CDPを比較しようとすると、最初にぶつかるのが「金額がどこにも書いていない」という壁です。掲載5サービスの公式サイトを調べたところ、料金を公開しているのはRtoaster insight+の1サービスだけでした。料金公開率は20%です。
その唯一の公開値が月額50万円〜(データ量・データ処理用によって変動)です。年額に換算すると600万円からになります。無料プランと無料トライアルは掲載5サービスすべてで提供されておらず、対象規模もすべて中堅企業以上でした。
さらに見落としやすいのが、CDP単体では施策を打てないという点です。メール配信やレコメンドといった実行側の機能を内包するのか、別製品として買い足すのかがサービスごとに違います。この記事では掲載5サービスについて、料金の開示状況、実行機能との関係、データの置き方を一次データから整理しました。
結論:予算の桁を先に固め、実行機能まで含めて総額を見る
先に結論を述べます。
1つめは、月額数十万円が出発点だという前提です。公開されている唯一の金額はRtoaster insight+の月額50万円〜です。他の4サービスは金額を公開していませんが、いずれも中堅企業以上を対象としたエンタープライズ寄りの製品であり、同じ帯にあると考えるのが自然です。掲載5サービスに中小企業向けの低価格帯はありません。
2つめは、CDP単体では施策が打てないという点です。b→dashはMA・シナリオ配信のScenarioとレコメンドのRecommendを同じ製品群に持ちます。Rtoasterはレコメンドがaction+という別製品で、公式にはinsight+と同じく月額50万円〜と記載されています。つまりデータ統合と施策実行の両方を使うなら、それぞれの契約になります。KARTE DatahubはKARTE本体のプロダクト群と組み合わせて使う前提です。
3つめは、データの置き方です。Treasure Data CDPは国内でのデータ管理とエンタープライズ向けセキュリティに対応し、INTEGRAL-COREはセキュアな専用環境プランを用意しています。金融のように要件が厳しい業種では、機能より先にこの条件で候補が絞られます。
CDPとは
CDP(カスタマーデータプラットフォーム)は、社内外に散らばった顧客データを1か所に統合する基盤です。Webの行動履歴、購買データ、基幹システムの顧客情報、広告の接触履歴といった別々に貯まっているデータを1つのIDに紐づけ、セグメントの抽出や施策への連携ができる状態にします。
CDPはあくまでデータを整える側だという点が大事です。メールを送る、レコメンドを出す、Web上で接客するといった実行はCDP自体の仕事ではありません。掲載5サービスはこの実行側との関係が3通りに分かれます。
- 内包する:b→dash(Scenario・Recommend・BI/分析を同じ製品群に持つ)
- 別製品として用意する:Rtoaster(データ統合のinsight+/レコメンドのaction+)
- 同社プロダクト群と組み合わせる:KARTE Datahub(KARTE Web・KARTE Message等)
- 外部ツールに連携する:Treasure Data CDP(MA・メール配信・広告プラットフォーム・BIへのコネクタ)
当メディアの調査では「CDP」という検索キーワードの指数は直近25か月で49〜73の間を推移し、平均は59.6でした。前半12か月の平均60.9に対し後半12か月は57.8で、ほぼ横ばいのまま推移しています。なお「CDP」は他分野でも使われる略語のため、この指数にはCDP以外の文脈も含まれる可能性があります。
選び方:5つの確認ポイント
1. 月額数十万円が出発点であることを前提にする
掲載5サービスの料金開示状況は次のとおりです。
| サービス | 料金の開示 |
|---|---|
| Rtoaster insight+ | 月額50万円〜(データ量・データ処理用によって変動) |
| Treasure Data CDP | 非公開(データ量・機能・規模に応じた個社見積り) |
| b→dash | 非公開(利用機能・データ規模に応じた個社見積り) |
| KARTE Datahub | 非公開(データ量・利用構成に応じた個社見積り) |
| INTEGRAL-CORE | 非公開(利用構成に応じた個社見積り。専用環境プランも非公開) |
公開されているのは1サービスのみで、年額に直すと600万円からです。他の4サービスも中堅企業以上を対象としており、対象規模から見て同じ帯にあると考えるのが自然です。無料プランも無料トライアルもないため、「まず小さく試す」という進め方が取れません。
2. 施策の実行機能を内包するか、別に用意するか
ここが総額を左右します。前述のとおり掲載5サービスは実行側との関係が異なります。
