結論:料金が出ないうえに、数えているものが揃っていない
代理店管理システム(PRM)を比べようとすると、二重の壁に当たります。掲載5サービスのうち公式サイトで金額を確認できるのは2サービスだけで、しかもその2つも数えている単位が違います。
| 導入目的 | おすすめのタイプ | 主なサービス |
|---|---|---|
| 代理店に資料や教育コンテンツを配りたい | 40名まで月36,000円(税抜)・初期費用なし・30日間の無料トライアル | CommuRing |
| すでにSalesforceを使っている | 参考価格1名月3,000円(税抜)から。ディールレジストレーションとEinsteinのスコアリング | Salesforce PRM(Partner Relationship Management) |
| 手数料やインセンティブの計算を自動化したい | 報酬を双方向で自動集計。プランは代理店の社数で分かれる | CoPASS |
| 代理店同士のバッティングを防ぎたい | 共同CRMで案件をリアルタイム共有し自動でバッティングチェック | PartnerProp |
| 代理店の実績を分析して動機づけたい | AI検索と足あと解析、売上ランキング。ISO/IEC 27001:2022を取得 | PartnerSuccess PRM |
自社の担当者が何人いるかで決まるのか、代理店が何社あるかで決まるのか。まずここを確認してください。
代理店管理システム(PRM)とは
自社の商品を販売してくれる代理店やパートナー企業との関係を管理するための仕組みです。PRM(Partner Relationship Management)とも呼ばれます。
代理店を使った販売では、社外の相手に情報を渡し、動いてもらい、成果に応じて報酬を支払うという流れが発生します。ここで生じる課題は、契約や担当者の管理、販促資料の配布、案件の進捗共有、代理店同士の案件重複の防止、手数料の計算、代理店の育成と多岐にわたります。
どこまでをシステムで扱うかは製品によって差があります。案件管理や報酬計算まで持つものもあれば、情報共有と資料配布に絞ったものもあります。自社が困っている工程がどこかを決めてから選ぶ必要があります。
選び方
1. 数えているのが「自社の人数」か「代理店の社数」か
課金の基準が揃っていないため、そのままでは比較になりません。
自社の人数で数えるタイプ
- CommuRing:40名まで月額36,000円(Business)または60,000円(Enterprise)/いずれも税抜/40名超はユーザー追加課金
- Salesforce PRM:参考価格として1名あたり月額3,000円(税抜・年間契約)から
代理店の社数で数えるタイプ
- CoPASS:トライアル(10社まで)/スターター(50社まで)/ベーシック・プロフェッショナル(無制限)
代理店の数は多いが管理する担当者は少ないという体制と、その逆の体制では、有利なタイプが入れ替わります。
2. 料金が公開されているのは2サービスのみ
公式サイトで金額を確認できるのはCommuRingとSalesforce PRMだけです。
CoPASSは開示の仕方が特徴的で、初期費用だけが公開されています。トライアルが10万円、スターターが15万円、ベーシックが30万円、プロフェッショナルが50万円です。一方で月額は非公開のため、導入時の費用は分かってもランニングが読めません。
PartnerPropとPartnerSuccess PRMは、プラン構成を含めて金額の記載がありません。
複数社を比べる場合、少なくとも3サービスは問い合わせが前提になります。
3. Salesforce PRMは表示価格だけでは総額が出ない
「1名あたり月額3,000円(税抜)から」という金額は参考価格です。これとは別にSalesforceのライセンスが必要で、さらにパートナーポータルの構築費が別途発生する場合があるとされています。
すでにSalesforceを使っている組織であれば追加分だけで済みますが、これから導入する場合は基盤の費用から考える必要があります。掲載5サービスの中で最も表示価格と実額が離れる可能性が高いのは同サービスです。
4. 「トライアル」という名前でも無料とは限らない
注意が必要なのがCoPASSの「トライアル」プランです。これは初期費用10万円・代理店10社までのプランで、無料かどうかや期間について料金ページ上に明記がありません。プラン名から無料のお試しを想像すると、実際とずれます。
無料トライアルの日数を公開しているのはCommuRingの30日間のみです。Salesforce PRMもSalesforceとしてのトライアル導線はありますが、PRM単体の日数は公式ページ上に記載がありません。
