「リード獲得ツール」を比較しようとして戸惑うのは、同じ名前で売られている製品のやっていることが揃っていない点です。掲載5サービスを調べたところ、匿名訪問者の社名を割り出すもの、サイト上で接客してコンバージョンを増やすもの、離脱した人を後から追いかけるものと、打ち手が3方向に分かれていました。
料金の考え方もこの3方向に対応しています。訪問企業を特定するタイプは「見える量」に対して課金され、Web接客タイプは月額固定、離脱者への再アプローチは成果が出たときだけの従量です。横並びの表で月額を比べても、比べているものが違います。
この記事では掲載5サービスについて、どのアプローチを取るか、料金がどう決まるか、初期費用と契約期間の縛りはどうかを一次データから整理しました。
結論:まず3つのアプローチのどれが自社に効くかを決める
先に結論を述べます。掲載5サービスは次の3つに分類できます。
1つめは、訪問企業を特定するIP解析型です。どこどこJPとLeadfeederが該当します。フォームを送らずに帰った匿名の訪問者について、IPアドレスから企業名を割り出します。リードの数そのものが増えるわけではありませんが、これまで見えなかった訪問企業に営業をかけられるようになります。すでにアクセスがあり、その中に営業対象が埋もれている場合に効きます。
2つめは、サイト上で接客するWeb接客型です。sincloとKaiUが該当します。sincloはチャットボットで行動に連動した話しかけを行い、KaiUはポップアップやバナーでの訴求と離脱防止を運用代行込みで提供します。アクセスはあるがフォームまで進まない場合の打ち手です。
3つめは、離脱者を追いかける再アプローチ型です。GENIEE ENGAGEが該当します。フォームを開いたが送信せずに離脱したユーザーに、メールやSMSで改めて接触します。フォームまで来たのに送信されないケースを拾う位置づけです。
自社のサイトでどこが詰まっているかを数字で押さえてから選ばないと、効かないツールを入れることになります。
リード獲得ツールとは
リード獲得ツールは、Webサイトに来た見込み客を営業につなげるためのツールの総称です。ただし前述のとおり、担当する工程がサービスごとに異なります。
訪問から受注までを大まかに並べると、「サイトに来る → 興味を持つ → フォームを開く → フォームを送信する → 営業が接触する」という流れになります。IP解析型は最初の「サイトに来る」段階の匿名ユーザーを営業対象に変えます。Web接客型は「興味を持つ → フォームを開く」の間を後押しします。再アプローチ型は「フォームを開く → 送信する」で落ちた人を拾います。
掲載5サービスはいずれもタグやトラッキングスクリプトを設置するクラウド型で、サイト側の大がかりな改修は前提としていません。どこどこJPだけは、タグ設置型のほかにREST APIによるシステム連携とデータ提供という形態も用意しています。
選び方:5つの確認ポイント
1. 3つのアプローチのどれが自社の課題に効くか
繰り返しになりますが、ここが最初の分岐です。判断材料はサイトの現状の数字です。
月間のアクセス数が一定あるのにフォーム送信がほとんどない場合、原因が「そもそも興味を持たれていない」のか「フォームまで来たが面倒でやめた」のかで打ち手が変わります。前者ならWeb接客型、後者なら再アプローチ型です。
アクセスもフォーム送信も一定数あるが営業の当たり先が足りない場合は、IP解析型で匿名訪問者から営業対象を掘り起こす選択になります。
いずれの場合も、そもそもアクセス数が少ない段階ではどのアプローチも効果が出にくくなります。掲載5サービスはどれも「来ている人」を前提にした仕組みだからです。
2. 「月額◯円〜」の下限だけで判断しない
料金表記で注意が必要なのは、下限しか書かれていないケースです。
どこどこJPのJavaScriptシングルサイトプランは月額12,000円〜(税抜)と表記されますが、これは月間リクエスト数0〜50,000件の帯の金額です。上限帯である月間1億リクエストまで使う場合は月額528,000円(税抜)になります。
- シングルサイトプラン:月額12,000円〜528,000円(税抜)/下限と上限の差は44倍
- マルチサイトプラン:月額48,000円〜2,112,000円(税抜)/利用サイト無制限
