結論:会社を選ぶ前に、手法を決める
調査会社に依頼する市場調査は、どの会社に頼むかより、どの手法で聞くかで費用が決まります。
公開されている参考価格を手法ごとに並べると、次のようになります。
- ネットリサーチ:90,000円〜(クロス・マーケティング)/10問×100サンプル 110,000円(マクロミル)
- デプスインタビュー:240,000円〜(マクロミル)/250,000円〜(クロス・マーケティング)
- グループインタビュー:500,000円〜(マクロミル)/550,000円〜(クロス・マーケティング)
- ホームユーステスト:550,000円〜(クロス・マーケティング)
- 会場調査:800,000円〜(クロス・マーケティング)
- 郵送調査:1,500,000円〜(クロス・マーケティング)
同じ会社に頼んでも、聞き方を変えるだけで10倍以上の差が出ます。
| 導入目的 | おすすめのタイプ | 主なサービス |
|---|---|---|
| 料金の目安を先に知りたい | 料金テーブルを公式公開。ネットリサーチは10問×100サンプル110,000円から | マクロミル(Macromill) |
| 手法ごとの相場を比べたい | 標準メニューの参考価格を手法別に公開。世界85ヶ国以上に対応 | クロス・マーケティング |
| 見積りの内訳を把握したい | 項目ごとの参考例を公開。ホームユーステストは45名で783,541円(税込) | ネオマーケティング |
| 1問だけ全国規模で聞きたい | オムニバス調査に相乗りして1問20万円から。全国200地点・1,200票の訪問留置 | 日本リサーチセンター(NRC) |
| 調査せずにデータが欲しい | SCI・SRI+などのパネルデータを提供。購買履歴の継続データを利用できる | インテージ(INTAGE) |
市場調査サービスとは
調査の設計から実施、集計、報告までを調査会社に依頼するサービスです。自分で設問を作って配信するセルフ型のネットリサーチに対し、こちらは専門家が調査の設計から関わります。
扱う手法は幅広く、大きく定量調査と定性調査に分かれます。定量はネットリサーチ、会場調査(CLT)、ホームユーステスト(HUT)、郵送調査、電話調査、訪問調査など。定性はグループインタビュー、デプスインタビュー、エスノグラフィ観察などです。
手法によって必要な作業量がまったく違います。ネットリサーチは配信して回収するだけですが、会場調査は会場を押さえて対象者を集める必要があり、郵送調査は印刷と発送と回収が発生します。この差がそのまま費用の差になります。
選び方
1. 手法によって費用の桁が変わる
これが最初に理解すべき点です。冒頭の一覧のとおり、ネットリサーチの9万円台から郵送調査の150万円台まで、同じ「調査を依頼する」でも16倍以上の開きがあります。
理由は作業量です。ネットリサーチはパネルへ配信して回収するだけですが、会場調査(800,000円〜)は会場の確保と対象者のリクルーティングが必要で、郵送調査(1,500,000円〜)は調査票の印刷・発送・回収・入力が発生します。
予算から手法を決めるのか、知りたいことから手法を決めるのか。最初の相談でどちらを軸にするかを決めておくと、話が早く進みます。
2. サンプル数と設問数で料金テーブルが動く
マクロミルはインターネットリサーチの料金テーブルを公開しています。
- 10問 × 100サンプル:110,000円
- 10問 × 500サンプル:250,000円
- 30問 × 1,000サンプル:730,000円
サンプル数を5倍にすると金額は約2.3倍、設問数も含めて規模を大きくすると約6.6倍という動き方です。比例して増えるわけではありません。
ネオマーケティングも本調査費用・スクリーニング調査費用・画面作成費が回答サンプルサイズと設問数で変動するとしています。規模を変えたときの金額は、個別に確認する必要があります。
3. 1問だけ聞きたいならオムニバス調査
自社専用の調査を1本立てると、最も安いネットリサーチでも9万円台からです。訪問調査となればさらに上がります。
日本リサーチセンターのNRCオムニバス調査(NOS)は、複数の依頼者が1つの調査に相乗りする形式です。
- 1〜5問:1問あたり20万円
- 6〜10問:1問あたり16万円
- 11問以上:1問あたり13万円
- 自由回答:1問あたり22万円
全国200地点・15〜79歳・1,200票を個別訪問留置で回収する調査で、春・秋・冬に定期実施されます。
訪問調査の結果を1問から得られる点が特徴ですが、実施時期は定期実施のタイミングに合わせる必要があります。
4. オンラインで届かない層に聞く必要があるか
ネットリサーチはパネルに登録している人が対象です。そこに含まれない層の声は拾えません。
日本リサーチセンターは全国約1,100名の調査員による個別訪問留置調査の体制を持ち、47都道府県に対応します。掲載5サービスの中で訪問調査の体制を明示しているのは同社です。
マクロミル・インテージ・クロス・マーケティング・ネオマーケティングも会場調査や郵送調査、電話調査を扱います。
