のトレース管理、バーコードによる仕入・作業実績入力にも対応します。
原価の見え方も個別受注型に合わせています。仕掛中の原価と完成時の予測原価をリアルタイムに把握できるため、追加工数が膨らんでいる案件を完成前に見つけられます。個別受注生産は1案件ごとに採算が違い、締めたあとに赤字が分かるという事態が起こりがちな領域です。
料金は公式の価格ページで初期費用が最小構成1,250,000円(税別)から、月額利用料が45,000円(税別)からと下限が公開されています。掲載5社で初期費用の金額を出しているのは同社だけです。ユーザーアカウント数やオプション内容によって変動し、ハードウェア費用は含まれません。初年度は 1,250,000円 + 45,000円 × 12 = 1,790,000円が下限になります。
サーバーはオンプレミス構成(Windows Server/SQL Server)が基本で、クライアントはオンプレミス/クラウドいずれの環境でも利用できます。無料トライアルの記載はなく、要問い合わせです。
株式会社エクスが提供する中堅・中小製造業向けの統合型生産管理システムです。エクスは1994年9月設立、資本金1億円、従業員135名(2026年4月時点)で、大阪市北区豊崎に本社を置きます。
扱う範囲の広さが特徴です。生産計画の立案から、受注・出荷、MRP手配・製番手配、発注・受入・在庫管理、負荷・進捗・原価管理、さらに請求・売掛・仕入・買掛といった販売管理機能までを標準装備し、ものづくりに関わる情報を総合的に管理します。生産管理システムと販売管理システムを別々に導入して連携させる構成を取らずに済みます。
MRP手配と製番手配の両方に対応するため、量産品と個別受注品が社内に混在していても同じシステムで扱えます。負荷管理まで含むことで、設備や人員の余力を見ながら計画を立てられます。加工・組立・プロセス生産など幅広い生産形態に対応します。
さらにソース公開によりユーザーサイドでのカスタマイズも可能です。パッケージ製品は標準機能に業務を合わせるのが原則ですが、製造業では自社固有の管理方法が競争力の源になっている場合があります。ベンダーに都度依頼せず自社や取引先のSIerで手を入れられることは、長期運用での自由度につながります。
販売開始から約30年、シリーズ累計で2,000本を超える導入実績があります。提供形態はオンプレミスとクラウドを選択でき、サブスクリプション提供にも対応します。初期投資を抑えてサブスクリプションで始め、あとから構成を見直すという進め方も取れます。
料金は公式サイトでは公開されておらず、見積り依頼・デモ依頼で確認する形です。同社はクラウド型EDIサービス「EXtelligence EDIFAS」も提供しています。
DAIKO XTECH株式会社が2001年から提供する、個別受注生産・多品種少量生産向けのハイブリッド販売・生産管理システムです。同社は1953年12月設立、資本金19億69百万円、従業員は単体761名/連結1,332名(2026年3月31日時点)で、東京証券取引所スタンダード市場に上場しています(証券コード8023)。2025年4月に大興電子通信株式会社から商号変更し、富士通が筆頭株主です。
製品名のとおり、部品表(BOM)が中核に据えられています。「リアルタイム統合部品表(統合BOM)」により、製品と情報の統合・共有・リアルタイム更新を実現します。個別受注生産では設計が進むにつれて部品構成が変わっていくため、部品表が常に最新であることが原価と手配の精度を左右します。
1パッケージで完結する設計も特徴です。引合管理・見積・受注管理・売掛管理といった販売機能と、製番管理・統合BOMを中心とした生産管理機能を1つのパッケージで提供し、CADや部品表管理のPDMといった外部システムとの追加連携を不要にすることでコスト削減につなげます。
生産管理システムの導入費用は、本体よりも周辺システムとの連携開発で膨らむことが少なくありません。1パッケージで完結させる方針は、その部分の費用と保守の手間を抑える狙いです。