掲載5サービスに無料プランはありません。
5. 何を管理したいのかで機能の差が出る
代理店管理といっても、困っている工程は会社によって違います。
- こんな会社はおすすめ
- 代理店同士で同じ見込み客に当たってしまうPartnerPropの共同CRMと自動バッティングチェック
- 手数料やインセンティブの計算に手間がかかるCoPASSの双方向自動集計
- 代理店の売上や稼働が見えないPartnerSuccess PRMの売上ランキング分析と営業担当の足あと解析
- 代理店に案件を登録させたいSalesforce PRMのディールレジストレーション
- 資料や教育コンテンツを配りたいCommuRingの一斉配信
CommuRingは案件管理や報酬計算を持ちません。社外コミュニケーションと資料配信を担うサービスであり、他の4サービスとは守備範囲が異なります。料金が公開されている数少ないサービスですが、求める機能が案件管理であれば対象外になります。
6. 育成の機能を求めるかどうか
代理店に商品を理解してもらう工程まで扱うかどうかも差になります。
PartnerPropはeラーニングとWebテスト、閲覧ログによって代理店の理解度を把握できます。誰がどこまで資料を見たかが分かるため、動いていない代理店を特定できます。Salesforce PRMもトレーニングとナレッジの配信に対応します。CommuRingは教育コンテンツの一斉配信と管理を担います。
タイプ別に見る
お知らせ・タスク共有・ファイル共有・チャットを一か所に。初期費用なしで月36,000円(税抜)から
Sales Cloud/Experience Cloud上でポータルを構築。AppExchange拡張とAPI連携に対応
手数料・インセンティブを双方向で自動集計。SalesforceやHubSpotとも連携する
eラーニング・Webテスト・閲覧ログで理解度を把握。MDF管理とパートナー稼働の可視化も
ISO/IEC 27001:2022を取得。ブランドカスタマイズ対応のポータルとAI検索を備える
本ページ独自のまとめ
掲載5サービスを調べたうえで、検討時に押さえておきたい点を挙げます。
料金公開率は掲載5サービス中2サービス(40%)です。代理店管理は自社の販売体制によって必要な構成が変わるため、金額を一律に示しにくい面はあります。ただし読者から見ると、概算を並べて絞り込むという進め方が取れないことになります。
CoPASSの開示の仕方は他に例が少ないものです。初期費用(10万〜50万円)を公開しながら月額を伏せています。導入時にいくら必要かは分かるものの、年間の総額は問い合わせないと出ません。初期費用が代理店の社数で分かれているため、自社の規模がどのプランに当たるかは事前に把握できます。
「トライアル」の意味が製品によって違います。CommuRingの30日間は無料トライアルですが、CoPASSの「トライアル」は初期費用10万円のプラン名です。同じ言葉でも指しているものが違うため、無料で試せるかどうかは個別に確認する必要があります。
料金が公開されている2サービスは、守備範囲が対照的です。CommuRingは情報共有と資料配信、Salesforce PRMは案件登録とスコアリングを含む本格的なPRMです。金額が見えるという理由だけでこの2つを比べると、必要な機能を持たない方を選んでしまう可能性があります。
@card 掲載5サービスの料金公開状況|料金を公開:2サービス(40%・CommuRing/Salesforce PRM)/初期費用のみ公開:1サービス(CoPASS)/完全非公開:2サービス(PartnerProp/PartnerSuccess PRM)/無料プランあり:0サービス/無料トライアルの日数を公開:1サービス(CommuRing 30日間)
各サービスの詳細
株式会社ユニリタが提供する社外コラボレーションのクラウドサービスです。同社は1982年5月24日設立、資本金13億3,000万円、従業員は連結698名・単体343名(2026年3月31日現在)で、東京都港区港南の品川インターシティに本社を置き、東京証券取引所スタンダード市場に上場しています(証券コード3800)。
料金はBusinessが月額36,000円、Enterpriseが月額60,000円(いずれも税抜)で、どちらも40名までが対象です。違いは初期ストレージの容量で、Businessが500GB、Enterpriseが900GBとなります。初期費用はかからず、月額利用料のみです。40名を超える場合はユーザー追加の課金となります(単価は要問い合わせ)。
