結論:全社が初期・月額0円。比べるのは手数料の「計算方式」
チケット販売システムは、掲載5サービスすべてが初期費用も月額費用もかかりません。販売した分の手数料だけで使えます。
そのため比べるべきは手数料の計算方式です。3通りに分かれます。
- 定率のみ:LivePocket-Ticket 5%/teket 8%(自由席・配信)・10%(指定席)/EventRegist 8%
- 定率+1枚あたり固定額:Peatix 4.9%+99円/枚
- 1枚あたり固定額(単価連動):ZAIKO
| 導入目的 | おすすめのタイプ | 主なサービス |
|---|---|---|
| 手数料を最も低く抑えたい | 定率5%で掲載5社中最安。負担者を主催者と購入者から選べる | LivePocket-Ticket(ライヴポケット) |
| 単価の高いチケットを売る | 率は4.9%で最低。1枚99円の固定分は単価が上がるほど効かなくなる | Peatix(ピーティックス) |
| 無料公演も開催する | 無料公演は手数料0円・発券手数料も0円。自由席8%/指定席10% | teket(テケト) |
| 購入者への転嫁を調整したい | 手数料の負担を3通りから選べる。有料配信とサブスクにも対応 | ZAIKO(ザイコ) |
| 大規模なBtoBイベントを運営する | 掲載5社で唯一の月額プラン。手数料は全プラン共通8% | EventRegist(イベントレジスト) |
チケットの単価によって、どの方式が有利かが入れ替わります。
チケット販売システムとは
イベントのチケットをWeb上で販売し、入場管理までを行うサービスです。紙のチケットを印刷して郵送する代わりに、電子チケットを発行してスマートフォンで表示させ、当日はQRコードで入場を確認します。
主な機能は、チケットの販売ページ作成、決済、電子チケットの発行、当日のもぎり・入場管理、参加者データの管理です。ライブ配信のチケットに対応するものもあります。
費用の考え方が他のSaaSと異なります。月額の利用料ではなく、売れたチケットの金額に対する手数料で収益を得る構造のため、イベントを開催しなければ費用は発生しません。
選び方
1. 手数料の計算方式が3通りある
定率のみ
- LivePocket-Ticket:チケット料金の 5%
- teket:自由席・ライブ配信 8%/指定席 10%
- EventRegist:全プラン共通 8%
定率+1枚あたり固定額
- Peatix:決済処理費用 4.9% + 99円/枚
1枚あたり固定額(単価連動)
- ZAIKO:チケット単価に連動する固定手数料
定率だけなら単価が変わっても率は一定です。1枚あたりの固定額がある方式では、単価によって実質的な負担が変わります。
2. 低単価のチケットほど1枚あたりの固定額が効く
これが最も実務に影響します。Peatixの「4.9%+99円/枚」を単価別に見ると次のようになります。
- 1,000円のチケット:49円 + 99円 = 148円(実質14.8%相当)
- 10,000円のチケット:490円 + 99円 = 589円(実質5.9%程度)
率だけを見ると4.9%で掲載5サービス中最も低いのですが、低単価では実質的な負担が大きく上がります。
一方teketは発券手数料が0円のため、単価が低くても率どおりの負担で済みます。LivePocket-Ticketも定率5%のみです。
低単価のチケットを大量に販売するのか、高単価のチケットを少数販売するのか。ここで有利な方式が入れ替わります。
3. 手数料を誰が負担するかを選べるか
ZAIKOは3通りから選べます。1,000円のチケットの場合、次のようになります。
- No fees:主催者の負担 0円/購入者が約209円を負担
- Split fees:主催者 29円/購入者 約165円
- Cover fees:主催者 147円/購入者の追加負担なし
LivePocket-Ticketも主催者と購入者のどちらが負担するかを選択できます。
購入者に転嫁すれば主催者の手取りは増えますが、表示価格が上がるため販売への影響を考える必要があります。手取りを優先するか、購入者の支払額を抑えるかという判断です。
4. 振込手数料と決済手数料も見る
手数料率だけでなく、売上を受け取るときの費用も各社で違います。
- Peatix:210円/回(イベントページ単位)
- teket:220円/回
