結論:AI Overviewの流入減少は、順位とクリック率を分けて調べる
流入が減ったら、まずSearch Consoleで検索語とページを絞りましょう。[Ahrefsの2026年6月データ][ahrefs]では、日本の情報収集型検索で、AI Overview表示時の検索1位のクリック率が、非表示の場合の予測値より62.7%低下しました。
[Pewの2025年7月22日公表調査][pew]でも、通常の検索結果をクリックした割合はAI要約ありで8%、なしで15%。順位が同じでも、要約がリンクを押し下げて検索画面内で疑問を解決するため、クリックは減り得ます。
現場では、Web担当者が月次報告で順位は好調なのに問い合わせが減る理由を問われています。説明できない状態を放置すると、施策への信頼や予算を失いかねません。
報告の軸は「AIO表示あり/なしのCTR差」「生成AIレポートの表示回数」「ChatGPT等でのAI言及の有無」の3つで足ります。ただし、これだけで因果関係が確定するわけではありません。
単発の手動確認は続きにくいため、質問を固定し、月次で記録を残してください。海外ツールを導入しなくても、無料レポートと定点確認から始められます。
順位が同じでも流入が減る3つの経路
AI Overviewは、Google検索の結果画面に出るAIによる概要です。以下ではAIOと呼び、CTRは検索結果が表示されたうち、クリックされた割合を指します。
流入を失う経路は、大きく分けると次の3つ。検索順位の維持だけでは、いずれも見落とします。
- リンクの押し下げでは、概要が画面上部を占め、通常検索の上位リンクが目に入りにくくなる。
- ゼロクリックでは、要約で疑問が解決し、サイトを開く必要がなくなる。
- 会話型検索への移行では、AIモードやChatGPTで比較や追加質問を続け、通常検索から離れる。
最後の経路は、AIOそのものによるクリック減とは分けて考えます。検索行動の移行量を、自社のCTRだけから特定することはできません。

影響の受けやすさは、ページの長さよりも検索目的で考えましょう。以下は優先確認のための分類で、減少を断定するものではありません。
| ページの種類 | 影響の受けやすさ | 理由・確認する点 |
|---|---|---|
| 用語解説、一般的な手順 | 受けやすい | 要約だけで疑問が解決しやすい |
| 一般情報を集めた比較記事 | 受けやすい | 比較の要点が回答内にまとまりやすい |
| 独自調査、詳細な導入事例 | 相対的に受けにくい | 根拠や具体的な条件を読みに来る理由がある |
| 料金、製品仕様、申込ページ | 相対的に受けにくい | 最新条件の確認や手続きに訪問が必要 |
AhrefsとPewでは、対象地域も指標も異なります。調査値を業界平均として扱い、自社の減少率とそのまま比較するのは避けてください。
AI Overview起因かをSearch ConsoleとGA4で切り分ける
減少した入口と検索語を特定する
GA4の「レポート」から「エンゲージメント」内の「ランディングページ」を開きます。表示されない場合は、レポートの検索やカスタマイズで探してください。
期間を前年同期と比較し、セッションのチャネルを「Organic Search」に絞ります。セッションと問い合わせ等のキーイベントを見て、減少が集中する入口ページを抽出しましょう。
次にSearch Consoleの「検索パフォーマンス」で「検索結果」を開きます。「日付」で前年同期との比較を選び、「ページ」に対象URLを指定してください。
「クエリ」タブで、クリック数・表示回数・平均CTR・平均掲載順位を確認します。国とデバイスもそろえ、「順位維持×CTR低下」の検索語を探す流れです。
生成AIレポートと検索画面を照合する
2026年8月31日、Googleは生成AIパフォーマンスレポートの全世界への展開完了を案内しました。AIOとAIモード内で、自社リンクが表示された回数を確認できます。
[Google公式ヘルプ][gsc]