具体的な金額が出ているのがRtoasterです。データ統合のinsight+が月額50万円〜、レコメンド・パーソナライズのaction+が月額50万円〜(トラッキング数によって変動)と、それぞれ別に記載されています。両方を使う構成であれば、公開値の合計は月額100万円〜になります。
b→dashはMA・シナリオ配信のScenarioとレコメンドのRecommend、BI・分析を同じ製品群に持つため、外部の配信ツールを別途契約せずに施策まで進められます。KARTE DatahubはKARTE WebやKARTE Messageといった同社プロダクトに渡す前提の設計です。Treasure Data CDPはMA・メール配信や広告プラットフォームへのオーディエンス連携、BI・データウェアハウスへのコネクタを備え、外部ツールと組み合わせます。
CDP単体の見積り額だけを比べても、実際に払う総額の比較にはなりません。
3. データの置き場所とセキュリティ要件を照らす
扱うのが顧客の個人データである以上、基盤の置き方が選定条件になる場合があります。
Treasure Data CDPは国内でのデータ管理とエンタープライズ向けセキュリティに対応しています。対象業種に金融が含まれていることとも整合します。
INTEGRAL-COREは通常の個社別プランとは別に、セキュアな専用環境での運用オプションとして専用環境プランを用意しています。共用環境では社内の要件を満たせない場合の選択肢です。
KARTE DatahubはBigQueryを基盤としており、大規模データの分析をそのまま扱える構成になっています。
4. 自社が扱うデータと業種の実績を見る
掲載5サービスは想定する業種に違いがあります。
- Treasure Data CDP:小売・EC、消費財・メーカー、金融、エンタメ・玩具ほか大手企業全般
- b→dash:流通・小売、金融、宿泊・ホテルほか大手BtoC企業
- Rtoaster insight+:小売・百貨店、化粧品・消費財、EC、メディア(多くのアイテム・コンテンツを扱う企業向け)
- KARTE Datahub:アパレル、コスメ、EC・小売ほかBtoC全般
- INTEGRAL-CORE:製造・メーカー、小売、不動産、宿泊、メディア
BtoC寄りの製品が多い中で、INTEGRAL-COREは製造・メーカーや不動産を含む幅広い業界を挙げています。自社と近い業種での実績があるかは、導入時のデータ設計の進めやすさに直結します。
5. データ連携と加工を誰がやるのかを決める
CDPの導入で工数がかかるのはデータの取り込みと加工です。掲載5サービスはこの部分の考え方が分かれます。
Treasure Data CDPは豊富なコネクタによる社内外データ連携をノーコードで行えるとしており、専任サポートとプロフェッショナルサービスを提供します。b→dashもノーコードでのデータ加工・統合を掲げ、外部AIツール連携としてMCPに対応しています。
INTEGRAL-COREはID生成のBridgeSignalとGA4データ抽出のJetJunctionという専用のコンポーネントを持ちます。KARTE Datahubはジョブフローによる処理の自動化に対応します。
ただし、ツールがノーコードでも「何をどう統合するか」の設計自体は残ります。社内にデータエンジニアがいるかどうかで必要な支援の範囲が変わるため、導入支援がどこまで含まれるかを見積り時に確認しておくべきです。
独自データ:料金公開率と対象規模
当メディアが掲載5サービスの公式サイトを2026年7月時点で調査した結果は次のとおりです。
料金公開率は20%(1/5)でした。これまで当メディアが調査したカテゴリの中でも低い水準です。公開しているのはRtoaster insight+のみで、月額50万円〜(データ量・データ処理用によって変動)と記載されています。残る4サービスは要問い合わせです。
無料プラン・無料トライアルはいずれも0%(0/5)です。導入前の確認はデモの申し込みや問い合わせを通じて行う形になります。実際のデータを入れて検証したい場合は、商談の中でPoC(試行導入)の可否を確認する流れです。
対象規模はすべて中堅企業以上です。Treasure Data CDPとb→dashはエンタープライズ(大企業)中心、Rtoaster insight+・KARTE Datahub・INTEGRAL-COREは中堅〜大企業向けとされています。掲載5サービスに中小企業向けの低価格帯は含まれていません。