- LivePocket-Ticket:500円(税抜)/回+コンビニ決済200〜400円(税抜)・あと払い200円(税抜)
- ZAIKO:入金はイベント終了の翌月末までに処理
LivePocket-Ticketは手数料率が最も低い一方で、振込手数料は高めです。販売回数が多いほどこの差が積み上がるため、年に何回イベントを開催するかも判断材料になります。
5. 無料イベントの扱い
無料のイベントを開催する場合、手数料の扱いが分かれます。
- teket:無料公演は販売手数料 0円
- Peatix:無料イベントと当日会場払いは手数料 0円
- ZAIKO:無料チケットも主催者負担でオフライン50円/枚・オンライン150円/枚
無料イベントを多く開催する場合、ZAIKOでは枚数分の費用が発生します。
6. 月額を払う構成が必要か
月額の選択肢を持つのはEventRegistだけです。
- Basic:月額無料/販売手数料8%
- Basic+:月額基本料 10万円/販売手数料8%(Basicと同じ)
- Premium:機能とサポートによる変動制
- Enterprise:個社見積り
手数料が全プランで変わらないため、月額を払う理由は機能とサポートの範囲にあります。同サービスはBtoBのカンファレンスや展示会、大規模セミナーを想定しており、参加者データの管理や受付・QR入場の運営体制が必要な場合の選択肢になります。
無料のBasicから始められるため、まず手数料のみで運用して必要に応じて移る、という進め方が取れます。
7. ライブ配信と座席指定への対応
ライブ配信は掲載5サービスの多くが対応しますが、条件が異なります。
- teket:ライブ配信も自由席と同じ8%
- Peatix:Peatix Liveは 6.0%+150円/枚(JASRAC・NexToneの著作権処理を要する場合は 9.0%+150円/枚)
- LivePocket-Ticket・ZAIKO:ライブ配信に対応
座席指定については、teketが自由席8%に対し指定席10%と率が変わります。席種で率が変わる構成は掲載5サービスの中で同サービスの特徴です。
タイプ別に見る
定率5%のみで1枚あたりの固定額がない。負担者を主催者と購入者から選べる
グループページ・告知ページ・事前アンケート・参加者管理まで対応。定額課金プランは会費の10%
指定席に対応し無料公演は手数料0円。審査不要で即時開設できる
有料ライブ配信とD2Fのサブスクに対応。手数料の負担割合を3段階で調整できる
受付・QR入場管理と参加者データ管理。無料のBasicから始めて上位プランへ移れる
本ページ独自のまとめ
掲載5サービスを調べたうえで、選定時に押さえておきたい点を挙げます。
料金公開率は掲載5サービス中5サービス(100%)です。手数料型のサービスは金額の構造が単純なため、公開しやすい分野といえます。読者にとっては比較しやすい領域です。
「率が低い=安い」とは限りません。Peatixの4.9%は掲載5サービスの中で最も低い率ですが、1枚99円が加わるため1,000円のチケットでは実質14.8%相当になります。手数料を比べるときは、自社のチケット単価を当てはめて計算する必要があります。
手数料率と振込手数料は逆の傾向があります。LivePocket-Ticketは率が5%と最も低い一方、振込手数料は500円(税抜)と高めです。Peatixは210円、teketは220円です。イベントの開催回数が多いほど、この差が効いてきます。
手数料の負担者を選べることの意味は小さくありません。ZAIKOのNo feesを選べば主催者の負担は0円ですが、1,000円のチケットで購入者が約209円を負担します。表示される総額が1,209円になるということです。手取りと販売のどちらを優先するかは、イベントの性質によって変わります。
@card 掲載5サービスの料金公開状況|料金を公開:5サービス(100%)/初期費用・月額費用:全5サービスが0円(EventRegistは月額プランも選択可)/販売手数料の幅:4.9%+99円/枚〜10%/振込手数料:210円〜500円(税抜)/無料イベントが手数料0円:2サービス
各サービスの詳細
LivePocket株式会社が提供する電子チケット販売サービスです。同社は2024年3月にKDDIがエイベックス・グループの事業を承継して設立され、東京都港区虎ノ門に拠点を置きます(KDDIグループ)。音楽ライブやエンタメ、イベントの主催者を主な対象としています。