- REST APIプラン:月額120,000円〜(税抜)/システム連携向け
sincloも月額10,000円〜・50,000円〜という下限表記です。自社の月間PVやリクエスト数を先に算出しておかないと、実際の請求額が想定と大きくずれます。
3. 初期費用と契約期間の縛りを確認する
月額の隣に置かれている条件も見落とせません。
どこどこJPはJavaScriptプランで初期費用120,000円(税抜)、REST APIプランで360,000円(税抜)が必要です。月額12,000円のシングルサイトプランを1年使う場合、月額の合計144,000円に初期費用120,000円を足して初年度264,000円となり、初期費用が総額のほぼ半分を占めます。
一方sincloは2プランとも初期費用無料と明記しています。月額10,000円〜のコスト重視プランなら、導入時の持ち出しがありません。
KaiUは金額とは別の縛りがあります。契約期間が6ヵ月と定められており、月間PV上限100万PVを超えた分は従量課金になります。短期間で効果を見て見直す前提の導入には合いません。
4. 料金非公開のサービスは「何が公開されているか」を見る
掲載5サービスのうち、GENIEE ENGAGEとKaiUは料金を公開していません。ただし公開の仕方には差があります。
KaiUはサイト規模別の3プラン制で各プランの金額は非公開ですが、公式に「最大でも月額10万円以内のツール基本料金」という上限を示しています。個別の金額は分からなくても、予算の枠は組めます。
GENIEE ENGAGEは完全成果報酬型で、固定費も成果報酬単価も非公開です。ツール経由のコンバージョンが発生しなければ請求が生じない仕組みのため初期の持ち出しは抑えられますが、成果が出たときにいくら発生するかは問い合わせないと分かりません。
「非公開」と一括りにせず、上限が示されているのか、単価が示されていないのかを見分けると、問い合わせ前に候補を絞れます。
5. 無料で試せる範囲がどこまでか
掲載5サービスで無料プランがあるのはLeadfeederのみです。無料のLiteプランは直近100社/月・履歴7日までという制限付きですが、ユーザー数は無制限で、自社サイトにどの程度の企業が来ているかを把握する用途には使えます。
無料トライアルは4サービスが提供しており、どこどこJP・Leadfeeder・sincloがいずれも14日間です。Leadfeederはクレジットカード不要で有料機能を試せます。KaiUも公式サイトから無料トライアルを申し込めますが、日数の明記はありません。GENIEE ENGAGEは成果報酬型のため無料トライアルの記載がありません。
独自データ:料金公開率と無料で試せる範囲
当メディアが掲載5サービスの公式サイトを2026年7月時点で調査した結果は次のとおりです。
料金公開率は60%(3/5)でした。公開しているのはどこどこJP・Leadfeeder・sincloの3サービスで、GENIEE ENGAGEとKaiUは要問い合わせです。ただしどこどこJPとsincloは下限のみの表記であり、Leadfeederのみがすべてのプランの金額を提示しています。
無料プランがあるのは20%(1/5)です。Leadfeederのみで、直近100社/月・履歴7日までという制限があります。
無料トライアルは80%(4/5)が提供しています。日数を公開している3サービスはいずれも14日間で、平均も14日です。KaiUは申込はあるものの日数の明記がなく、GENIEE ENGAGEは記載がありません。
課金の基準は5サービスすべてで異なります。どこどこJPは月間APIリクエスト数の帯、Leadfeederは月あたりのクレジット数、sincloはプラン別の月額固定、KaiUはサイト規模別の月額固定(月間PV上限100万PV・超過分は従量)、GENIEE ENGAGEは完全成果報酬です。1ユーザーあたりの単価という共通指標が存在しないため、相場としての金額は算出できません。
掲載5サービスの比較
| サービス | 提供元 | アプローチ | 課金の基準 | 公開されている料金 | 初期費用 | トライアル |
|---|---|---|---|---|---|---|