掲載5社の中で、案件管理や報酬計算を持たない点は押さえておく必要があります。 本サービスが担うのは、お知らせや依頼の共有、タスク共有、ファイル共有、チャット、そして代理店向けの教育コンテンツやセールスマテリアルの一斉配信と管理です。
代理店に「情報を届ける」ことが課題なら足りますが、「案件と報酬を管理する」ことが課題なら別の候補になります。 何を解決したいかで、そもそも土俵が違います。
30日間の無料トライアルが提供されており、掲載5社の中で日数を公開しているのは本サービスです。ファイル共有・ストレージの追加やファイル一括操作は有償オプションとなります。
株式会社セールスフォース・ジャパンが提供するパートナーリレーションシップ管理です。日本法人は2000年設立、東京都千代田区丸の内のJPタワーに本社を置きます。米国本社のSalesforce, Inc.はニューヨーク証券取引所に上場しています(NYSE:CRM)。
Sales CloudやExperience Cloudといった同社の基盤の上で、パートナーポータルを構築して代理店との連携を管理します。
料金は参考価格として1名あたり月額3,000円(税抜・年間契約)からと示されています。ただしこれとは別にSalesforceのライセンスが必要で、パートナーポータルの構築について詳細な構成と費用は問い合わせでの確認となります。表示されている金額だけでは総額が出ない構成です。すでにSalesforceを使っている組織と、これから導入する組織では、実質の負担がまったく変わります。
機能面では、代理店とのリードや案件の共有、ディールレジストレーション(案件登録)に対応します。どの代理店がどの案件を進めているかを登録することで、重複や取り合いを避ける運用が取れます。
AIのEinsteinによるリードスコアリング、共同マーケティング費用(MDF)の管理、トレーニングやナレッジの配信、レポートとダッシュボードを備えます。AppExchangeによる拡張やREST/SOAPのAPI連携にも対応し、中堅からエンタープライズを主な対象としています。
deex株式会社が提供する代理店管理・育成のクラウドサービスです。同社は2021年3月設立、資本金1億3,599万円(資本準備金含む)の企業で、東京都千代田区内神田のSF内神田ビルに拠点を置きます。
料金の開示の仕方が特徴的です。初期費用のみが公開されており、トライアルが10万円(代理店10社まで)、スターターが15万円(50社まで)、ベーシックが30万円(代理店数無制限)、プロフェッショナルが50万円(無制限)です。一方で月額の金額は非公開(サイト全体の下限として「月額5万円から」の表記のみ)のため、導入時の費用は分かってもランニングコストは問い合わせないと分かりません。
プランの区分が管理できる代理店の社数である点も、他社と異なります。 自社側の担当者数ではなく、扱う代理店の規模で選ぶ形です。ベーシック以上は代理店数が無制限となります。
注意点として、料金プラン表にある「トライアル」は初期費用10万円の有償プランで、無料トライアルとは別物です。公式FAQには「製品デモとは別に、無料でトライアル環境(期間限定)を提供することも可能です」との記載があります。
機能面では、手数料やインセンティブを双方向で自動集計する点が中心です。全パートナーとのチャット、ダッシュボードによる代理店実績の可視化、資料共有、SalesforceやHubSpotとのCRM連携に対応します。代理店活用のコンサルティング(Partner Boost)と開拓支援(Partner Growth)も提供されています。
株式会社パートナープロップが提供するPRM(パートナーリレーションシップ管理)です。同社は2023年5月設立、資本金8.5億円(資本準備金含む)の企業で、東京都千代田区平河町のMIDORI.soに拠点を置きます。「育て・動かし・評価する」というコンセプトを掲げています。
特徴は共同CRMです。自社と代理店の間で案件をリアルタイムに共有し、自動でバッティングチェックを行います。 複数の代理店が同じ見込み客に当たってしまう問題を、システム側で防ぐ仕組みです。代理店の数が増えるほど、この重複は起きやすくなります。
育成の機能も備えており、eラーニングやWebテスト、閲覧ログによって代理店の理解度を把握できます。資料を配って終わりではなく、読まれたか・理解されたかまで見られる点は、代理店経由の売上を伸ばす上で実務的です。
販促資料を共有するポータルやMDF(マーケティング開発費)の管理、パートナーの実績と稼働の可視化にも対応します。