販売手数料はチケット料金の5%で、定率のみで計算する掲載5社の中では最も低い率です。初期費用・月間維持費・登録料はいずれも0円で、販売した分の手数料だけがかかります。
手数料の負担を主催者と購入者のどちらにするかを選べます。 購入者に負担してもらえば主催者の手取りは増えますが、表示価格が上がるため販売への影響を考える必要があります。
売上の振込には1回あたり500円(税抜)の振込手数料がかかります。これに加えてコンビニ決済が200〜400円(税抜)、あと払いが200円(税抜)です。決済手段を広げるほど、この加算が乗ります。
電子チケットの発券・販売、もぎりとQRによる入場管理、ライブ配信に対応します。1,000円のチケットなら手数料は50円で、Peatixの148円(4.9%+99円)と比べると3分の1です。単価の低いチケットを大量に売る場合ほど、定率の効きが良くなります。
Peatix Japan株式会社が提供するイベント管理・チケット販売サービスです。同社は2011年10月設立(2007年にOrinoco株式会社として日本で創業、2011年5月にサービス開始、2017年7月に現社名へ変更)で、東京都渋谷区渋谷のA-PLACE渋谷金王に拠点を置きます(グローバル本社Peatix Inc.はニューヨーク)。
セミナーや勉強会、コミュニティイベントを中心に、個人主催者から法人まで利用されています。
決済処理費用は4.9%に1枚あたり99円を加える構成です。率だけを見ると掲載5社の中で最も低いのですが、1枚ごとの固定額があるため単価の低いチケットほど実質的な負担が上がります。
1,000円のチケットなら4.9%の49円に99円を加えて148円で、実質14.8%相当です。10,000円なら589円で実質5.9%程度となり、単価が上がるほど固定分の比重は下がります。自社のチケット単価を当てはめてから比べてください。
初期登録料と月額費用は無料です。売上の振込はイベントページ単位で行われ、そのつど210円の振込手数料が主催者負担となります。無料イベントと当日会場払いは手数料0円です。
高品質動画配信のPeatix Liveは6.0%+150円/枚で、JASRACやNexToneの著作権処理を要するイベントは9.0%+150円/枚となります。定額課金プラン(サブスクリプション)は設定した会費の10%です。グループページの作成やイベント告知ページ、事前アンケートフォーム、参加者管理、アクセス解析にも対応します。
株式会社teketが提供する電子チケット販売サービスです。同社は2023年10月設立、資本金1億円の企業で、東京都中央区日本橋人形町に拠点を置きます。クラシックや音楽ライブ、舞台、スポーツ、自治体イベントなどの小規模から中規模の主催者を対象としています。
販売手数料は席種によって変わります。自由席とライブ配信が8%、指定席が10%です。座席の指定が必要かどうかで率が変わる構成は、掲載5社の中で本サービスの特徴となります。座席指定は運用が複雑になるぶん、その差が料率に表れています。
基本使用料は0円で、発券手数料もかかりません。 無料公演については販売手数料が0円で、無料のチケットには手数料が発生しません。ZAIKOが無料チケットにもオフライン50円/枚・オンライン150円/枚を課すのとは対照的です。売上の振込には1回あたり220円の振込手数料がかかります。
審査が不要で即時に開設できるとしており、電子チケットの発券、QRによる入場(もぎり)管理、決済、座席指定、ライブ配信チケットに対応します。文化芸術や自治体・行政のイベントでも利用されています。
ZAIKO株式会社が提供する電子チケット販売・配信サービスです。同社は2019年1月11日設立、資本金7億9,700万円(2023年4月1日現在)の企業で、東京都港区赤坂のイースタン青山に拠点を置きます。音楽やライブ配信の主催者、アーティスト、クリエイターを主な対象としています。
手数料は定率ではなく、1枚あたりの固定手数料がチケット単価に連動する方式です。そのうえで、手数料を誰が負担するかを3通りから選べます。
1,000円のチケットの場合、主催者の負担が0円で購入者が約209円を負担するNo fees、主催者29円・購入者約165円のSplit fees、主催者147円で購入者の追加負担がないCover feesです。