施策実行機能の扱いは4通りに分かれます。内包(b→dash)、別製品(Rtoaster)、同社プロダクト群との組み合わせ(KARTE Datahub)、外部ツール連携(Treasure Data CDP)です。INTEGRAL-COREはBridgeSignal・JetJunctionという連携コンポーネントを持ち、各種連携ツールの詳細は要問い合わせとされています。
掲載5サービスの比較
| サービス | 提供元 | 料金 | 実行機能との関係 | 対象規模 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| Rtoaster insight+ | 株式会社ブレインパッド | 月額50万円〜 | action+が別製品(月額50万円〜) | 中堅〜大企業 | 唯一の料金公開・LINE/PUSH連携 |
| Treasure Data CDP | トレジャーデータ株式会社 | 非公開 | 外部ツールへコネクタ連携 | エンタープライズ中心 | 国内データ管理・専任サポート |
| b→dash | 株式会社データX | 非公開 | Scenario・Recommendを内包 | エンタープライズ(BtoC) | ノーコード加工・MCP対応 |
| KARTE Datahub | 株式会社プレイド | 非公開 | KARTEプロダクト群と組み合わせ | 中堅〜大企業 | BigQuery基盤・ジョブフロー |
| INTEGRAL-CORE | 株式会社EVERRISE | 非公開 | BridgeSignal・JetJunction | 中堅〜大企業 | 専用環境プラン・業種の幅が広い |
各サービスの詳細
掲載5サービスの中で唯一、公式サイトに金額が記載されているCDPです。月額50万円〜(データ量・データ処理用によって変動)とされ、年額に換算すると600万円からになります。
Rtoasterは製品が2つに分かれています。顧客データ統合を担うのがinsight+で、レコメンドやパーソナライズを担うのがaction+です。action+も公式には月額50万円〜(トラッキング数によって変動)と記載されており、データ統合と施策実行の両方を使う場合はそれぞれの契約になります。予算を組む際は、この2つを足した金額で考える必要があります。
対象は中堅〜大企業で、多くのアイテムやコンテンツを扱う企業を想定しています。業種としては小売・百貨店、化粧品・消費財、EC、メディアが挙げられています。
連携先はメール・MA、LINE配信、PUSH通知、広告プラットフォーム、API連携です。国内の顧客接点を広く押さえられる構成になっています。導入・運用の支援としてデータ活用のプロフェッショナルサービスが用意されていますが、こちらは要問い合わせです。
エンタープライズ(大企業)を中心とした位置づけのCDPで、国内でのデータ管理とエンタープライズ向けセキュリティに対応しています。
特徴はデータ連携の幅です。豊富なコネクタにより社内外のデータをノーコードで連携でき、MA・メール配信、広告プラットフォームへのオーディエンス連携、BI・データウェアハウスとつなげられます。すでに複数のツールが社内に入っている環境で、それらを束ねる基盤として使う構成です。統合した顧客データをそのまま広告のオーディエンスとして連携できる点は、施策側への出口が確保されているという意味を持ちます。
対象業種は小売・EC、消費財・メーカー、金融、エンタメ・玩具など幅広く、大手企業全般での利用を想定しています。金融のように扱うデータの要件が厳しい業種が含まれる点は、国内データ管理への対応と対応しています。
料金はデータ量・機能・規模に応じた個社見積りで公開されていません。企業単位のシステム月額にデータ量の従量を組み合わせる考え方とされています。専任サポートとプロフェッショナルサービスが用意されていますが、いずれも要問い合わせです。
データ統合から施策実行までを同じ製品群でまかなえるCDPです。MA・シナリオ配信のScenario、レコメンドのRecommend、BI・分析を備えており、CDPで統合したデータをそのまま施策に使えます。外部のCDPと配信ツールを別々に契約する構成と比べて、連携の設計が減ります。
データの加工・統合はノーコードで行えるとされています。SQLを書かずにデータの結合や整形ができるため、社内にデータエンジニアを置きにくい場合の選択肢になります。
外部AIツール連携としてMCPに対応しており、統合したデータをAIツールから扱う構成も組めます。
エンタープライズ(大企業BtoC)向けの位置づけで、流通・小売、金融、宿泊・ホテルといった業種での利用を想定しています。料金は利用機能・データ規模に応じた個社見積りで公開されておらず、無料トライアルもありません。導入・活用支援は要問い合わせです。
単独のCDPというより、同社のKARTEプロダクト群と組み合わせて利用することを前提としたデータ基盤です。