料金はプラン構成を含めて公式サイトに記載がなく、問い合わせでの提示となります。無料トライアルの明記もありませんが、デモは提供されています。導入・活用支援のコンサルティングやPartnerLabの運営も行っています。
パートナーサクセス株式会社が提供する代理店連携管理クラウドです。同社は2019年9月20日設立、資本金3,000万円の企業で、東京都港区虎ノ門の神谷町トラストタワーに拠点を置きます。
代理店のデータベースとパートナーポータルを軸に、管理から売上支援までを扱います。代理店データベースでは契約情報、商品の割当、活動記録を管理します。パートナーポータルはブランドのカスタマイズに対応しており、自社の見た目に合わせて代理店向けの窓口を用意できます。
ナレッジ共有には全文検索とAI検索が用意されており、代理店が必要な資料や情報を探しやすくしています。代理店は自社の社員ではないため、探しても見つからなければそこで止まります。 検索の質がそのまま活用度に効く領域です。
加えて1to1メールの配信、営業担当の足あと解析、売上やランキングの分析、インセンティブによる動機づけといった機能を備えます。誰がどの資料を見ているかを追えるため、動いている代理店とそうでない代理店を見分けられます。
ISO/IEC 27001:2022(ISMS)を取得しており、掲載5社の中で公式サイトに認証取得の記載があるのは本サービスです。代理店と情報を共有する以上、自社の情報が社外へ出ることになるため、この点は判断材料になります。
料金はプラン構成を含めて公式サイトに記載がなく、問い合わせでの提示となります。代理店戦略支援のコンサルティングも提供されています。
よくある質問
料金の目安はどれくらいですか。
公式サイトで金額を確認できるのは2サービスです。CommuRingはBusinessが月額36,000円、Enterpriseが月額60,000円(いずれも税抜・40名まで・初期費用なし)、Salesforce PRMは参考価格として1名あたり月額3,000円(税抜・年間契約)からです。CoPASSは初期費用のみ公開(10万〜50万円)で月額は非公開、PartnerPropとPartnerSuccess PRMは金額の記載がありません。
代理店の数が多い場合はどのタイプが向いていますか。
CoPASSは管理できる代理店の社数でプランが分かれており、ベーシックとプロフェッショナルは代理店数が無制限です。CommuRingは利用する人数(40名まで)で決まるため、代理店の数ではなく自社側の担当者数が基準になります。Salesforce PRMも1名あたりの課金です。
初期費用はかかりますか。
CommuRingは初期費用がなく月額利用料のみです。CoPASSは初期費用が公開されており、トライアルが10万円、スターターが15万円、ベーシックが30万円、プロフェッショナルが50万円です。Salesforce PRMはパートナーポータルの構築費が別途発生する場合があるとされています。PartnerPropとPartnerSuccess PRMは記載がありません。
無料で試すことはできますか。
掲載5サービスに無料プランはありません。無料トライアルの日数を公開しているのはCommuRingの30日間のみです。CoPASSには「トライアル」という名前のプランがありますが初期費用10万円がかかるため、無料で試せるものではありません。Salesforce PRMはSalesforceとしてのトライアル導線がありますが、PRM単体の日数は公式ページ上に記載がありません。
代理店同士で同じ顧客に当たってしまう問題は防げますか。
PartnerPropが共同CRMによる自動バッティングチェックを備えており、案件をリアルタイムに共有することで重複を防ぎます。Salesforce PRMはディールレジストレーション(案件登録)に対応しており、どの代理店がどの案件を進めているかを登録する仕組みがあります。
セキュリティ認証を取得しているサービスはありますか。
PartnerSuccess PRMがISO/IEC 27001:2022(ISMS)を取得しています。掲載5サービスの中で公式サイトに認証取得の記載があるのは同サービスです。CommuRingは公式ページ上に記載がありませんが、提供元の株式会社ユニリタは東証スタンダード上場企業です。
Salesforceを導入していなくてもSalesforce PRMは使えますか。
別途Salesforceのライセンスが必要とされているため、基盤から導入することになります。参考価格の1名あたり月額3,000円(税抜)はPRM部分の金額であり、これだけで利用できるものではありません。すでにSalesforceを使っているかどうかで、導入時の負担が大きく変わります。