主催者の手取りを最大化したいならNo fees、購入者の支払額を抑えたいならCover feesというように、販売への影響と手取りのどちらを優先するかで選べます。 掲載5社の中で3段階の選択肢を用意しているのは本サービスです。
無料チケットについては主催者負担でオフライン50円/枚・オンライン150円/枚がかかります。 無料イベントが手数料0円のPeatixやteketとは前提が異なります。
入金はイベント終了の翌月末までに処理されます。電子チケットの発券・販売、QR入場管理、決済に加えて、有料ライブ配信・動画配信、サブスクリプション(D2F・アップセル)に対応します。
EventRegist株式会社(イベントレジスト株式会社)が提供するイベント管理・チケット販売サービスです。同社は2011年3月設立、資本金1億5,670万円の企業で、東京都渋谷区千駄ヶ谷の千駄ヶ谷ファーストに拠点を置きます(日本経済新聞社グループ)。
BtoBのカンファレンスや展示会、大規模セミナーといった法人向けのイベントを主な対象としています。
販売手数料は全プラン共通で8%です。プランはBasicが月額無料、Basic+が月額基本料10万円、Premiumが機能とサポート内容による変動制、Enterpriseが個社見積りとなります。
手数料が全プランで同じであるため、月額を払う理由は機能とサポートの範囲にあります。 掲載5社の中で月額の選択肢を持つのは本サービスだけで、参加者データの管理や受付・QR入場の運営体制が必要な場合の選択肢になります。
無料のBasicから利用を開始できるため、まず手数料のみで始めて、必要に応じて上位プランへ移るという進め方が取れます。手数料は変わらないので、上げても下げても販売条件に影響しません。
電子チケットの発券・販売、受付とQR入場管理、決済、参加者データ管理に対応します。
よくある質問
初期費用や月額費用はかかりますか。
掲載5サービスはいずれも初期費用と月額費用が0円で、販売手数料のみで利用できます。ただしEventRegistには月額基本料10万円のBasic+プランがあり、機能とサポートの範囲によって選べます(販売手数料は無料のBasicと同じ8%です)。
手数料が最も低いのはどのサービスですか。
率だけで見ると、Peatixの決済処理費用4.9%が最も低くなります。ただし1枚あたり99円が加わるため、単価の低いチケットでは実質的な負担が上がります。定率のみで比べるとLivePocket-Ticketの5%が最も低く、teketは自由席とライブ配信が8%・指定席が10%、EventRegistは8%です。
無料のイベントでも手数料はかかりますか。
teketは無料公演の販売手数料が0円です。Peatixも無料イベントと当日会場払いは手数料0円としています。ZAIKOは無料チケットについて主催者負担でオフライン50円/枚・オンライン150円/枚がかかります。
手数料を購入者に負担してもらうことはできますか。
ZAIKOは手数料の負担を3通りから選べます。主催者の負担が0円で購入者が全額を負担するNo fees、両者で分担するSplit fees、主催者が全額を負担して購入者に追加負担がないCover feesです。LivePocket-Ticketも主催者と購入者のどちらが負担するかを選択できます。
ライブ配信のチケットも販売できますか。
teketはライブ配信チケットに対応し、手数料は自由席と同じ8%です。PeatixはPeatix Liveとして高品質動画配信に対応し、手数料は6.0%+150円/枚、JASRACやNexToneの著作権処理を要するイベントは9.0%+150円/枚です。LivePocket-TicketとZAIKOもライブ配信に対応します。
座席指定のあるイベントに対応していますか。
teketは指定席に対応しており、手数料は自由席の8%に対して10%となります。座席の指定が必要かどうかで手数料率が変わる構成です。他のサービスについては、座席指定の可否や条件を個別に確認する必要があります。
売上はいつ受け取れますか。
ZAIKOは入金がイベント終了の翌月末までに処理されるとしています。Peatixはイベントページ単位で振込が行われ、そのつど210円の振込手数料が主催者負担となります。teketは1回220円、LivePocket-Ticketは1回500円(税抜)の振込手数料です。EventRegistについては公式に明記がないため、問い合わせでの確認となります。