基盤にBigQueryを採用しており、大規模なデータの分析をそのまま扱えます。社内の基幹システムや外部サービスとの連携に対応し、ジョブフローによる処理の自動化も可能です。定期的なデータ更新を手作業で回す必要がありません。
統合したデータはKARTE WebやKARTE Messageといった接客・配信のプロダクトに渡して施策に使います。逆に言えば、施策の実行側もKARTEで揃える前提の設計です。他社の配信ツールを主に使っている環境では、組み合わせ方の検討が必要になります。
対象は中堅〜大企業で、アパレル、コスメ、EC・小売といった顧客接点の多いBtoC企業を想定しています。料金はデータ量・利用構成に応じた個社見積りで公開されておらず、無料トライアルもありません。
中堅〜大企業を対象とし、製造・メーカー、小売、不動産、宿泊、メディアと幅広い業界での利用を想定した国産CDPです。掲載5サービスの中では業種の幅がもっとも広い設定になっています。
特徴のひとつが専用環境プランです。通常の個社別プランに加えて、セキュアな専用環境での運用オプションが用意されています。共用環境では社内のセキュリティ要件を満たせない場合の選択肢になります。
連携まわりでは専用のコンポーネントを持ちます。ID生成を担うBridgeSignalと、GA4のデータ抽出を担うJetJunctionです。Web行動データを既存の顧客データに紐づける工程を、これらの機能で進められます。
料金は利用構成に応じた個社見積りで、専用環境プランも含めて公開されていません。無料トライアルはなく、導入相談・デモ・運用支援はいずれも要問い合わせです。
よくある質問
CDPの費用相場はいくらですか。
掲載5サービスのうち金額を公開しているのはRtoaster insight+のみで、公式には月額50万円〜(データ量・データ処理用によって変動)と記載されています。年額では600万円からです。Treasure Data CDP、b→dash、KARTE Datahub、INTEGRAL-COREはいずれも個社見積りで金額を公開していません。掲載5サービスはいずれも中堅企業以上を対象としており、料金公開率は20%(1/5)でした。
無料で試せるサービスはありますか。
掲載5サービスには無料プランも無料トライアルもありません。いずれも導入前の確認はデモの申し込みや問い合わせを通じて行う形式です。実際のデータを入れて検証したい場合は、商談の中でPoC(試行導入)の可否を確認する流れになります。
CDPを入れればメール配信やレコメンドもできますか。
サービスによって異なります。b→dashはMA・シナリオ配信のScenarioとレコメンドのRecommendを同じ製品群に持ちます。Rtoasterはレコメンド・パーソナライズがaction+という別製品で、公式にはinsight+と同じく月額50万円〜と記載されています。KARTE DatahubはKARTE本体のプロダクト群と組み合わせて利用する前提です。Treasure Data CDPはMA・メール配信や広告プラットフォームへのコネクタを備え、外部ツールと連携します。CDP単体の金額だけでは総額が決まらない点に注意が必要です。
中小企業でも導入できますか。
掲載5サービスはいずれも中堅企業以上を対象としています。Treasure Data CDPとb→dashはエンタープライズ(大企業)中心、Rtoaster insight+・KARTE Datahub・INTEGRAL-COREは中堅〜大企業向けです。公開されている唯一の金額が月額50万円〜であることも踏まえると、小規模での導入は想定されていない構成です。
セキュリティ要件が厳しい場合はどう選べばよいですか。
Treasure Data CDPは国内でのデータ管理とエンタープライズ向けセキュリティに対応しています。INTEGRAL-COREはセキュアな専用環境での運用オプションとして専用環境プランを用意しており、共用環境では要件を満たせない場合の選択肢になります。いずれも詳細は問い合わせで確認する形です。
データの取り込みや加工に専門知識は必要ですか。
掲載5サービスはノーコードでの操作に対応する構成を掲げています。Treasure Data CDPは豊富なコネクタによる社内外データ連携をノーコードで行え、専任サポートとプロフェッショナルサービスを提供します。b→dashもノーコードでのデータ加工・統合を掲げています。INTEGRAL-COREはID生成のBridgeSignalとGA4データ抽出のJetJunctionを持ち、KARTE Datahubはジョブフローによる処理の自動化に対応します。ただし何をどう統合するかの設計自体は残るため、導入支援の範囲を見積り時に確認しておくと安全です。