高齢層や特定地域を対象とする調査、世論調査のように代表性が求められる調査では、オンライン以外の手法が必要になります。
5. 調査を実施するか、既存のデータを買うか
インテージはSCI・SRI+・i-SSP・SLIといったパネルデータを提供しています。購買履歴などの継続的なデータそのものを利用でき、新たに質問を投げる必要がありません。
市場の推移や購買行動の実態を把握したいのであれば、都度の調査より適していることがあります。「いま何が売れているか」を知りたい場合、アンケートで聞くより購買データを見るほうが正確です。
聞き取りだけが選択肢ではないという点は、相談の前に押さえておく価値があります。
6. 定性調査のコストを下げる選択肢
定性調査は費用がかさみます。グループインタビューが50万円台から、デプスインタビューが24万円台からという水準です。
クロス・マーケティングのLight Depth(AIチャットによる調査)は175,000円からで、従来のデプスインタビュー(250,000円〜)より低く設定されています。深く聞きたいが予算が限られる場合の選択肢になります。
7. 海外調査の体制を確認する
- クロス・マーケティング:世界85ヶ国以上/グローバルリサーチ 1,100,000円程度
- インテージ:アジアでの調査体制を強みとする
- 日本リサーチセンター:Gallup International・WIN・ESOMARの国際ネットワーク
- マクロミル:希望する調査条件と予算に応じた個別見積り
- ネオマーケティング:海外ネットリサーチに対応
対応国数を明示しているのはクロス・マーケティングです。調査したい国が決まっている場合は、その国をカバーしているかを先に確認してください。
タイプ別に見る
料金テーブルとオプション(調査票設計170,000円など)を公式公開。累計1万社・40万プロジェクト超
ネットリサーチ・定性・オフライン・海外の参考価格を手法別に公開。年間実績12,000件以上
リクルーティング費・商品発送費・一般管理費(15%)まで内訳を公開。モニター約2,450万人
全国1,100名の調査員体制。郵送のTrustPanelとネットのNetworkPanelを使い分け
購買履歴などのパネルデータを提供。需要予測・価格分析・MMMにも対応
本ページ独自のまとめ
掲載5サービスを調べたうえで、相談前に押さえておきたい点を挙げます。
料金公開率は掲載5サービス中4サービス(80%)ですが、公開の形が違います。マクロミルは料金テーブル、クロス・マーケティングは手法別の参考価格、ネオマーケティングは見積りの内訳、日本リサーチセンターはオムニバス調査の単価と、それぞれ異なる粒度で開示しています。インテージは案件ごとの個別見積りです。
「調査費用の相場」という言い方は成立しません。ネットリサーチの9万円台と郵送調査の150万円台は、どちらも同じ会社の正規料金です。相場を知りたい場合は「何の手法の相場か」まで絞る必要があります。
サンプル数と金額は比例しません。マクロミルの料金テーブルでは、サンプル数を5倍にしても金額は約2.3倍です。規模を大きくすると1サンプルあたりの単価は下がるため、小さく刻んで複数回実施するより、まとめて実施するほうが効率的な場合があります。
掲載5サービスに無料で試す方法はありません。いずれも受託の調査サービスであり、無料プランや無料トライアルは提供されていません。前段階として少額で感触を掴みたい場合は、セルフ型のネットリサーチという別の選択肢があります。
@card 掲載5サービスの料金公開状況|料金を公開:4サービス(80%・公開の粒度は各社で異なる)/個別見積りのみ:1サービス(インテージ)/ネットリサーチの参考価格:90,000円〜/郵送調査の参考価格:1,500,000円〜/無料プラン・無料トライアル:0サービス
各サービスの詳細
株式会社マクロミルが提供する総合マーケティングリサーチサービスです。同社は2000年1月31日設立、資本金3億円(2025年11月1日時点)、従業員は連結2,262名/単体1,183名(2025年6月末時点)で、東京都港区港南の品川イーストワンタワーに本社を置きます。2025年6月17日にCVCキャピタル・パートナーズによる買収で東証プライム市場の上場を廃止しています(旧証券コード3978)。
掲載5社の中で料金を最も詳しく公開しています。 インターネットリサーチの本調査は10問×100サンプルで110,000円、500サンプル×10問で250,000円、1,000サンプル×30問で730,000円という料金テーブルが示されています。調査票設計(170,000円)やデータ集計(60,000円)などのオプションも公開されています。
自社の保有リストへ配信する調査は基本料金150,000円からで、見積り例としてES調査(1,000サンプル・20問)が合計490,000円、CS調査(15,000サンプル・15問)が合計740,000円と示されています。