対象サイトの生成AIレポートを開き、期間を合わせて「ページ」タブで対象URLを確認してください。必要に応じて国・デバイスをそろえ、表示回数の推移を出力します。
ただし、このレポートは検索語別のAIO専用CTRを示すものではありません。表示回数が十分でないサイトでは、レポート自体が出ない場合もあります。
引用の確認には、対象の検索語で実際に検索し、AIO内の参照リンクを開きます。「概要なし」「概要あり・自社引用なし」「自社引用あり」を分けて記録しましょう。

AI以外の原因を確認する
表示回数が減っていれば、需要の季節変動も確認対象です。順位が下がっていれば、検索アルゴリズムの更新や競合ページの変化を調べます。
順位維持とCTR低下が重なっても、広告や動画枠の増加が原因かもしれません。AIOが出ない類似検索語とも比較し、検索画面の変化を記録してください。
GA4では「トラフィック獲得」の「セッションの参照元/メディア」も確認します。ChatGPT等の流入は、参照元を識別できる範囲で集計し、全件を捕捉できる数字とは扱いません。
ChatGPTで自社が出るかは、質問と条件を固定して測る
支援会社や担当者の発信では、先週出ていた自社や競合が翌週には消えるという指摘が見られます。会話履歴やモデルも変わるため、スクリーンショットだけでは比較条件が残りません。
確認する質問は、指名語・課題語・比較語から10〜20個を選びます。実際に流入や商談につながった検索語、営業で繰り返し聞かれる質問を優先してください。
たとえば、社名の確認だけでなく、顧客の課題に対する選択肢を尋ねる質問も必要です。自社名を入れた質問だけでは、顧客が比較する場面の露出を測れません。
ChatGPT・Gemini・Perplexityに同じ質問を投げ、新しい会話で確認します。可能な範囲で履歴や個人設定の影響をそろえ、使用モデルと検索機能の利用状態も残しましょう。
記録は次の形式に統一すると、報告時の整理の手間が減ります。
| 記録項目 | 残す内容 |
|---|---|
| 観測条件 | 日時、AI名、モデル、質問文、検索機能の状態 |
| 自社の扱い | 社名への言及、紹介順、説明内容 |
| 引用 | 自社URLの有無、引用URL、引用順 |
| 競合 | 紹介された企業、参照されたページ |
| 変更履歴 | 自社ページの改修日、変更内容 |
社名が出る「言及」と、URLが付く「引用」は別々に記録します。紹介順も通常検索の順位とは性質が異なるため、単発の結果から優劣を決めないでください。
主要な質問は週1回、全件は月1回を運用の目安にします。観測回数を添えて出現割合と推移を見返し、未確認を「言及なし」に含めないようにしてください。
上司・クライアントへの報告は3つの指標でまとめる
報告では、観測した事実と原因の推測を分けます。AI検索での露出が増えても、問い合わせ増まで確認できたとは限りません。
次の表に対象期間、対象ページ、次月の施策を添えれば、説明の骨格になります。
| 指標 | 示す内容 | 読み違いを防ぐ補足 |
|---|---|---|
| AIO表示あり/なしのCTR差 | 観測で分類した検索語群のCTRと前月差 | 順位・検索意図・端末が近い群で比べる |
| 生成AIレポートの表示回数 | 対象ページのAI検索内での露出推移 | AIOとAIモードを含む数字 |
| AI言及の有無 | 固定質問で自社・競合が出た状況 | AI別に観測日と確認回数を併記 |
AIOの有無は検索時点で変わるため、分類には観測日を付けます。検索語群のCTRは、合計クリック数を合計表示回数で割って算出しましょう。
報告文は、次のように事実、未確定事項、行動をつなげます。
対象ページは順位を維持し、CTRが低下しました。AIOの表示と競合の引用を確認していますが、影響の大きさは未確定です。
次月は問い合わせに近いページを優先し、独自事例を追加します。改修日を記録し、引用状況と問い合わせの推移を追います。
流入減の説明に加え、どの顧客接点を取り戻すかまで示してください。