製番管理により、案件ごとに部品・工数・費用を紐づけて、どの案件にいくらかかっているかを追えます。引合から見積・設計・製造・調達・保守までの業務を一気通貫で支援するため、装置を納めたあと長く面倒を見る業態と噛み合います。
料金は公式サイトでは公開されておらず、個社の要件に応じた見積りです。無料トライアルの記載もなく、資料請求・問い合わせでの確認になります。
株式会社大塚商会が提供するオリジナルの生産管理システム群です。大塚商会は1961年7月設立、資本金103億7,485万1,000円、従業員8,287名(2025年末時点・単体/連結10,079名)で、東京証券取引所プライム市場に上場しています(証券コード4768)。
1つの製品で全製造業をカバーするのではなく、業種・生産形態別に複数のパッケージを揃える方針を取っています。顧客の要望を製品開発に生かしながらラインアップを広げてきた構成です。
| パッケージ | 対象 | 提供形態 |
|---|---|---|
| Fu-jin | 組立業向け・販売管理と一体化した製販一気通貫型 | オンプレミス |
| Raijin | 標準品の繰返生産と特注品の個別受注生産に両対応 | オンプレミス |
| Ryu-jin | 自動車・電気部品などの繰返・量産型 | ― |
| Blendjin | 化学・食品・香料・薬品などの配合型 | ― |
| Bom-jin | 全業種向けのBOM管理 | ― |
| Wun-jin | 多品種小ロット加工業向け | クラウド |
とくに意味があるのがBlendjin(配合型)です。配合型(プロセス生産)は、部品を組み立てる生産とは管理の考え方が根本から異なり、原材料の配合比率やロット管理が中心になります。組立を前提とした製品では扱えない領域のため、専用パッケージが用意されています。
Raijinは標準品の繰返生産と特注品の個別受注生産の両方に対応します。カタログ品を量産しつつ顧客ごとの特注品も受けるという製造業は少なくなく、どちらか一方に特化した製品では片方が回らなくなります。設計部門との双方向連携にも対応します。
Wun-jinは多品種小ロット加工業向けで、クラウドで提供されます。この規模の加工業は情報システム部門を持たない企業も多いため、サーバーを持たずに始められる選択肢があることに意味があります。
各製品ともBOM管理・所要量計算・製造指図・在庫・原価・進捗管理までを、それぞれの生産形態に合わせて実現します。SMILEシリーズなど同社の他製品との組み合わせにも対応します。料金は公式サイトでは公開されておらず、構成・規模に応じた個社見積りです。
よくある質問
生産管理システムの料金相場はいくらですか?
掲載5社はいずれも1ユーザーあたりの月額ではなく企業単位の定額またはパッケージ価格のため、当メディアでは1ユーザー単価の相場を算出していません。金額を公開している2社で見ると、UM SaaS CloudはUM基本パック(Business Edition)が10ID込みで月額35,000円(税抜)から、業務モジュールが10IDあたり月額15,000円(税抜)からで、UM工程進捗とUM販売購買を両方使う場合の月額65,000円(税抜)が公式の利用例です。TECHS-S NOAは初期費用が最小構成1,250,000円(税別)から、月額利用料が45,000円(税別)からです。Factory-ONE 電脳工場・rBOM・生産革新ファミリーは料金非公開です。
初期費用はどのくらいかかりますか?
公開しているのはTECHS-S NOAのみで、最小構成1,250,000円(税別)からです。ユーザーアカウント数やオプション内容によって変動し、ハードウェア費用は含まれません。UM SaaS Cloudは料金ページに「個別お見積」と明記されており、別途検証用環境の料金も必要とされています。Factory-ONE 電脳工場・rBOM・生産革新ファミリーは初期費用の記載がなく要問い合わせです。初年度の総額で比べるなら、月額×12に初期費用を足したうえで、ハードウェアや検証環境の費用が含まれるかを確認してください。
生産形態によって選ぶ製品は変わりますか?