定性調査ではフォーカスグループインタビューが基本料金500,000円から(見積り例1,460,000円)、デプスインタビューが240,000円から(6名実施の場合・見積り例3,400,000円)です。会場調査やホームユーステストはサンプル数や実施時間で変動し、見積り例として4,100,000円などが掲載されています。
国内オンラインリサーチのシェアNo.1(2024年6月・同社調べ)で、累計1万社・40万プロジェクト超の利用実績があります。連結売上収益は449億83百万円(2025年6月期)です。グローバルリサーチは個別見積りとなります。
株式会社クロス・マーケティングが提供する総合マーケティングリサーチサービスです。同社は2003年4月1日設立、資本金1億円、従業員1,478名(臨時従業員287名含む・2023年3月末時点)で、東京都新宿区西新宿の東京オペラシティタワーに本社を置きます。親会社の株式会社クロス・マーケティンググループは東京証券取引所に上場しています(証券コード3675)。
手法ごとの参考価格を公開しています。 ネットリサーチが90,000円から、グループインタビューが550,000円から、デプスインタビューが250,000円から、会場調査(CLT)が800,000円から、ホームユーステスト(HUT)が550,000円から、郵送調査が1,500,000円からです。ネットリサーチの90,000円は、マクロミルの110,000円(10問×100サンプル)を下回る水準です。
定性調査の中では、AIチャットを使うLight Depthが175,000円からと低い水準に設定されています。従来のデプスインタビューが250,000円からであるのに対し、手法を変えることで費用を抑える選択肢が用意されています。
海外調査は世界85ヶ国以上をカバーし、グローバルリサーチの参考価格は1,100,000円程度です。国内最大規模のアンケートパネルを保有し、年間の調査実績は約12,000件以上(2025年12月時点)、世界10か国20拠点以上で展開しています。
LINEリサーチとの連携やホームビジット(訪問観察)にも対応します。発注前に手法ごとの目安を持てるため、予算から手法を逆算しやすい構成です。
株式会社ネオマーケティングが提供するマーケティングリサーチサービスです。同社は2000年10月設立、資本金8,654万円(2026年3月末時点)、従業員166名(連結・2026年3月末時点)で、東京都渋谷区南平台町の養命酒ビルに本社を置き、東京証券取引所スタンダード市場および名古屋証券取引所メイン市場に上場しています(証券コード4196)。
料金の示し方に特徴があり、見積りの内訳を項目ごとに公開しています。 ネットリサーチでは本調査費用・スクリーニング調査費用・画面作成費が回答サンプルサイズと設問数で変動し、集計費用は基本(1回まで)50,000円からです。参考例として基本料金(15問まで×400サンプル)154,500円にスクリーニング費26,000円と画面作成費60,000円を加える構成が示されています。
ホームユーステストは基本料金50,000円で、参考例としてサプリメント45名の調査が合計783,541円(税込)と公開されています。リクルーティング費、商品発送費、事後アンケート業務費、一般管理費(各項目合計の15%)で構成される内訳まで示されています。
一般管理費が15%と明示されている点は、他社の見積りを読むうえでも参考になります。総額のうち何が実費で何が管理費かが分かれていると、比較の精度が上がります。
会場調査も基本料金50,000円で、入力集計費用が50,000円から、会場費が平日10時から20時の2日間で200,000円といった参考例が掲載されています。提携を含むモニター数は約2,450万人(2023年11月時点)です。調査に加えてデジタルマーケティング・PR・ブランド戦略まで一貫して支援します。
株式会社日本リサーチセンター(NRC)が提供するマーケティングリサーチサービスです。同社は1960年12月24日設立の老舗で、資本金1億円、従業員117名(2025年8月時点)の企業(複数の大手企業が株主)です。東京都中央区新川のKDX東茅場町三洋ビルに本社を置きます。
特徴はNRCオムニバス調査(NOS)です。複数の依頼者が1つの調査に相乗りする形式で、1〜5問なら1問あたり20万円、6〜10問なら16万円、11問以上なら13万円、自由回答は22万円という料金が公開されています。全国200地点・15〜79歳・1,200票を個別訪問留置で回収し、春・秋・冬に定期実施されます。
自社専用の訪問調査を1本立てる場合と比べて費用を抑えられる一方、実施時期は定期実施のタイミングに合わせる必要があります。1問か2問だけ全国規模で聞きたいという場合の選択肢になります。
全国約1,100名の調査員による訪問調査体制を持ち、47都道府県に対応します。ネットリサーチが中心の他社に対し、訪問での実査を自前で回せる体制は掲載5社の中で際立ちます。郵送のTrustPanelとネットのNetworkPanelも保有します。