| どこどこJP | 株式会社Geolocation Technology | IP解析 | 月間APIリクエスト数 | 月額12,000円〜528,000円(税抜・シングルサイト) | 120,000円(税抜) | 14日 |
| Leadfeeder | dealfront Group GmbH | IP解析 | 月あたりクレジット数 | 年払い実質月€79〜(Discover) | 記載なし | 14日+無料プラン |
| sinclo | メディアリンク株式会社 | Web接客 | プラン別の月額固定 | 月額10,000円〜/50,000円〜 | 0円 | 14日 |
| KaiU | 株式会社エフ・コード | Web接客(運用代行) | サイト規模別の月額固定 | 非公開(上限は月額10万円以内) | 非公開 | あり(日数不明) |
| GENIEE ENGAGE | 株式会社ジーニー | 離脱者への再アプローチ | 完全成果報酬 | 非公開 | 非公開 | 記載なし |
各サービスの詳細
IPアドレスから企業名に加えて業種・住所・従業員数といった企業情報を取得できる国産のIP解析サービスです。掲載5サービスの中では、取得できる企業属性の項目がもっとも細かくなっています。
提供形態はJavaScriptタグ設置型、REST API、データ提供の3種類です。JavaScriptプランはさらに、1サイト(1FQDN)が対象のシングルサイトプランと利用サイト数無制限のマルチサイトプランに分かれます。
料金は月間APIリクエスト数の帯による段階課金で、シングルサイトプランが初期費用120,000円(税抜)・月額12,000円〜(税抜)、上限帯で月額528,000円(税抜)です。マルチサイトプランは初期費用120,000円・月額48,000円〜で上限帯が2,112,000円、REST APIプランは初期費用360,000円・月額120,000円〜です。データ提供プランは初期費用・月額とも要相談となります。
Google Analytics連携に対応し、APIキーの発行から14日間の無料お試し期間が設けられています。業種や従業員数でターゲットを絞り込みたい場合に向くサービスです。
トラッキングスクリプトを設置してサイト訪問企業を特定し、関心度やフィット度を可視化する海外のIP解析ツールです。掲載5サービスの中で唯一、無料プランを提供しています。
無料のLiteプランは€0で直近100社/月・履歴7日までという制限がありますが、ユーザー数は無制限です。有料プランはDiscoverが年払いで実質月€79(月契約は月€113)でクレジット50/月、Activateが年払いで実質月€369(月契約は月€527)でクレジット200/月、Scaleが月€599(年契約のみ)でクレジット1,000/月という構成で、無制限帯にあたるEnterpriseはカスタム料金です。
年払いと月契約で金額が大きく変わる点は押さえておく必要があります。Discoverでは年払い実質月€79に対し月契約は月€113です。
AIによるリード優先度付けとICPマッチングに対応し、特定した訪問企業のうち自社の理想的な顧客像に近いアカウントを見分けられます。有料機能は14日間の無料トライアルで試せ、クレジットカードの登録は不要です。料金はEUR建てのため、日本円での支払額は為替相場の影響を受けます。
タグを設置することで、訪問ユーザーの行動に連動して自動的に話しかけるチャットボット・Web接客ツールです。掲載5サービスの中で、公開されている月額の下限がもっとも低くなっています。
料金は2プラン制で、コスト重視プランが月額10,000円〜、成果重視プランが月額50,000円〜です。いずれも初期費用は無料と明記されています。
行動連動の自動話しかけやシナリオ設定に加え、有人対応とのハイブリッド運用に対応します。チャットボットで一次対応をしつつ、込み入った質問だけ担当者が引き継ぐ運用が組めます。チャット上でのやり取りをそのまま問い合わせや資料請求につなげられるため、フォームへの遷移を挟みません。
無料トライアルは14日間で、期間中の費用は発生しません。初期費用無料と合わせ、掲載5サービスの中では導入時の負担がもっとも軽い設計です。
フォームを開いたが送信せずに離脱したユーザーに対し、メールやSMSで再アプローチするサービスです。掲載5サービスの中で唯一、この工程に特化しています。