変わります。むしろ、生産形態が選定の出発点です。個別受注生産(1台ずつ図面から作る)向けにはTECHS-S NOA(工作機械・金型・化学機械・産業用ロボット・半導体製造装置など機械・装置製造業に特化)やrBOM(統合BOMと製番管理が中核)があります。生産革新ファミリーは業種・生産形態別に複数のパッケージを揃え、組立業向けのFu-jin、繰返と個別受注のハイブリッド型Raijin、繰返・量産型のRyu-jin、配合型のBlendjin、多品種小ロット加工業向けのWun-jinなどで構成されます。UM SaaS Cloudは多様な生産形態にモジュールで対応し、Factory-ONE 電脳工場は加工・組立・プロセス生産を幅広くカバーします。
無料トライアルはありますか?
掲載5社とも無料トライアルはありません(0/5社)。生産管理システムは自社の品目マスタと部品表を登録しないと使い勝手が判断できず、短期間の試用が成立しにくいためです。各社とも資料請求・デモ依頼・見積り依頼の窓口を用意しています。UM SaaS Cloudは無料デモ・資料請求のみ、Factory-ONE 電脳工場は見積り依頼・デモ依頼、rBOMと生産革新ファミリーは資料請求・問い合わせでの確認になります。デモでは自社で実際に流れている品目や図面を持ち込み、部品表の登録から所要量計算までを再現してもらうと判断しやすくなります。
クラウドとオンプレミスはどちらを選ぶべきですか?
工場のネットワーク環境と情報システム部門の体制で決まります。UM SaaS CloudはSalesforceを基盤としたクラウドで、サーバーを自社に置かずに始められる一方、契約は年間契約です。TECHS-S NOAはサーバーがオンプレミス構成を基本とし、クライアントはオンプレミス/クラウドいずれの環境でも利用できます。Factory-ONE 電脳工場はオンプレミスとクラウドを選択でき、サブスクリプション提供にも対応します。生産革新ファミリーはFu-jinやRaijinがオンプレミス、Wun-jinがクラウドと製品ごとに異なります。rBOMは提供形態の詳細が要問い合わせです。
既存のCADや販売管理システムとはどうつなぎますか?
製品によって考え方が違います。rBOMは統合BOMを中核に据えることでCADや部品表管理のPDMといった外部システムとの追加連携を不要にし、コスト削減につなげる設計です。TECHS-S NOAはCADやExcelから部品表データを取り込めます。販売管理については、Factory-ONE 電脳工場が請求・売掛・仕入・買掛まで標準装備し、rBOMも引合から売掛までを1パッケージで提供、生産革新ファミリーのFu-jinは販売管理と一体化した製販一気通貫型です。UM SaaS CloudはUM販売購買という業務モジュールを追加する構成で、Salesforceプラットフォーム上で扱います。
まとめ
生産管理システムは、金額より先に生産形態で候補が決まるカテゴリでした。大塚商会が1社で生産形態別に6つのパッケージを揃えていることが、その構造を端的に示しています。
判断の順序は次のとおりです。
- 自社の生産形態を言語化する:個別受注か、繰返(量産)か、多品種少量か、配合型か。混在しているならその比率も
- 部品表の作り方が業務に合うか確かめる:図面が決まるまで部品が確定しないなら、部品マスタの事前登録を前提としない設計が要る
- 提供形態と範囲を決める:クラウドかオンプレミスか、販売管理まで含めるか
個別受注の機械・装置業ならTECHS-S NOA、統合BOMで設計から保守までつなぐならrBOM、生産形態が特殊(配合型など)なら生産革新ファミリーの該当パッケージ、クラウドで小さく始めて広げるならUM SaaS Cloud、複数形態が混在していて販売管理までまとめたいならFactory-ONE 電脳工場、というのが基本の割り振りです。
料金公開率は40%(2/5)、無料トライアルは0社。デモに自社の品目と図面を持ち込んで、同じ条件で複数社に見積りを取るのが、このカテゴリでの現実的な進め方になります。