引用される側へ回り、問い合わせに近いページから改善する
流入減を受けた改善では、AIに引用される情報源を目指します。同時に、訪問した読者が相談や比較へ進めるページを整えましょう。
施策は、FAQ化・構造化データ・一次情報の3つに整理できます。構造化データとは、記事や運営組織の意味を検索エンジンに伝える記述です。
FAQ化では、顧客の質問に対する答えを見出し直下に置きます。構造化データはArticle・Organizationなど、ページの実態に合うものを整備してください。
FAQ用の記述を追加するだけで、引用を獲得できるわけではありません。画面にない内容を記述せず、読者が読める本文との一致を優先します。
一次情報には、自社で得た調査結果や導入事例、判断条件を使います。どの企業にも当てはまる説明に、現場で確認した具体性を加える方針です。
| 優先する対象 | 先に行う施策 | 判断の理由 |
|---|---|---|
| 問い合わせ実績があり、CTRが低下したページ | 結論とFAQ、相談への導線を改善 | 事業への影響を確認しやすい |
| 競合が引用され、自社に説明が不足するテーマ | 独自事例や比較条件を追加 | 情報の不足箇所を特定できる |
| 重要ページの記述に不整合がある場合 | 構造化データを修正 | 内容を正しく伝える土台になる |
| 流入は多いが商談との接点が薄い記事 | 大幅改修の前に役割を再検討 | 少人数の作業を集中できる |
引用獲得に加え、料金・導入条件・事例ページへの導線も確認します。クリック数だけで成果を判断せず、指名検索や問い合わせの推移まで追ってください。
計測を続ける仕組みと月次チェックリスト
単一サイトで質問が20個以内なら、無料レポートと手動確認から始める選択肢があります。汎用の表計算ツールで記録欄を固定すれば、月次報告にも転用できます。
複数顧客と複数AIを追う場合は、確認条件の管理と転記が負担になりがちです。専用ツールは、担当者の確認漏れや報告作成が増えた段階で検討しましょう。

手作業は小さく始めやすく、汎用ツールは整理と共有に向きます。専用ツールでは、対応AI、履歴保存、出力機能、質問数の上限を選定基準にしてください。
現場には、ドル建て料金や長期契約では稟議が通りにくいという声もあります。月額だけでなく、追加料金、解約条件、顧客に渡せる形式まで確認すると判断しやすくなります。
月次では、次の項目を同じ記録にまとめましょう。
- [ ] 減少した入口ページと問い合わせの変化を確認した
- [ ] 検索語別の表示回数・順位・CTRを比較した
- [ ] AIOの表示と自社引用の有無を分けて記録した
- [ ] 生成AIレポートと各AIの言及履歴を保存した
- [ ] 季節変動や検索画面の変化も確認した
- [ ] 改修日、観測結果、次月の施策を報告に添えた
提供開始前の選択肢として、スクエアスタジオの「AI順位ウォッチ」は、ベータ版の申し込みを受け付け中です。料金は月額2,000円(税込)からで、初期費用はありません。
ベータ版の提供内容は、AIO・ChatGPT・Gemini・Perplexityの日次確認です。言及の有無、引用順、競合との比較、変動時のメール通知を含みます。
改善施策の代行は含まず、計測と記録を継続したい企業向けのサービスです。AI順位ウォッチの料金・申込条件を確認するから、自社の質問数に合うプランを確認できます。
[ahrefs]: https://ahrefs.com/ja/blog/ai-overviews-reduce-clicks-june-2026/ [pew]: https://www.pewresearch.org/short-reads/2025/07/22/google-users-are-less-likely-to-click-on-links-when-an-ai-summary-appears-in-the-results/ [gsc]: https://support.google.com/webmasters/answer/16984139?hl=en