料金体系は完全成果報酬型で、ツール経由のコンバージョンが発生しなければ請求は生じません。固定費と成果報酬単価はいずれも非公開で、要問い合わせとなります。
再アプローチに使うクリエイティブの作成やA/Bテストによる改善も提供範囲に含まれるため、社内で制作リソースを用意する必要がありません。多商材・多業界での利用を想定したクラウド型のサービスです。
成果報酬型のため無料トライアルの記載はありません。コンバージョンが発生したときにのみ費用が生じる構造上、導入時の持ち出しは抑えられますが、単価が事前に分からないため条件の確認が前提になります。
ポップアップやバナーによる訴求でコンバージョンを獲得し、離脱を防ぐWeb接客ツールです。完全運用代行型を掲げており、施策の企画から実行までを任せられます。
料金はサイト規模別の3プラン制で各プランの金額は非公開ですが、公式に「最大でも月額10万円以内のツール基本料金」という上限が示されています。契約条件として契約期間6ヵ月、月間PV上限100万PVが設定されており、上限を超えた分は従量課金です。
機能面ではポップアップ・バナーによるコンバージョン獲得と離脱防止に加え、アンケート機能、セグメント配信、ヒートマップ分析を備えます。訪問者の属性ごとに訴求を出し分けられる構成です。
公式サイトから無料トライアルを申し込めますが、日数の明記はありません。社内に専任の担当を置きにくく、運用まで含めて任せたい場合の選択肢になります。
よくある質問
リード獲得ツールの費用相場はいくらですか。
掲載5サービスは課金の基準が揃わないため、1ユーザーあたりの単価としての相場は成立しません。月額の下限を公開しているのはsincloの10,000円〜(税抜、初期費用無料)と、どこどこJPのJavaScriptシングルサイトプラン12,000円〜(税抜、初期費用120,000円)です。LeadfeederのDiscoverは年払いで実質月€79、月契約で月€113です。GENIEE ENGAGEとKaiUは要問い合わせとなっています。
無料で使えるサービスはありますか。
掲載5サービス中、無料プランがあるのはLeadfeederです。無料のLiteプランは直近100社/月・履歴7日までという制限がありますが、ユーザー数は無制限です。無料トライアルは4サービスが提供しており、どこどこJP・Leadfeeder・sincloが14日間、KaiUは公式サイトに申込があるものの日数の明記はありません。
初期費用はかかりますか。
どこどこJPはJavaScriptプランで初期費用120,000円(税抜)、REST APIプランで360,000円(税抜)が必要です。sincloは初期費用無料と明記しています。Leadfeederは初期費用の記載がありません。GENIEE ENGAGEとKaiUは初期費用も要問い合わせです。
年払いにすると安くなりますか。
Leadfeederは年払いと月契約で金額が変わります。Discoverは年払いで実質月€79、月契約では月€113、Activateは年払いで実質月€369、月契約では月€527です。Scaleの月€599は年契約のみの提供です。他の掲載サービスは年払い割引の記載がありません。
IP解析でどこまで分かりますか。
どこどこJPはIPアドレスから企業名のほか、業種・住所・従業員数などの企業情報を取得でき、Google Analyticsとの連携やREST APIによるシステム連携にも対応します。Leadfeederはサイト訪問企業の特定に加え、アカウントの関心度やフィット度の可視化、AIによるリード優先度付けとICPマッチングを提供します。いずれも特定できるのは企業単位であり、個人の氏名が分かるものではありません。
成果報酬型はどのような仕組みですか。
掲載5サービスで完全成果報酬型を採用しているのはGENIEE ENGAGEです。フォームを離脱したユーザーへのメール・SMSでの再アプローチによってコンバージョンが発生した場合にのみ費用が発生し、発生しなければ請求はありません。クリエイティブの作成やA/Bテストによる改善も提供されます。ただし固定費と成果報酬単価はいずれも公開されていないため、条件は問い合わせて確認する必要があります。