個別受託調査では訪問・郵送・ネット・電話・会場調査・定性調査・海外調査などに対応し、料金は案件ごとの見積りです。海外調査はGallup International・WIN・ESOMARの国際ネットワークを活用します。世論調査や社会調査、報道・学術機関向けの調査も扱います。
株式会社インテージが提供する総合マーケティングリサーチサービスです。同社は2013年に持株会社制移行に伴う会社分割で事業会社として新設され、源流は1960年3月創業の株式会社社会調査研究所です。従業員1,435名(2025年6月末時点)で、東京都千代田区神田練塀町のインテージ秋葉原ビルに本社を置きます。親会社の株式会社インテージホールディングスは東京証券取引所プライム市場に上場しています(証券コード4326)。
他社と大きく異なるのは、調査を実施せずに利用できるパネルデータを持っている点です。 SCI・SRI+・i-SSP・SLIといったデータサービスを提供しており、購買履歴などの継続的なデータそのものを利用できます。新たに質問を投げるのではなく、すでに蓄積されたデータから市場の推移や購買行動を読む方法です。
「聞く」のではなく「見る」アプローチが必要な場面——実際に買った行動を知りたい、時系列の推移を追いたい——では、調査を設計するより先にパネルデータを当たるほうが早いことがあります。
調査手法も幅広く、定量ではネットリサーチ・会場調査・郵送・電話・ホームユーステスト、定性ではグループインタビュー・デプスインタビュー・エスノグラフィ観察・来店者調査に対応します。データ解析では需要予測、価格分析、マーケティング・ミックス・モデリング(MMM)を扱います。
海外調査ではアジアでの体制を強みとしており、現地のインサイトを含めた調査に対応します。取引先は5,000社を超え、大手メーカー・流通・製薬・自動車など幅広い業種で利用されています。料金は公式に定価の掲載がなく、調査要件に応じた案件ごとの個別見積りとなります。掲載5社の中で料金を公開していないのは本サービスです。
よくある質問
ネットリサーチの費用はどれくらいですか。
マクロミルは本調査が10問×100サンプルで110,000円、500サンプル×10問で250,000円、1,000サンプル×30問で730,000円という料金テーブルを公開しています。クロス・マーケティングはネットリサーチの参考価格を90,000円からとしています。ネオマーケティングは参考例として基本料金(15問まで×400サンプル)154,500円にスクリーニング費26,000円と画面作成費を加える構成を示しています。
インタビュー調査はいくらかかりますか。
マクロミルはフォーカスグループインタビューが500,000円から、デプスインタビューが240,000円から(6名実施の場合)です。クロス・マーケティングはグループインタビューが550,000円から、デプスインタビューが250,000円から、AIチャットを使うLight Depthが175,000円からとしています。いずれも参考価格で、実施規模によって変わります。
1問だけ聞きたい場合はどうすればよいですか。
日本リサーチセンターのNRCオムニバス調査(NOS)が該当します。1〜5問なら1問あたり20万円、6〜10問なら16万円、11問以上なら13万円、自由回答は22万円です。全国200地点・15〜79歳・1,200票を個別訪問留置で回収する調査に相乗りする形で、春・秋・冬に定期実施されます。
オンライン以外の調査もできますか。
掲載5サービスはいずれも会場調査や郵送調査、電話調査といったオンライン以外の手法に対応します。日本リサーチセンターは全国約1,100名の調査員による個別訪問留置調査の体制を持ち、47都道府県に対応しています。高齢層や特定地域を対象とする調査、代表性が求められる世論調査では、オンライン以外の手法が必要になります。
海外での調査はできますか。
クロス・マーケティングは世界85ヶ国以上をカバーし、グローバルリサーチの参考価格を1,100,000円程度としています。インテージはアジアでの調査体制を強みとし、日本リサーチセンターはGallup International・WIN・ESOMARの国際ネットワークを活用します。マクロミルは希望する調査条件と予算に応じた個別見積り、ネオマーケティングも海外ネットリサーチに対応します。
調査を実施せずにデータだけ入手する方法はありますか。
インテージはSCI・SRI+・i-SSP・SLIといったパネルデータの提供を行っており、購買履歴などの継続的なデータを利用できます。新たに聞き取りを行うのではなく、蓄積されたデータから傾向を読む方法です。市場の推移や購買行動の実態を把握したい場合の選択肢になります。
会場調査やホームユーステストの費用の内訳はどうなっていますか。
ネオマーケティングが内訳を公開しています。ホームユーステストは基本料金50,000円で、参考例としてサプリメント45名の調査が合計783,541円(税込)です。リクルーティング費、商品発送費、事後アンケート業務費、一般管理費(各項目合計の15%)で構成されます。会場調査も基本料金50,000円で、会場費が平日10時から20時の2日間で200,000円といった例が示されています。